A. 卵。
4 交通・物流
4.3 航空
ヒアリング:日本航空㈱運航本部運航課気象グループ
Q. 我々としては富士山噴火後の社会状況がどうなるだ ろうかということについて少し突っ込んで、お話を聞かせ ていただければと思っております。
A. 昔はあんまり航空会社も火山というものに対しての認 識といいますか対応はほとんど無かったんですよ。それ がジャンボ機が飛び始めて、それがたまたま夜中に火山 灰の中を知らないうちに入って飛んで、エンジンが全部 止まってしまって、墜落寸前になったっていうのが、イン ドネシア上空で起きまして。それがきっかけになって、こ れは火山灰というのは非常に危険なんだという。それま では火山灰が飛行機の窓に当たって、表面が削れて外 が見難くなるという程度で済んだんですよ。火山灰はエ ンジンに吸い込んでもエンジンが止まるということは無か ったんですけども。ジャンボ機が入ってきまして、エンジ ンが大きくなりまして、燃料の燃焼温度が非常に高くなり まして、そうすると火山灰のケースの物質が溶ける。融解 する温度まで高いものですから、あの中で溶けて、それ が空気が流れる穴に塞がって、空気の流れを止めてエ ンジンが止まると。いう現象が起き出しまして。世界各地 の火山灰の中に入って、そういうものがいろんなところで 出始めまして。これは大変なんだ、ということから、それが きっかけになりまして、航空の分野で火山、活動、火山灰 というものに非常に神経質に。(1)ですから歴史的には十 数年の世界ですね。
Q. そんなものなんですか。今までは小さかったから。
A. 小さくて燃焼温度も低くて、吸い込んでも別にエンジ ンが止まるということはなかったと。
Q. そのある温度の差が、今度は大きい事故に繋がるよ うな原因になり始めた。
A. エンジンがもう止まるという状態です。
Q. それは、最初はわからなかった。
A. わからなかったんですね。そんな研究誰もしてなか ったですからね。
Q. 今、だから、車もメーカーさんに少し聞こうということ で。首都高だとかそういうところは行政的な対応でどうす るかというのを決めるらしいんですけども。どうなったら止 めようだとか。でも、車が大丈夫かい?って、言われまし てね。同じようなことですよね。きっと。
A. 恐らくね今の車、電子部品が多くなってるんで、そこ が駄目になると思います(2)。
Q. みたいですね。どうもコンピュータ系の電子部品のと ころが危ないんじゃないかというようなことも。あとエンジ ンのところもちょっと聞いた方がいいですよと言われまし
てね。そういうことが飛行機の中でも最近わかったんです か。
A. それでもう世界中の航空に対する火山活動、火山灰 情報というネットワークを作っちゃいまして。それをもう四 六時中やり取りをしております。ですから、毎日毎日火山 活動、火山灰の存在というものについては気にしながら 飛行機が飛んでいるという。(3)
Q. 情報ネットワークがあるわけですね。
A. あります。世界中で何かそういう検知したら電報で伝
え合う流れになってまして。大体世界どこからでも、その 情報が入ってから15分以内にうちの会社まで届きます。
やっぱりヨーロッパも飛んでますし、南米でも飛んでます ので。
Q. 国内の、いわゆるこういう状態になるわけですので、
それは高度何万メートルというところまで行くんでしょうけ れど。その辺の高さについてはちょっと私も良くわからな いんですけれど。いわゆる2週間ぐらいの期間、こういう ような、これは累積の高さですので、バラバラバラバラ来 るわけですけれど。イメージとしてはどうなんでしょうね 。 8センチぐらいというのが2週間ぐらいとなると。それを日 に割ると何センチぐらいというイメージになるんですけれ ど。その浮遊物がどのくらいの量だったら飛行機が危なく なるというのは。もうそろそろ、そういう実験みたいなもの はいわゆる空気の中にどのくらいあればということは 、あ る程度目途あるんですか。
A. ないんです。その灰の性質にもよるんですね。含有 物の種類にもよりますし。で、どういう物質が何パーセント ぐらい入ってる灰の場合がどうだとかいうのは、そのもの 自身がなかなかサンプルが集め難いというものもあって。
それの統計的なデータというのはありません。基本的に は火山灰が存在する空間は飛行してはいけない。
Q. 例えばこういうイメージですと。例えば1センチぐらい
の積もるような状況の空気。だからこの辺はもう駄目だっ ていう話ですね。
