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自主保安規制に関する考え方

ドキュメント内 MRI標準テンプレート (ページ 117-124)

7. 国際的な規制の整合化等に関する調査

7.3 シンガポール

7.3.4 自主保安規制に関する考え方

シンガポールの現地ヒアリング調査における聞き取り内容から、自主保安規制に関する考 え方を以下に整理する。

(1) 規制のあり方

一般的な話として、シンガポールでは国の産業振興のための施策を迅速に対応・実施して おり、国全体が小さいこともまたこれら機動的な施策実施のアドバンテージになっていると 考えられる。

また、保安管理の一義的な責任を明確に企業にあると考えられており、その説明責任を負 っているという点も海外他国と同様である。

(ヒアリング聞き取り内容)

 シンガポールは規制が緩いということは聞いている。その目的は産業振興のためであ る。また実際にシンガポールにおける幾つかの実証実験などを通じて、シンガポール では先進技術の導入を積極的に進めており、新しい技術を積極的に活用する土壌が形 成されていると感じている。例えば、CPTC(Chemical Process Technology Centre81)に 国が予算を投じたのも、国として産業振興をしたいという方針が現われた結果だと捉 えている。

 それぞれのプラントは反応・設備・物質・利用可能データなどが異なっており、それ に応じて管理方法も異なるはずである。政府が画一的な分析手法を要求することは合

81 http://www.petrofactraining.com/training-facilities/details/chemical-process-technology-centre/

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理的ではない。それぞれの企業はそれぞれのプラントの特性を理解する責任を有して いる。

 連続運転期間は義務的な規制要件はなく、企業自身に委ねられており、Safety Case に 基づいて決定されている。逆に連続運転期間の設定について日本政府がプラントごと の特性を踏まえた事業者自身の評価に委ねていないとするならそちらの方が危険だと 感じる。

 Safety Case の中で必要に応じて企業側の判断で先進技術の活用やその効果の説明がな

される。規制当局側はSafety Caseにおける技術の活用要否・内容について個別の要件 化は全く行わない。技術の活用は企業側の判断に委ねられている。

 レイアウトは国際基準があるはずだと思うが、それ以外は企業自身によってリスクを 考慮して決定されるものである。

(2) 先進技術の活用

シンガポールではジュロン島を中心とした石油・化学産業についても積極的な規制対応を 行っていると考えられる。インテリジェントピグ、アコースティックエミッションセンサー

(一般的)、スマートバルブ、HART 通信(横河、SIEMENS)、アラームマネジメントシス テム(ABB)などは一般的に使われており実際に現場に導入されている。

一方で前提として、ICES担当者も先進技術の導入以前に本質安全の追及を優先すべきと EPA担当者と同様のコメントを行っていた点は興味深い。

(ヒアリング聞き取り内容)

 技術の発達は重要であり結構なことであるが、個人的にはこれらの技術を信頼してい ない。プロセスの理解をしっかりして、inherently saferな設備を設計することが第一に 重要である。技術の導入自体が重要ではない。

 基本的には新しい技術も安全に貢献すると考えているが、事故等のしっかりした原因 調査の結果を踏まえて、プラントの設備デザイン、メインテナンスなどのオペレーシ ョンデザイン、ヒューマンエラー提言措置などの対策として反映することがより重要 であろう。

 例示されている先進技術はどれも先進とは呼べないものであり、特に、インテリジェ ントピグ、アコースティックエミッションセンサー(一般的)、スマートバルブ、HART 通信、アラームマネジメントシステムなどは一般的に使われており実際に一社以上で 現場に導入されている。これらの個別技術が導入されているかどうかが重要なのでは なく、これらをどのように使うかが重要でありこれはメカニカルインテグリティを構 成する一部である。

 これらの技術導入によるベネフィットはそんなに大きくはない一方で大きなコストが かかるため、日本企業が先進技術のメリットを感じられず導入に踏み切れないことは よく理解できる。技術は目的を達成するために使うのであり、この場合目的とはリス クを合理的に可能な限り低くすることである。リスクを合理的に低くするためには、

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先進技術を使わなくても別の方法(例えばチェック要員を増やす)によっても可能で ある。

 センサー技術をたくさん導入してもそのデータの使い方(例えばビッグデータ分析な ど)が重要である。

(3) リスクマネジメントの考え方

2016年9月から公布される新しい規制のSafety Caseにおいては、プラントにおける本質 的なリスクを合理的に把握・管理する考え方に関する説明が求められることとなる。Safety

CaseではALARP原則に則った説明が重視される。

(ヒアリング聞き取り内容)

