• 検索結果がありません。

わが国建設機械産業の将来を担う人材の確保と育成

ドキュメント内 第I章: (ページ 160-165)

潤沢な資源を持たないわが国が加工・貿易立国で発展していくためには、

これを担う製造業が牽引役となることが重要である。わが国製造業は、過 去からの連綿たる経験の蓄積により、世界有数の高い製造技術と労働生産 性を誇っている。しかしながら、少子高齢化が進展し、ついに人口減少社 会の到来を迎えたわが国においては、労働者の高齢化が進み、特に団塊の 世代が順次退職していく中、ものづくりを支えてきた労働力基盤の弱体化 が懸念されている。

図表 84 産業、年齢階級別の就業者分布

「図表 84 産業、年齢階級別の就業者分布」は産業、年齢階級別の就業 者数の分布を纏めたものである。全産業における年齢分布に対して、製造 業、中でも我々建設機械業界が属する一般機械器具製造業においては、団

全産業

49 242

390 457 406 373 368 426 428 273

300

48 242

300 282 257 266 277 309 284 172

183

0 200 400 600 800

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

万人

一般機械器具製造業

1 5

10 12 11 9 9 11 11 6 3

0 1

3 2 2 2 2

3 3 1

1

0 5 10 15

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

製造業(計)

9 46

82 102 97 85 77

89 94 50 40

4 24

37 39 38 38 41

53 51 28 21

0 50 100 150 200

15~19歳 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上

万人

塊の世代を含む

55~59

歳層の構成比が高いことが分かる。また、これと関 連して、団塊の世代の退職後に事業活動を牽引する

40

49

歳のミドル層、

更に次代を担う

20

24

歳の若年労働者の構成比が低いことも、一般機械器 具製造業における就業者数分布の特徴として見て取れる。

7.2.1

建設機械業界における労働力確保の実態

建機工は、建設機械産業における雇用・労働の現状ならびに将来課題 を詳細に把握する為に、下記概要のとおり、正会員企業を対象としたア ンケート調査を実施した。

① 労働力確保の為の施策

5

つの事業部門(営業、サービス、製造、研究開発、管理)の各々に おいて、若年層を中心として質的、量的に十分な労働力を確保する為に 検討・実施されている施策をまとめたものが図表 85である。

図表

85

建設機械業界各社における労働力確保の為の施策

結果として

5

つの業務部門全てにおいて、従来に比べて流動性が高 まった国内労働力市場から新卒採用、中途採用により正規雇用者とし て人材を調達し、社内教育の充実と併せて質・量両面での労働力確保 を図ることが多くの会員各社における主要施策であることが分かる。

また、管理部門ではこれに加えて「女性労働力の活用」の割合が増 えていることが目立つ。更に、業務内容を加味した上での「アウトソ ーシングの活用」が進んでいる事も特徴である。製造部門においても 同様に「アウトソーシングの活用」が非常に重要な位置を占めている 一方、労働基準法、労働者派遣法の改正により、派遣労働者の利用が

0% 20% 40% 60% 80% 100%

管理部門 研究開発部門 製造部門 サービス部門 営業部門

①新卒者採用の増加

②中途採用・経験者採用 の促進

③外国人労働力の活用

(留学生等)

④女性労働力の活用

⑤派遣社員の増員

⑥外注化(アウトソーシ ング)の更なる活用

⑦採用ツールの拡大

⑧新人教育の見直し

⑨求人内容の見直し

⑩第2新卒の採用

⑪採用時期の柔軟化 出典:建機工 ⑫その他

製造業へも拡大されたこと等の背景もあり、「派遣社員の増員による対 応」も労働力確保の為の有効な施策の一つとして認識されていること が分かる。

② 「

2007

年問題」に関する認識と対応

2007

年問題に対する会員各社の危機意識(団塊の世代の退職により、

事業活動に何らかの問題が発生しているか、もしくは今後発生すると考 えるか)を、5つの事業部門(営業、サービス、製造、研究開発、管理)