A. それがほとんど落下するまでは駄目でしょうね。
で、落下した場合にも火山灰が存在するところで離着陸 をしてはいけないというのがあるんですよ。逆に地上に 対しても。そうすると地上、少なくとも空港の表面は火山 灰を無くす、清掃作業が必要で。これだったらない、空中 にも舞い上がってないと。エンジン噴かすと舞い上がりま すのでね。基本的にはそういうことが無い状態が確認さ れるまでは飛んじゃいけないんですよ。ですから地面の 問題と空中の問題と2面で条件が揃わないとちょっと飛べ なくなります。(4)
Q. 当然、その2週間ぐらいがバラバラバラバラ、昼夜問 わず降るわけですので、もうその間は基本的にもう駄目 だという。
A. もう絶対駄目です。ですから、最初のその山から噴出 します。最初はかなり高く上がります。その噴出が、少な くとも続いている間は駄目ですね。で、止まったあとにそ
れが何日間か、何週間か後に大体落ち着くかといういう のは、その時、その時で違うんですけども、それが落ち 着くまでやはり駄目ですね。それが広がったであろうとい う空間、空域に対しては飛行禁止になります。
Q. 駄目ですね。
A. 駄目です。恐らく西風になりますので、空港としては 羽田、成田はもう両方駄目になります。あと、ここの空域 が、これがどこまで広がるかわかりませんが、これが全部 駄目になりますんで、太平洋路線についても飛行コース にかなり影響が出てきます。国際線もだいぶ飛べなくな る。(5)
Q. 当然こっち側入ってきますもんね。
A. ですから、かなり南緯、遠いところから北へ避けるなり、
南に避けるなりして飛んでくるけど、ここは飛べませんの で。恐らく国内線でも国際線でもどの航空会社もそうだと 思いますが、基地を関西空港とか名古屋に移して、そこ で業務をある程度やるしかないんですけども。その空港 の能力には限界がありますから。恐らくかなりの部分は飛 行できない。欠航する状態になるかと思いますね。(6)
Q. キャパシティー が無いですよね。成田と羽田の部分 を補う。それでは本当のあれはできない。そうするともう 飛ばないことですよね 。飛べないんですよね 。
A. 飛べないですよね 。
Q. じゃあ、外国からも当然来れない。その間は。
A. 飛んでこない。で、恐らくその時に地上にありました 航空機、恐らく火山灰が出てきたときにはまず逃がすと いうことをやります。
Q. 他の地域へ。
A. 他のところへ。そのまま火山灰を被っちゃいますと、
もうオーバーホールといいますか、完全に灰がなくなる 状態に飛行機を整備し直さなくちゃいけないもんですか ら。火山灰を被った場合は、エンジン、それからコンピュ ータ関係のシステムも全部交換。それから操縦席の窓ガ ラスも全部駄目になって。良く落ちない。(7)
格納庫があれば入れますけど、格納庫には何機も入り ませんので。その間に逃げる。そうするとここから、大体 30分前後で恐らく灰が来るでしょうから、その間に準備し て逃げれるかっていったら、恐らく無理です。まあ、その 噴火の前には火山性の微動だなんだかんだの兆候があ りますんで、その段階からいろんな対策は講じては行き ますけれども、なかなか逃げれないでしょうね。(8)
Q. そうするとその前ですよね。有珠みたく、割と予知が 確実に、かなり前から予知の話ですので、動かすとなると 2週間の噴いてから降灰が終わるだけじゃなく、その前 も。
A. 前から準備をする必要がありますね。
Q. そうすると飛べなくなる話で。
A. ただ、何時かという不確定な状態の中で前もって止 めるということについては非常に社会的影響が大きいん で、それはできないんですね。ですからいつ発生しても
対応ができるような体制を取りながら通常運行を続けると。
起きた時にはその想定していた対策に応じて待避措置 を取る。まずはそういうことですね。まずは噴火が発生し たと言ったらもう速やかに、飛行中の航空機をその空域 から外します。
Q. それ、すごい便数飛んでいるんじゃないですか今。
それが、ある瞬間、噴きましたと。何も対策が無いまま噴 いたときに、他の地区の空港へ回すというのは今の状態 っていうは 可能なんですか。
A. 無理ですね。個人的にあそこに行きたいと言いまし ても、調整をしているのは国土交通省の管制センターで すから。そこがああだこうだの指示をしますんで、そうす るとやっぱり限界があります。そこが対策がないと、いや うちの飛行機はうちに来たい、こっちに行きたいといって も、彼らは万歳になっちゃいます。有珠の時もそうでした し、三宅の時もそうでした。
