一方、地球温暖化防止のための京都議定書の目標達成に向けて各国の動 きが具体化してきた。
欧州では
2005
年7
月にEuP
指令19が制定された。この指令は枠組み指 令といって現時点では規制値の明示もなく、製品ライフサイクル全体とし て環境に配慮した設計を義務付け、その概念だけが示されている。EU
域内
19 Energy Using Product エネルギーを使用する製造物のエコデザイン法2005/32/EC 出力範囲 窒素酸化物 炭化水素 一酸化炭素
CO
粒子状物質 PM
37≦P<75 (kW) NOx
(g/kWh)
HC
(g/kWh) (g/kWh) (g/kWh) 日本
指定制度1次 1997.04.01 9.2 5 - 2次 2003.10.01 7 1.3 5 0.3 オフロード法 2007.10.01 4 0.7 5 0.3/0.25*
米国 1次 1998.01.01 - -
2次 2004.01.01 5 0.4 3次 2008.01.01 5 0.4 4次 2012.01.01 5 0.03 欧州 1次 1999.03.31 6.5 0.85 2次 2003.12.31 5 0.4 3次A 2008.01.01 5 0.4 3次B 2012.01.01 3.3 0.19 5 0.025
* 日本オフロード法 PMは0.3 (37-56kW)、0.25 (56-75kW) 4.7
9.2 1.3 7.0 1.3
4.7 開始時期
- 7.5 4.7
の年間販売台数が
20
万個以上の製品に適用され、照明機器や家庭用電気製 品、事務機器、空調設備等が優先分野になっている。優先分野で対策がな されると、合計約2
億トンのCO
2が大気中に放出されることを防げる試算 で、京都議定書に定められたEU排出削減目標の半分を達成できる見込み。EU
委員会は今後2
年以内に具体的な対象製品や実施計画を示すことにな っているが、建機はすぐには規制対象とはならないと思われる。従来、エネルギーが安いということで省エネ関連の規制は目立たなかっ たアメリカでも、
2005
年4月からカリフォルニア州20で、2008
年1月から オレゴン州21でそれぞれエネルギー効率法が施行される。いずれも冷蔵庫や 洗濯機等が対象で、エネルギー効率の基準値を下回ると販売できない。環 境先進州であるカリフォルニア州で先行した後、他の州に波及していくの が一般的であり、アメリカでも今後は省エネ規制が順次できていくと思わ れる。京都議定書議長国である日本の状況はどうか。日本は
2010
年に1990
年 比で温暖化ガスを6%
削減することを公約している。その主成分であるCO
2に関して、建機の推定排出量
0.1
億トン(1990
年)
は、必要削減量1.85
億ト ンの5%
にあたる。また、年間エネルギー消費量の多い機器が図表 51のとおり政令によって 指定されている。建設機械の年間エネルギー消費量
400
万キロリットル(原 油換算)は政令指定を受けていないもののガス温水器に続く7
位にあたる。図表
51
特定機器として指定しているもので年間エネルギー消費量の多いト ップ10
20 The 2005 Appliance Efficiency Regulations 器具エネルギー効率規則
21 電気製品エネルギー効率基準法
普及台数 エネルギー
消費量(*)
(千台) (千
KL
)1
乗用自動車40,998 7,128 44,094 2
貨物自動車8,553 1,739 34,350
3
ストーブ45,877 6,281 9,439
4
ユニット型エアコン80,874 7,888 8,392 5
蛍光灯器具422,466 50,959 7,956 6
ガス温水機器28,937 3,386 7,539 7
電気冷蔵庫・冷凍庫54,825 5,540 2,945 8
石油温水機器4,628 597 2,784 9
熱調理機器32,358 4,986 2,449 10
テレビ受信機102,189 9,792 1,589
*:エネルギー消費量 原油換算
順位 機器
97
年出荷台数(千 台)
このような中、国内の
CO
2総排出量(平成14
年度で12
億4,800
万トン)の約
20
%を占める自動車では、ハイブリッド自動車の実用化、その他多種 多様なシステムを搭載した低燃費・低公害車の投入をはかっている。これ により自動車との関わりの深い運輸部門のCO
2排出量は1998
年以降減少 基調にあり、2002
年度、2003
年度は2
年連続で減少している。これは乗 用車の燃費向上が大きく寄与しており、現在も更なる省燃費化を目指した 研究開発が進められている。建設機械でもオートアイドルストップ22等、省エネルギー運転を支援する 装置の開発例がみられる。その効果を評価する基準として、主要
3
機種(ブ ルドーザ、ホイールローダ、油圧ショベル)についてJCMAS
(日本建設機 械化協会規格)が制定され、各社で試行中である。燃費評価が既に一般化 している自動車に対しては国の助成制度が普及を助けてきた実績があるこ とから、建設機械でも同様の制度設立に向けて取組んでいく。更なる燃費削減をはかるため、ハイブリッド23化や代替燃料24、燃料電池 の実用化に向けて、各社が努力を続けているところである。いずれの技術 も自動車で実績が出つつあるもので、その普及が追い風となって建設機械 でも実用化が進むはずである。また燃料電池や代替燃料に関しては、燃料 補給方法といったインフラ整備も必要である。現時点で一つの技術を選択 することは難しいが、業界として適切な競争原理と協力のもと、政府およ び関連業界への働きかけも含めて、圧倒的な燃費削減技術開発を進めてい かなければならない。
開発と普及を促進させる為、建機工では省エネ特別チームを編成し、新た な助成制度の獲得を目指している。制度の狙いは価格差額の助成に置き、電 動ハイブリッド型、電動型、代替燃料型のいずれにも適用されるよう取組ん でいく。
22 オートアイドルストップ:機械の非作動を検知して自動的にエンジンを停止する機能。
従来油圧ショベル比較で20%燃費削減例あり。
23 ハイブリッドシステム:小型エンジン、バッテリ、キャパシタから成る動力源を持ち、
独立した電動油圧駆動のアクチュエータから成る。負荷に対するエンジンパワー不足 をバッテリで補い、高効率運転をして燃費向上、キャパシタに余裕があるときはエン ジンを停止して燃料消費を抑える。従来油圧ショベル比較65%削減例あり。
24 代替燃料(CNG圧縮天然ガス):ディーゼルエンジンのかわりにCNGエンジンを搭 載し、軽油のかわりに圧縮天然ガスCNGを減圧して気体燃料として使用する。天然 ガスはメタンCH4が主成分で、黒煙や窒素酸化物NOx、硫黄酸化物SOxの排出がほ とんどなく、分子中の炭素Cが少ないので炭化水素HC、一酸化炭素CO、二酸化炭 素CO2も大幅に低減できる。