4. 新認定事業所制度に関する対応案の検討
4.2 新認定事業所制度に関する委員会の検討内容
4.2.4 リスクアセスメントの要件化について
リスクアセスメントの定量/定性の考え方
定性分析よりも定量分析の方がレベルが高い、という認識は誤解である。定性分析と 定量分析は組み合わせて実施し、合理的にリスクを管理することが重要。定量分析の 実施には、定性的なスクリーニングが必須である。(第1回)
対策の優先順位付けのためにリスクの定量化を行っているが、定量化した値のみにと らわれ、その数字を減らすことに注目してしまうと、リスクの発掘を疎かにしてしま うおそれがある。「定量化」という言葉が一人歩きしないような認定要件とすることが 必要。リスクアセスメント全体の手法、リスクの発掘の手法、関与するメンバー等が 重要である。化学工業であれば、反応工学の専門家等も参加する必要があるだろう。(第 1回)
リスクアセスメントにおける定量評価は、ループ別にどこにリスクがあるかという定 性的な発掘を実施していることが前提で、定量・定性が対立するものではない。(第2 回)
例えばリスクマトリクスを用いてリスクアセスメントを定量的に実施した場合、その 結果に基づいてリスク低減対策をとり、その対策による効果を定量的に確認すること が重要なのであり、リスク抽出手法については「新たなリスク抽出手法」であること に力点を置くものではない。(第2回)
リスクを定量評価することと、発掘を継続することは組み合わせて実施すべきもので あり、対立するものではない。両方とも必要であり、そのためにはリスクアセッサー の質が重要となる。(第2回)
IEC61508にヒューマンファクタの側面を追加するという取組に参加しているが、その
中で議論されているのが、リスクの取扱いには決定論的方法と確率論的方法があると いう考え方である。「ナトリウムと水が接触すると爆発する」といった、事象の前後関 係が明確なものが決定論であり、定性分析になじむ考え方である。一方、確率論は定 量的に扱うことができる一方、前後関係を問わずに処理することができてしまい、雑 な考え方ともいえる側面がある。リスクを扱う手法として、決定論か確率論か、定量 的か定性的かを分けて考える必要がある。(第1回)
対策の効果としてリスクがどの程度下がるのか、については、なるべくサイエンティ フィックに、定量的に評価したいと考えている。併せて、対策の選択にあたっては、
経済合理性の観点も重要と認識している。一方、効果の定量化が難しい部分もあると 認識している。事例が少なく検証できない場合もあるだろう。例えば、この対策によ るオペレーターの負担軽減効果を定量的に測るのは難しいだろう。(第2回)
リスクベースドアプローチ・PDCAサイクル
ダメージコントロールに関係する要件が不足している印象。発掘できなかったリスク への対応ができるかという観点で、考慮する必要がある。(第2回)
網羅的なリスクアセスメントを個社に求めることは厳しい。アセスメントデータベー スをつくる等、個社をこえた対応が必要。(第2回)
リスクアセスメントの単位として、事業所のリスクや企業全体のリスクなどがあるが、
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第一線の現場でのリスクアセスメントも、間違うと事故に直結するため、重要である。
今後、より高度化が求められる部分である。(第2回)
リスクアセスメントだけでなく、リスクマネジメント、すなわちPDCA を回すことが 重要。リスク抽出にはHAZOPなどのいろいろな手法があり、リスクの定量化も実施す るが、ゼロになることはなく、継続的に発掘される。リスク低減のターゲットも設け るが、発掘と低減の両面が継続していく。リスクの定量化は、どこに重点的に対処す るかという判断に使うものであり、認定要件としてリスク低減値を定量的に設定する のは良くない。リスクアセスメントのメンバーシップは重要であり、資料2-7記載の通 り。(第2回)
リスクアセスメントといっても範囲・対象が多様であり、全体としてどのようにリス クアセスメントが管理されているか、を確認できるよう、包括的な表現とするのがよ い。(第3回)
リスクアセスメントに係るスーパー認定事業所の要件としては、PDCA サイクルを回 すことができているかどうか、が重要と考える。(第1回)
対策はリスクに応じて実施される。対策の内容だけを要件化するのではなく、リスク 評価に基づいて対策を検討する、ということをもって要件とすることが必要。また、
発生頻度が極めて小さいリスクまで対応することは経済合理性が立たないため、リス クの特徴に見合った対策を行うということが重要。(第2回)
リスクの大きさに応じた対策は、機能安全でも謳われている。リスクの定量化は、優 先順位付けやリスクに応じた対策の検討、対策効果の検討にあたって重要であり、JIS C
