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建設機械の需要関数の推計

ドキュメント内 第I章: (ページ 182-189)

③建設工事着工額の動向

総合建設統計では、土木・建築を合わせた工事出来高を推計しているが、

同時に土木・建築工事着工額も推計している。それを建設デフレータで実 質化し、推移をみると建築着工床面積の動きに比べ足元の回復がやや鈍い。

また、土木の着工額が急激に減少してきたことが示されている。

図表 100 実質建設着工額の推移(年度ベース)

に、主として出来高の動向を捉える総合建設統計では、参考データとして 各種の統計を総合し居住用と非居住用の建築着工額とともに、土木着工額 についても推計している。このデータを用いることによって、土木につい ても受注→着工→出来高の流れを数値的に捉えることができる。

本分析では、これらの各指標データを建設工事費デフレータで実質化し、

主要建設機械別の需要関数を推計することとした。なお、推計に当たって は、年度データおよび四半期データでの推計を各種試みたが、ストックデ ータ等を用いた需要関数の推計結果が良好であった。このため、予測で用 いる需要関数はストックデータが利用できる年度ベースで推計した結果を 利用することとした。

図表 101 建設工事の流れと需要関数に用いる建設需要関連データの構成

需要関数の推計に当たっては、上記の建設関連需要データおよび建設機 械のストックデータ、中古車輸出などを組み合わせて重回帰分析を行った。

予測で用いる推計関数の選択に当たっては、推計結果の決定係数、各説明 変数の

t

値、誤差、および誤差の変動パターンを検定するダービンワトソン 比等を総合的に判断した。また、実際に外生変数の将来予測値を与えシミ ュレーションを行った結果もふまえ、予測に適する変数の組合せを特定し た。

2.3.2.

需要変動要員と需要関数推計のフロー

・顕著となった建設機械出荷の増

近年の国内での新車需要の動向を見ると、建設工事量が増加に転じたと 受注統計

建築 土木

着工統計

着工床面積:建築着工統計  建物 住宅

    非住宅

着工額:総合建設統計  建築 居住

    非居住  土木

出来高統計 総合建設統計 建築 居住    非居住 土木

実質化 建設工事費デフレータ

 総合、建築(住宅、非住宅)、土木等

はいえ、かつてに比べるとなお低い水準にある。しかし、建設機械の出荷 の増加が顕著となっている。

・注目すべき2つの要素・・・ストック要因と中古車輸出

この点に関し、建設需要の回復要因の他に、2つの要因に注目する必要 がある。第一は、1996年度以降の建設機械需要の減少が大きなものであっ たことに関連することであるが、最近の工事量の増加に対して建設機械の 保有水準が適切な水準にあるか否かである(ストック要因)。工事量に比べ 建設機械保有水準が高水準であれば、新車需要を抑制する圧力が働くが、

逆に、新車購入が控えられ工事量に比べ保有水準が過小になれば中古車の 輸出が拡大する中で国内での新車需要が押し上げられる効果などがある。

第二は中古車の輸出動向である。中古車の輸出が拡大すれば、輸出される 中古車に代替する形での新車需要が増加すると考えられる。また、中古車 輸出によって国内での保有台数が減少し、上記第一の効果と相まって国内 での新車需要が押し上げられる。本予測ではこうした点に留意し、中古車 需要を含めて検証することにした。

・建設需要要因とストック要因、中古車輸出要因を考慮した需要関数推計 以上の点を考慮し、まず需要を規定する要因として、建設受注額や建築 着工床面積など建設需要要因とストック要因を採り上げた。ストック要因 は、建設機械の保有水準と建設需要との比で捉えてみた。さらに、中古車 の輸出需要を考慮することとし、中古車輸出台数を用いることとした。な お、中古車を考慮した推計の場合、利用可能なデータが

1992

年度以降に限 られる点に留意する必要がある。推計期間が制約されており統計的な検定 を行う際に厳しい条件となるが、中古販売とストック要因を含めることは 今後の需要を展望する上では見逃せない要因であるため上記タイプの需要 関数を推計することとした34。推計は説明変数の組合せと推計期間の取り方 を組合せ試みたが、その結果をもとに予測シミュレーションを行った結果 も併せ、総合的に判断し最も適した関数を選択した。

