2
国内需要の予測2.1
国内需要の動向で建設用クレーンの回復が急となっている。
2.1.2.
ホイールローダホイールローダの出荷台数の推移をみると、長期的トレンドとしては減 少傾向にある。ホイールローダについては
1987
年度以降の出荷データが利 用可能であるが、それ以前の動向はトラクタのデータで捉え、長期の需要 の推移をみてみると、10 年ないし10
年弱のサイクルで需要が拡大する傾 向が見られる。すなわち、1978
~79
年度、1989
~90
年度、1996
~97
年度 の出荷増である。そして、長期のサイクルの間に小さな需要の拡大がみら れるが、こうした動きは景気のサイクルにほぼ符合する。図表 94 ホイールローダとトラクタの出荷動向
1975 年以降の景気拡大局面
0 5000 10000 15000 20000 25000 30000
1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003
ホイール+スキッド計
ホイールローダ 台
スキッドステアローダ トラクタ
-30 -20 -10 0 10 20 30 40 50
1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004
%
トラクタ
ホイールローダ
スキッドステアローダ
①出荷台数の推移 ②前年比の推移
内閣府の景気基準日付による景気拡大局面
1975.3 ~1977.1 第一次オイル・ショック後の景気回復
1977.10~1980.2 1977 年 2 月以降の短期の景気後退後の景気回復
(1979 年には第二次オイル・ショック発生)
1983.2 ~1986.6 戦後最長の景気後退からの回復
1986.11~1991.2 長期の景気拡大(いわゆるバブル経済)
1993.10~1997.5 バブル崩壊後最初の景気回復(輸出と関連設備投資が牽引役)
1999.1 ~2000.11 IT を軸とした景気拡大(輸出と関連設備投資が牽引役)
2002.1 ~ バブル後の本格的な景気拡大((輸出に牽引され景気拡大が本 格化する中で消費等内需も回復)
2.1.3.
油圧ショベル油圧ショベルはホイールロ-ダとは異なる動きを見せている。バブル期 に需要が急拡大し大きな山を形成した後、減少傾向に転じた。
1994
~1996
年にかけて反転したが、その後2002
年にかけて急激な減少となった。この ような大きなウネリの中に、ホイールローダでもみられたと同様に、景気 変動に符合するような小さな循環的変動が繰り返されてきた。注目すべきは、
2003~2004
年度にかけての出荷の大幅な増加である。現 在は2005
年度の期の途中であるが、実績の推移をみると2005
年度も前年 度比8
%強の増加が見込まれる。増加の程度も1994
~1996
年度や1999
~2000
年度の伸びを上回って推移しており、日本経済全体の回復の動きと併 せ見るとバブル経済崩壊後の長期下降トレンドに終止符が打たれた可能性 が高い。図表
95
油圧ショベルの出荷台数と前年比の推移2.1.4.
建設用クレーンラフテレーンクレーンとクローラクレーンの出荷は
1996
年度以降急減 したが、とくにラフテレーンクレーンの減少が急激である。すなわち、1996
年度では
4,000
台近くの出荷台数であったのが、2002年度には1,000
台と短期間に約1
/4
の需要規模にまで縮小した。しかし、2003
年度には反転し、2004
年度も増加となっており、回復の傾向にある。クローラクレーンはラフテレーンクレーンに比べ需要規模が小さいが、
1997
年度以降やはり需要が減少している。ラフテレーンクレーンと同様、2003~2004
年度には需要が回復する傾向がみられるものの、ラフテレーンクレーンに比べやや鈍い回復に留まっている。
0 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000
1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003
合 計
ミニ ショベル 台
油圧 ショベル
-60 -40 -20 0 20 40 60 80 100 120 140 160
1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003
合計 ミニショベル
%
油圧ショベル
①出荷台数の推移 ②前年比の推移
図表 96 建設用クレーンの出荷台数と前年比の推移
以上でみた主要な建設機械の出荷動向に見られる需要変動の特徴と留意 点を整理すると以下の通りである。
0 5 00 1 0 00 1 5 00 2 0 00 2 5 00 3 0 00 3 5 00 4 0 00
1996年度 1997年度 1998年度 1999年度 2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度
台
ラフテ レーンクレーン
クローラクレーン
- 6 0 - 5 0 - 4 0 - 3 0 - 2 0 - 1 0 0 1 0 2 0 3 0
1997年度 1998年度 1999年度 2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度
%
ラフテ レ ーン クレーン
クロ ーラクレ ーン
①出荷台数の推移 ②前年比の推移
・長期にわたった需要調整
1997
年度以降、建設機械需要の落ち込みは長く、深いものとなった。1996
年度 対比では1/3~1/2の出荷水準まで低下。・需要の長期低迷に歯止めの兆候
2002
年度以降、景気拡大が続く中、建設機械需要も増加しているが、次第に回復 に力強さが見られるようになっている。ホイールローダや油圧ショベルでは、
1994
-1996
年度や1999
-2000
年度の景 気 回復時よりもやや強い回復となっている。また、公共投資の落ち込みが一段と強 まる中にあって、需要回復のテンポが強まってきている点が注目される。・景気との関連性
長期の需要減少トレンドの中にあっても、景気循環にほぼ対応する形での小さな 循環的変動がみられ、建設機械においても景気変動といったマクロ的な需要変動と の関連性が窺える。
・足許の建設機械需要の回復はバブル経済崩壊以後の長期減少傾向に歯止 めがかかったことを表わしているのか。
・本格的な回復に入ったとすると、回復力はどの程度となるのか、どの水準まで 回復が見込まれるのか。
予測上注目すべきポイント