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保安規制の概況

ドキュメント内 MRI標準テンプレート (ページ 111-115)

7. 国際的な規制の整合化等に関する調査

7.3 シンガポール

7.3.1 保安規制の概況

(1) 保安規制法(職場の安全と健康に関する法律:WSH Act)53

2006 年に施行された職場の安全と健康に関する法律 (Workplace Safety and Health Act,

WSH Act54) では、職場の占有者が、従業員の安全と健康を保障するために合理的に実行可

能な手段を講じることを義務付けられている。さらに同法は、労働省(Ministry of Manpower)

が指定するコミッショナーに対し、安全確保のための是正命令や操業中止命令など、広範な 権限を与えている。そして、同法やコミッショナーの命令に従わない者に対しては、罰金及 び懲役刑という罰則が設けられている。

2015年には労働安全衛生 (Occupational Safety and Health, OSH) に関する取り組みの見直 しが実施され、職場における死亡率を2018年までに1.8/100,000人未満にする目標を設定し た国家戦略WSH 2018を掲げてられた55

(2) 労働場所の安全と健康に関する規則2008

2008 年11 月1 日より、労働場所の安全と健康に関する規則2008(Workplace Safety and Health Regulations 2008)により、WSH Act に規定する「工場」(Factories)は、操業を開始 する前に、労働省のコミッショナーに対し、労働場所の安全と健康(Workplace Safety and Health, WSH)に関する通知(Notification)をし、登録証明書(Certificate of Registration:CR)

を申請しなければならなくなった56

53 労働安全制度の概要、ジェトロ・シンガポール、20093

https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/sg/business/pdf/business_sg_01.pdf

54 200631日施行、2009731日改正。法文はSingapore Statutes Onlineより。

http://statutes.agc.gov.sg/aol/search/display/view.w3p;query=DocId%3Aa7b4b808-d195-44ec-aa3d-dd5b1fa938f3%2 0Depth%3A0%20Status%3Ainforce;rec=0

55 MOM HP (2016222日取得)

http://www.mom.gov.sg/about-us/divisions-and-statutory-boards/occupational-safety-and-health-division

56 詳細については「労働安全制度の概要」ジェトロ・シンガポール、20093月を参照のこと。

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表 7-6 労働場所の安全と健康に関する規則2008の概要57 対象 石油精製・石油化学工場

 毒性及び可燃性液体を貯蔵するバルクターミナル容量≥ 5000m3

 フッ素、塩素、フッ素または一酸化炭素の製造に従事する工場

 合成ポリマーの製造に従事する工場

操業前に登録の届出が必要。登録は5年毎に更新。

登録要件 定量的リスク評価 (QRA)

プロセス危害分析 (PHA)58の調査

SS506 パート359に基づく安全管理システム監査

更新要件 5年ごとのPHAの更新

出所)Singapore’s Approach to Process Safety Management, Go Heng Huat, OSHD, Ministry of Monpower, 2012 その登録要件として、①QRA(Quantitative Risk Assessment)の実施。②PHA(⁻Process Hazard

Analysis)の実施、③Safety Management System Auditの実施、が求められている。これは登

録制度であり、登録内容に関する具体的・詳細なチェックを MOM が行っているわけでは ない(人的リソースがなく対応出来ない)。登録すれば基本的に棄却されることはない。

QRAとはSCDF(Singapore Civil Defence Force)が管轄しているプラントレイアウトに関

する、危険物貯蔵に係る最悪の波及影響シナリオを想定した緊急事態想定のための第三者に よる義務的なリスクアセスメントである。このQRAはプロセスセーフティに関するもので はなく、万が一の場合(最悪の自体)の被害状況になるのかを定量的に把握(化学プラント の敷地内に被害影響が収まり外部に波及しないことを確認し、また被害影響が隣の化学プラ ントに波及することを防ぐ)することが目的であり、評価結果を踏まえて、貯蔵量の増減な どの設計調整を行う。この定量的リスク評価においては、環境省(National Environment

Agency)の環境保全基準(15 年程度昔に見直しがされたと思う)によって地域ごと(産業

地域、商業地域)に頻度(frequency)や影響(consequence)の基準が策定されておりそれ に従って評価を行う。

このQRAアセスメントはMOMに認定されたコンサルティング会社60を企業側から選定 して実施される。QRAの手法は各企業に委ねられているが、PHASTやTNOなどのソフト ウェアを使って実施される場合が多い。