Q. そんなもんですか。混乱するんですか。
A. はい。三宅が活動が始まって危ないぞって言われた 時にですね。有珠の事例がありましたので、用意をしてく ださい、で、毎日毎日、もし、今噴火したら火山灰、今日 はどっちに流れるから、今日噴火した情報があったとき には飛行機はこっちに逃がしましょうというのを、みんな で認識した上で管制をやって、直ぐ対応をできるようにし てくださいって、お願いしたんですよ。そうしたら全然そ の体制に無くって。気象庁に対してももし噴火した時には 火山灰はどっちに今日は流れるか、そういう情報を出し てくださいと、いうお願いを何度もした。そしたら、気象庁 曰く、予報と言うのは実況がないとできませんから、実際 に噴かないと予報は出せませんと断られちゃったんです。
そういうスタンスなんです。それで大分喧嘩したんですけ どね。それじゃもう駄目だと、じゃ自分達で対策をしようと。
うちは三宅の時はもう、あれ8月十何日に大爆発しました けれど、7月の末からもう毎日毎日、風を読んで、今日噴 火したらどっちへ流れるから、今日はどっちに行きましょ う。(9)それを毎日毎日やってたんですよ。
Q. 気象庁はやらないんですか。
A. やらないんです。それで、三宅の噴火の時もうちの 便が1番あの周り飛んでたんです。二桁の数を。みんな 避けました。
Q. 国内線?
A. 国内線も国内線も。
◇
Q. JA. Lさんは、それは危ないというのわかっていたか
ら、少し対策が。
A. もう「噴火したよ」っていう情報だけでもうみんな一応
動けるようになってましたので。
Q. 有珠の時もあれだったんですか。そういう。
A. 有珠の時はそれ程用意はしてなかったんですが、一 応用意はしていました。
Q. あの時も、いわゆる千歳が駄目なんですか。
A. 千歳は一時的に火山灰がパラッとありました。
Q. 大気は。
A. その時はあんまり高く上がらなかったんです。それで 大丈夫だったんですよ。だから、火山灰があっても上を 飛ぶことは良い。火山灰が達した高度より下は飛んじゃ いけない。上から降ってくる。ということで、空港じゃない ところにこれが広がっている部分について、上を通り越 す、越えることは大丈夫なんですけどね。こういうところは 低く降りてしまいますから全く駄目になりますけど。
Q. 普通の航路は当然噴火の煙よりは上になる。
A. 噴火次第なんですけどね。有珠なんかではそんなに 高く上がらなかった、4、5000メータぐらいでしたから、そ の上を飛びましたけど。
三宅島も、やっぱり気象庁の監視体制が全然その時 にできていなかったので。最初5000メータぐらいだって いう噴煙だったんです。リポートだったんですよ。そした ら上を越えるかなという話を大体みんなが認識していた。
実際は1万3、4000メータぐらいまで。飛行機が上がれる 高さより上まで行ってましたから。
日本の火山の監視ってなかなか最近力を入れている といっても、気象庁は全部見てないんですよね 。大学と か研究機関の監視センター、体制におんぶに抱っこして。
そういうところから情報を貰ってというスタイルなんです よ。
◇
Q. 今監視体制をきっちりやろうということで、34 の活火
山を指定しまして、それについてはかなり細かくいろんな 体制を立てようという形にはなってきたみたいですね。
A. 国内に大体八十いくつ活火山があるんですよ。それ で気象庁自身で常時監視と言いますか、監視をしている のは十いくつしかありません。
Q. あとは大学ですか。
A. 大学です。大学が一生懸命見てくれているんです。
モニターしてます。
Q. 大学も行政的な判断というのは非常に言い難いとい うか弱い。それが目的じゃないですからね 。
A. 目的じゃないですから。ええ。
Q. 研究になりますのでね。ネットワークはね。そういう意
味ではかなり予算も付けてやっているとは 思いますけど ね。
A. まあ、三宅の教訓でやっとネットワークを作ってデー タを集めるような体制がやっとできたんです。まだ、それ が機能するかどうかわからないですけどね。噴火しない と予想を出さないとかいうスタンスは早く改めてもらわな いといけないんですけどね。始まってからじゃ遅いんで すから。
Q. 静岡の東海地震みたく、もう二十何年も、いつ来るか、
いつ来るかって言われ続けて。まだ。その間に今度は南 海、東南海、東海は一発で割れそうだなんていう話も今、
出ているぐらいですので。地震なんかは瞬間的な話の災