別に調べた結果が図表

86

である。

いずれの業務部門においても、

2007

年問題の影響を想定している会 社(「考えている」「少し考えている」と回答した会社)は、

70

%を超え る高い割合を示している。その中でも製造部門(

86.0

%)、サービス部 門(79.1%)の両部門における危機意識の高さが比較的顕著である。

続く図表 87 は、2007 年問題に対して危機意識があると回答した会 社に対して、顕在化している、又は顕在化しつつある問題の具体的な内 容とそれに対する各社の施策を質問した結果である。5つの業務部門全 てにおいて、「労働力、マンパワーの不足」が懸念されており、対策と しては「定年退職者の再雇用(現職での継続雇用)」が各部門で共通し て最も多くなっている。また、「重要な技能、技術、ノウハウの流失」

についても、形式化しづらい技能、ノウハウが多い製造部門、サービス 部門を中心に多数の会社が懸念を抱いている。これに対しては、定年退 職者を再雇用し、技能・技術の伝承に従事させる他、重要技能・ノウハ ウのマニュアル化推進、中堅・若手社員への社内教育の充実等が具体的 施策として上げられている。

図表

86 2007

年問題に対する問題意識有無の調査

0% 20% 40% 60% 80% 100%

営業部門 サービス部門 製造部門 研究開発部門 管理部門

考えている 少し考えている 考えていない 出典:建機工

図表 87

2007

年問題の具体的な懸念材料とそれに対する施策

<回答>

調査期間:2005年12月~2006年1月

調査対象:建機工正会員74社(内有効回答46社)

