このような長期低迷下にあっても、1994~1996 年度にかけての回復や、
1999
~2000
年度にかけての回復など、景気が回復する局面もみられた。し かし、いずれも輸出の伸びとそれを背景とした設備投資の回復に支えられ たものであり、消費の低迷や住宅投資の減少、建設関連投資の減少傾向の 基調は変わらなかった。このため建設機械需要もトレンドとしては減少傾 向が続いた。ところが、2002 年初めに景気が底入れした後は、1990 年代以降の2度 の景気回復パターンとは異なり息の長い景気拡大が持続している。こうし た中で、縮小傾向が続いていた非住宅建築着工床面積が
2003
年度以降増加 基調に転じ、住宅投資も2004
年度はわずかながら増加となった。このよう な動きを反映し、国内の建設機械需要も2003
年度に増加に転じた。2004
年度以降は回復傾向が一段と強まっている。2.2.2.
建設関連需要の動向① 建設受注の動向
建設受注額の推移をみると、主要な建設機械の需要動向に類似した動き を示しており、
1989~1990
年度を頂点とする山形の需要の推移がみられる。1980
年代後半の急激な拡大とその後の大幅な需要減少が特徴的である。そ して、2003
~2004
年度には反転する動きとなっている。図表 98 建設受注額と前年比の推移(年度ベース)
-30 -20 -10 0 10 20 30 40
1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004
合計 民間工事 公共工事
%
0 5000 10000 15000 20000 25000 30000
1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003
合計 民間工事 公共工事
10億円 ①受注額の推移 ②前年比の推移
出典:国土交通省「建設工事受注動態調査(大手50社)」
②建築着工床面積の動向
建物等の建築物需要の動向を総括的に捉える指標である建築着工床面積 の変動パターンをみると、
1975
~1979
年度、1985
~1990
年度、1993
~1996
年度、1999
~2000
年度、および2002
年度以降に増加している。とくに、1975
~1979
年度、1985
~1990
年度、1993
~1996
年度とほぼ10
年サイク ルで増加するパターンが明瞭に見られる。また、住宅と非住宅では増減の タイミングにズレが見られることや、最近の回復局面では非住宅の伸びが 新設住宅の伸びを上回っていること、さらに2005
年度も期半ば過ぎまで前 年比増加基調にありバブル経済以降では最も強い回復となる可能性が出て きたことなどが注目される。なお、新設住宅着工床面積は
1996
年度に1.5
億m
2を超える高い水準と なった後大幅に減少し、2001
年度以降は1
億m
2強の水準で推移している。1980
年代後半の住宅ブームは、1980 年代前半から半ば過ぎにかけての長 期的な低迷が続いた後に生じたものであるが、1990
年代半ば過ぎ以降の長 期低迷に区切りがついたとすると、今後どのように展開するかが注目され る。当然ながら、住宅投資の基本的な要因としては、人口や世帯、所得、金利、政策要因などがある。所得面では今後伸びが高まることが期待され るが、人口・世帯面では少子高齢化の影響が強まるし、金利面では今後上 昇が見込まれるなど、住宅投資にとっては厳しい環境が続く。後掲の建設 経済研究所の展望では、実質民間住宅投資は
2005
~2010
年度では年率マ イナス1
%程度の減少を予測している。ただし、ストック調整要素にも留意 する必要がある。実際に、足元では実質民間住宅投資が前年比増加へ転じ ている。図表
99
建築着工床面積の推移(
年度ベース)
0 50000 100000 150000 200000 250000 300000
1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003
千m2
合計
新設住宅
非住宅
-25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25
1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004
%
合計
新設住宅
非住宅
①着工床面積の推移 ②前年比の推移
出典:国土交通省「建築着工統計」
③建設工事着工額の動向
総合建設統計では、土木・建築を合わせた工事出来高を推計しているが、
同時に土木・建築工事着工額も推計している。それを建設デフレータで実 質化し、推移をみると建築着工床面積の動きに比べ足元の回復がやや鈍い。
また、土木の着工額が急激に減少してきたことが示されている。
図表 100 実質建設着工額の推移(年度ベース)