 今年の9月から新しい保安規制(Major Hazard Installation)が開始される。これまでは 保安管理体制(組織体制や PDCA サイクル運用など)について法規制に従っているだ けでよかったが、9月からはALARP原則に則った保安管理を行っている点について自 己説明する義務が追加で発生する(ALARPの考え方/合理的な判断の考え方を導入し た点が新しい)。この自己説明に当たってはSafety Caseという考え方によってエビデン スに基づいた説明・証明がなされる必要がある。Safety Case とは一定の要件を満たし た保安管理の考え方に関する自己説明のことである。Safety Case において政府は個別 の分析方法を要求するわけではなく、分析方法は企業側に委ねられる。

 新しい Safety Case においては定量的なリスクアセスメントが可能な限りで求められ

る。ただし定量的なリスクアセスメントの結果が求められているわけではなく、また

Safety Case の報告義務は5年に一度である(従って政府側がその増減を捕捉できるわ

けではなく、リスク量の増減を要件化することは出来ない)。Safety Caseの説明におい て、プラントにおける本質的なリスクを合理的に把握・管理する考え方に関する説明 が求められ、そのアプローチとして定量的なリスクアセスメントの考え方が求められ る。重要なのはALARP原則に則った説明がなされることであり、把握されたリスク量 を低減させることではない。

(4) 定量的リスクアセスメント

SafetyCase のアプローチにおいてはプロセス安全に関して定量的なリスクアセスメント

が可能な限りで求められる。ただし定量的なリスクアセスメントの結果としての数値の変化 追跡や把握されたリスク量を低減させることが目的ではない。

一方、プラントの設置に当たってはQRAと呼ばれる定量的リスクアセスメントも求めら れているが、これはサイトの立地の際の「最悪のケース」を想定したアセスメントであり、

プロセス安全に関する定量的アセスメントとは異なるものである。

(ヒアリング聞き取り内容)

 現行のPHAではHAZOP や FMEAまたはそれらに相当する分析手法の仕様が求めら

れ、多くの企業は HAZOP を採用している。ここではプロセス安全に関して、定性的 なリスク分析が求められ、定量的なリスク分析が求められているわけではない。

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 監査は2年ごとに実施される。監査はMOMに認定された民間企業(約60社)82によ って実施される。登録の更新は5年ごとに実施される。PHA の見直しは5年ごとに実 施される。

 新しい Safety Case においては定量的なリスクアセスメントが可能な限りで求められ

る。ただし定量的なリスクアセスメントの結果が求められているわけではなく、また

Safety Case の報告義務は5年に一度である(従って政府側がその増減を捕捉できるわ

けではなく、リスク量の増減を要件化することは出来ない)。Safety Caseの説明におい て、プラントにおける本質的なリスクを合理的に把握・管理する考え方に関する説明 が求められ、そのアプローチとして定量的なリスクアセスメントの考え方が求められ る。重要なのはALARP原則に則った説明がなされることであり、把握されたリスク量 を低減させることではない。

 PHAではHAZOPやFMEAまたはそれらに相当する分析手法の仕様が求められ、多く

の企業は HAZOP を採用している。ここではプロセス安全に関して、定性的なリスク

分析が求められ、定量的なリスク分析が求められているわけではない。

 シンガポールでは災安全法(Fire Safety Act)によって化学物質の貯蔵施設に対する定 量的リスクアセスメント(Quantitative Risk Assessment)が義務化されている。QRAは プロセスセーフティに関するものではなく、化学物質の貯蔵と取り扱いに関するもの である。万が一の場合(最悪の自体)にどれだけの被害になるのかを定量的に実施す る。

 この定量的リスク評価においては、環境省(National Environment Agency)の環境保全 基準(15年程度昔に見直しがされたと思う)によって地域ごと(産業地域、商業地域)

に頻度(frequency)や影響(consequence)の基準が策定されておりそれに従って評価 を行う。

(5) リスクアセッサー資格

保安検査は MOM に認定された専門家によって実施されているが、資格制度のようなし くみは存在していない。

(ヒアリング聞き取り内容)

 これらの保安検査はMOMに認定された専門性を持った専門家83によって実施される。

保 安検査 の専 門性は これ らの専 門家 が保有 して いる。 保安 検査員は Risk Based

Inspection の考え方を活用している。ただし保安検査員の資格制度のようなものはな

い。

(6) 人材育成・ヒューマンファクター

WDA(Workforce Development Agency)が一定のトレーニングコースを提供しているが、

82 http://www.mom.gov.sg/~/media/mom/documents/safety-health/lists/wsh-auditing-services.pdf?la=en

83

http://www.mom.gov.sg/~/media/mom/documents/safety-health/lists/authorised-examiners-for-pressure-vessels.pdf?l a=en

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