0508,0511にも記載がある。(第2回)
日本の事業者は、リスクアセスメントについては世界でも有数のレベルに達している と思われるが、マネジメントについては課題がある。対策による効果の評価等が海外 に比して不十分。国際標準の導入という観点では、JEMIMA 等が JIS 化に取り組んだ
IEC61508及び61511の認定要件への取り込みも一案。(第1回)
現行の高圧ガス保安法の考え方としては、全品検査は必要であるため、検査する品目 を減らすことは認められていない。一方で、検査方法については一律で肉厚検査を求 める等の画一的なものではなく、一定の柔軟性があり、一部リスクベースの考え方を 取り入れているといえる。(第1回)
理想像として、図 4-1 のような姿がある。今までも同様の認識であったが、できなか った。これまでは、保安体制の妥当性立証が難しく、極端に言うと、高圧ガス保安法 に適合しているか否か、という0か1かで妥当性が判断されていた。ALARP領域にお いて自己責任でリスクを低減していくという考え方をはっきり打ち出さないと、これ までと同様の運用となってしまう。「事業者の自己責任のもとに検査周期、検査法を決 定できる」ことを明確に強調してほしい。(第3回)
欧米では、保安は経営戦略と位置づけられる。安全衛生や環境をアピールして経済的 な効果を得る戦略。日本では、このようなスタンスはなじんでいない。リスクベース だけでなく、リターンベースという考え方もある。経営戦略的な捉え方も考慮して考 え方を整理する必要がある。(第3回)
「保安体制の妥当性の立証」の考え方が重要だが、具体的要件には、ALARPやIEC61511 といったキーワードが入っていない。例えば「高度なリスク低減対策」の例として記
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載してもいいのでは。(第3回)⇒企業が自ら立証するという思想は要件の中に組み込 んでいると考えている。具体的な書き方は要検討。(第3回)
開放検査周期係数を0.5から0.8に緩和することについて、本来リスクベースで検査す ることの意義は、自分で検査周期を決められるということ。数値を区切って決めてし まうとその思想と矛盾するので、単に「リスクベースでの検査を認める」と表現した ほうが良いのではないか。(第3回)⇒インセンティブの内容を明示的に示す意味もあ った。表現については検討する。
リスクアセスメントの公開性の要件化
リスクアセスメントの取組レベルを評価する上では、公開性・客観性を指標とするの が一案。リスクアセスメントの取組に誰が関与しているか、どのような条件で試運転 を行っているか、等を確認する。(第1回)
リスクアセスメントには客観性・公開性が求められている。データを開示できる組織 のほうが保安力のある組織といえる。自社の失敗事例を他社に利用できるように公開 している等、公開度の差をもってスーパー認定の要件とするのはどうか。(第2回)
公開性が非常に重要、という意見に同意する。他の企業では検知できないような微小 な事故を検知できる、等の取組は重要。企業の公開性を評価する社会的な仕組みをス ーパー認定の要件にぜひ入れて欲しい。安全工学会の保安力評価においても「弱点を さらす」ことを重視しているが、規制との関係で、弱いところを公開することが難し いという意見はよく出ている。日本社会全体の意識を変えていく必要がある。(第2回)
「産業保安を牽引していく」という視点、すなわち自社の情報を公開することによっ て産業全体を良くしていける企業を評価するという視点をスーパー認定の要件に入れ ることは重要。(第2回)
自主保安高度化事業所の取組水準
認定要件とリスク定量化の取組を結びつけるにあたっては、バランスが問題になる。
どこまで深く取組を実施するかによって、事業者の負荷の程度が変わる。特定の手法 の導入有無だけではなく、取組の深さについて水準が明らかにならなければ、事業所 としては参加しづらい。ベーシック認定制度にもリスクアセスメントを要件とするな らば特に留意すべき。大小さまざまな事業者がいる。特に小規模な事業者にとって、
取組の水準が明示されることが重要。(第1回)
リスクアセッサーの質の向上に関する指摘
来年からは化学物質のリスクアセスメントが義務化される。有害性だけでなく危険性 も対象である。リスクアセスメントの手法はさまざまあるが、プラントの大きさ、種 類、歴史等を踏まえて手法を選ぶ必要がある。手法の選択・実施のスキルのある人間 を育てるための教育機関が必要。認定要件のために形だけ導入する、という状況にな らないよう、教育インフラを整備する必要がある。(第1回)
リスクアセスメント実施者の能力・レベルは重要。とりあげたリスクがリスクマトリ クス中のどこに該当するかを判断する「リスクスクリーナー」の能力確保が必要。(第 1回)