需要関数推計のフローは次のページの図表

102

需要関数推計のフロー の通りである。

34 建設需要関連指標とストック要因で推計する場合、建設用クレーンを除くと、1980 年代後半から推計期間とすることが可能となる。結果的には当てはまりがよい関数が 得られるが、ストック要因についてはプラスの符号となる傾向が見られる。この結果 では、ストック水準が高まることにより新車への代替需要が増加し新車出荷台数が増 加すると解釈できるが、ストック調整効果が働くと仮定すればストック要因について はマイナスの符号であることが期待される。

図表 102 需要関数推計のフロー

製品別国内出荷台数および中古車 販売台数、建設機械保有台数の時 系列データ

  ホイールローダ、油圧ショベル、

  ミニショベル、建設用クレーン

推計した需要関数の基本形(重回帰分析)

 y=a+b・x1+c・x2+d・x3 ・・・

   (t1) (t2) (t3)

 決定係数(R2) ダービン・ワトソン比(D.W.)

・建設需要関連指標等の時系列データ

・建設関連の受注、着工、出来高データ

・その他関連データ

推計した需要関数の選択

 決定係数、t値、誤差の動向等により関数の最適 性を評価し、選択

予測結果による総合判断

実績動向や実績見込みなどから関数を選択

x1、x2、x3・・・は需要を説明 する変数

基本型では、需要指標とし て建築着工床面積、実質土 木着工額、実質総着工額な どを用い推計を試みた。

また、ストック要因を考慮し、

実質着工額に対する前期の 保有台数指標を用いた。ま た、建設機械では中古車輸 出の動向が国内の新車出荷 に影響を与えることを考慮 し、中古車輸出台数を変数 として用いた。

注:

 重回帰分析     最小二乗法による推計

  決定係数      全体的にみた説明変数の説明力を検定する指標。推計値と残差の分散       の比で分散が小さい(説明力が大)ほど1に近い値となる。(R2と略)

  t値      用いた各変数の推計された係数値とその標準誤差の比。この比率をt分       布(確率分布)に基づき検定。データの時系列数により有効性の評価は       変わるが基本的に2以上であれば5%の確率水準で有意となる。

  誤差         推計値と実績値の差:最小二乗法はこの誤差を最小にする解を求める方       法であるが、誤差が生じる。このため、誤差の推移を捉え、説明力がある       か、どのような特性の関数であるかを判定する。

ダービンワトソン比  当該系列の指標同士で相互に関連があるか否か(系列相関)を検定。

      0に近ければ誤差が一定方向に発生する傾向が強く(正の系列相関)、

      3前後に近ければ誤差がプラスとマイナス方向に交互に生じる傾向が強       い(負の系列相関)がある。ただし、誤差の大小とは必ずしも関係しない       ため、上記の誤差の発生状況や標準誤差などと組合せ有意性を判断す       る必要がある。

2.3.3.

製品別需要関数の推計

①ホイールローダ

説明変数としては、土木受注(実質)、着工床面積、保有台数の水準(前 期保有台数/当期実質着工額)を用いて推計した。なお、ホイールローダ は除雪に多く利用され、大雪の場合、当該年度の需要が増大する傾向がみ られる。また、大雪の翌年度は除雪用機材購入予算が計上され、需要につ ながることが指摘されている。そこで、この点を反映するダミー変数を設 定した。具体的には新潟県での積雪35が多かった

1995

1997

2000

年度 とその翌年度を1とし、他の年度を

0

とするダミー変数を与えた。推計期 間が短いこともあり、全体に

t

値はやや低めであるが符号条件は充たしてい るため下記の関数を選定した。

[推計式]

図表 103 ホイールローダの需要関数推計結果

35 新潟県総合政策部・地域政策課・雪対策室がまとめている累積降雪量データ。一定の 期間(平年では121日、うるう年では122日)を対象とし、県下の各観測所で観測し た降雪の平均値。降雪量とは降雪板(水平にした板)に積もった雪の深さを読みとった もので、新しく降った雪の深さ。累積降雪量は観測期間中の日降雪量を積み重ねた量。

-2,000 -2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

実績値 推計値 誤差

年度

ホイール

ローダ = -2768.6 + 0.360 ×建設受注 + 0.0343 ×着工床面積 + -1260.7 ×

前期ストック /実質着工

+ 0.474 ×中古車輸

出台数 + 1084 降雪ダミー

(1.27 ) (1.59 ) -(1.28 ) (3.80 ) (2.78 )

2 =0.985

D.W. =2.044     降雪ダミーは新潟県で大雪を記録した1995、1997、2000年度とその翌年度を1、他0

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