①定年延長 5 4 1 1

②定年退職者の再雇用(現職での継続雇用) 22 12 1 1

③定年退職者の再雇用(技能伝承要員としての再雇用) 9 11 1 1

④重要技能・ノウハウのマニュアル化促進 1 10 1

⑤中堅・若手社員への社内教育充実(人材指導会社、制度の新設 6 17 2 1

⑥海外への事業移転・拡大 1

⑦外注化(アウトソーシング)による対応 2

⑧外国人労働者の登用促進 1

⑨中途採用、同業他社からの経験者採用の促進 16 2

⑩確定拠出年金の活用 6

⑪養老保険などによる退職金外部積立 4 1

⑫その他の退職年金制度の活用 4

⑬その他

①定年延長 5 4 1 1

②定年退職者の再雇用(現職での継続雇用) 20 10 1 1

③定年退職者の再雇用(技能伝承要員としての再雇用) 11 15 1 1

④重要技能・ノウハウのマニュアル化促進 2 17 1

⑤中堅・若手社員への社内教育充実(人材指導会社、制度の新設 7 14 1 1

⑥海外への事業移転・拡大

⑦外注化(アウトソーシング)による対応 10

⑧外国人労働者の登用促進 1

⑨中途採用、同業他社からの経験者採用の促進 15 1

⑩確定拠出年金の活用 6

⑪養老保険などによる退職金外部積立 4

⑫その他の退職年金制度の活用 5

⑬その他 1

①定年延長 6 5 1 1

②定年退職者の再雇用(現職での継続雇用) 21 12 1 1

③定年退職者の再雇用(技能伝承要員としての再雇用) 11 23 1 1

④重要技能・ノウハウのマニュアル化促進 2 22 1

⑤中堅・若手社員への社内教育充実(人材指導会社、制度の新設 5 17 1 1

⑥海外への事業移転・拡大 3

⑦外注化(アウトソーシング)による対応 13 1

⑧外国人労働者の登用促進

⑨中途採用、同業他社からの経験者採用の促進 9

⑩確定拠出年金の活用 6

⑪養老保険などによる退職金外部積立 4

⑫その他の退職年金制度の活用 3

⑬その他 1

①定年延長 6 3 1 1

②定年退職者の再雇用(現職での継続雇用) 19 10 1 1

③定年退職者の再雇用(技能伝承要員としての再雇用) 10 12 1 1

④重要技能・ノウハウのマニュアル化促進 1 13 1 1

⑤中堅・若手社員への社内教育充実(人材指導会社、制度の新設 5 15 1

⑥海外への事業移転・拡大

⑦外注化(アウトソーシング)による対応 7 1

⑧外国人労働者の登用促進

⑨中途採用、同業他社からの経験者採用の促進 9 2

⑩確定拠出年金の活用 6

⑪養老保険などによる退職金外部積立 5

⑫その他の退職年金制度の活用 3

⑬その他 1 1

①定年延長 3 2

②定年退職者の再雇用(現職での継続雇用) 22 10

③定年退職者の再雇用(技能伝承要員としての再雇用) 7 9

④重要技能・ノウハウのマニュアル化促進 2 12

⑤中堅・若手社員への社内教育充実(人材指導会社、制度の新設 5 12 1 1

⑥海外への事業移転・拡大

⑦外注化(アウトソーシング)による対応 6 1

⑧外国人労働者の登用促進

⑨中途採用、同業他社からの経験者採用の促進 9

⑩確定拠出年金の活用 5

⑪養老保険などによる退職金外部積立 4

⑫その他の退職年金制度の活用 5

⑬その他 1 1 1

重要な技能、

技術、ノウハウ の流出・喪失

退職給付 債務の増加 労働力、

マンパワー の不足

その他

7.2.2

我が国建設機械産業の労務面での将来課題

2007

年問題への対応

先述の調査結果にも明らかなように、定年退職者に関しては、多くの 会員会社において再雇用による対応が検討されている。必要な社員が社 内に残る事により、重要な技能・技術の喪失という問題は短期的には回 避されるが、中長期的視野に立てば、従来の採用施策の結果としてのミ ドル層の人員の薄さ、また、更にその次の世代を担う若年層において優 秀な人材の確保が難しくなる中、団塊の世代が保有するスキルを次の世 代に如何に継承していくかは、引き続き業界全体にとって重要な課題で あると言えよう。

② グローバルな事業展開に必要な人材の確保

国内市場の更なる拡大が見込めない中、わが国建設機械産業は事業活 動拡大の場を海外市場に求め、商品の輸出や海外現地生産を伸長してき た。会員各社の事業活動のグローバリゼーションは、近年急速に進展し ているが、海外諸国での事業展開にあたっては、基本的な要員について は、現地社員の育成によりローカライゼーションを推進していくことで 対応可能である。しかし、一方で製造部門やサービス部門においては、

これまでの経験の蓄積によって高い技能・技術を有する日本人社員の現 地派遣が必要とされるケースは依然として多い。今後の施策として、高 い能力を有する駐在候補者の計画的育成とそのための教育プログラム の整備が極めて重要となる。

③ 雇用形態の変化への対応

近年、労働力市場の流動化は一段と進展しており、従来の主流であっ た新卒採用者の長期雇用だけでは優秀な人材の確保は困難になってい る。事業活動の中核をなす業務を除いて、短期的な業務負荷の変動に対 しては、アウトソーシングや派遣社員といった外部労働力を活用するこ とにより、短期的な「固定費の変動費化」を図るとともに、その中でも 優秀な人材については、積極的に正式登用を実施していく等の柔軟な対 応が今まで以上に必要となる。

また、雇用形態の如何を問わず、優秀な人材を獲得し、更にその人材 を繋ぎとめる為には、建設機械産業がそのイメージ、認知度を高め、よ り一層魅力的な業界となる必要がある。その為には、まず、賃金水準等 の労働条件を始め、モチベーション(働き甲斐)や満足感等、そこで働 く人が有形無形の魅力を感じられることが求められる。そして、産学協 同プロジェクトへの積極的な関与や、

CSR

の徹底追求等により、建設 機械産業が一般社会の人々にとっても、より身近で有益な産業であるこ

ドキュメント内 第I章: (ページ 160-165)