なお、2016年4月1日より改正QRAガイドラインが施行される予定である。

57 労働省(MOM)は、主要な製油所・石油化学工場と協議の上、政府が推奨するプロセス安全管理に関す る実践内容を1993年以降整備している。その推奨案 (Recommended Practice, RP) は、OSHA29 CFR

ート1910.119API RP750に沿ったもので、大規模な事故の影響を削減または緩和することを目的として

いる。

58 PHAには、ハザード操作性解析(HAZOP)及び故障モード影響解析(FEMA)または同等の方法を含む。

59 2年に1度行われる安全衛生マネジメントシステム監査のための参照資料

60

http://www.nea.gov.sg/docs/default-source/anti-pollution-radiation-protection/central-building-planning/list-of-registe red-qra-consultancy-firms_dec15.pdf

105 (3) Safety Case for Major Hazard Installations (MHIs)

シンガポールでは2016年9月にSafety Caseが公布、2017年から施行される予定となって いる。これによって、ALARP原則に則った保安管理を行っている点について自己説明する 義務が追加で発生する。

図 7-2 Safety case導入のコンセプト 出所)Safety Case for Major Hazard Installations (MHIs)

Major Hazard Installations Branch OSH Specialist Department Ministry of Manpower

保安規制の改正後は、①PHA(Process Hazard Analysis)、②SHMS(Safety & Health Management System/including PSM)、③ERP(Emergency Response Plan)、④QRA(Quantitative Risk Assessment)などの従来の要件に加えて新しく、MAPP (Major Accident Prevention Policy)

の策定が求められることとなった。この MAPP において最も重要で新しい要素が ALARP 原則を考慮した妥当性の論証である。

プラントにおいて重要な事故の危険性が合理的に十分に提言されていることを規制当局 に説明・納得させる安全の取り組みに関する説明資料がSafety Caseであり、ALARP原則に 則った説明が求められる。

(4) 火災安全法/火災安全規則(石油及び燃物)

火災に関連する安全管理は内務省 (Ministry of Home Affairs)の民間防衛局 (Singapore

Civil Defence Force, SCDF)が管轄している。工場等で火災が発生した場合には、SCDFは消

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火救助活動と共に、ホームページ等で事故に関する情報を公開している61

また、安全管理に関する工場のレイアウトに関しては、SCDF、シンガポール化学産業協 議会(Singapore Chemical Industry Council Limited, SCIC) 会員及び石油・石油化学産業技術安 全委員会 (The Oil and Petrochemical Industries Technical Safety Committee, OPITSC)会員から 構成されるワーキンググループが石油、化学およびプロセス産業におけるオープンプラント 構造物の火災安全に関するガイドライン(Fire Safety Guidelines for Open Plant Structures in Oil, Chemical and Process Industries)を策定している62

このガイドラインには、火災、爆発、その他の危険な状態から生じる損害から資産、人員 及び周辺環境を保護するための合理的な規定が記載されているが、企業の経営者と管理士は 個々の要求事項に関し、適宜管轄省庁63の助言を得ることが求められている。

工場-工場、工場-所有物、工場-設備、設備-設備間の推奨距離が様々な企業の経験および 産業規格に基づきガイドライン64において規定されている。特別な事情により、この距離を 維持することが出来ない場合には、その根拠と対処法を文書化することが求められている65

(5) bizSafe

bizSAFEスキーム666768は小企業を対象とした安全性向上支援プログラムであり、既に多く

に企業が参加し成果を挙げている69。bizSAFEスキームに参加することのメリットは、①安 全の向上、②ステータスの向上、③政府調達での優遇、などである。

(6) 保安検査の期間

火災安全法(Fire Safety Act)では輸送(transport)、貯蔵(storage)、輸入(import)、配管

(pipeline)に対して1年ごとの免許更新の制度がある。ただし例えば貯蔵量が5トン未満 の場合には2~3年ごとの更新となる。

61 SCDF HP

http://www.scdf.gov.sg/content/scdf_internet/en/general/news/news_releases/2010/industrial_accidentatchemicalspec ialtieslimitedjurongisland.html

62 Fire Safety Guidelines for Open Plant Structures in Oil, Chemical and Process Industries, SCDF, 2011.1

http://www.scdf.gov.sg/content/scdf_internet/en/building-professionals/publications_and_circulars/_jcr_content/par/d ownload_1/file.res/Guidelines%20for%20Open%20Plant%20Structures%20-%2012%20Sep%202012.pdf

63 SCDF, Singapore Police Force (SPF), National Environment Agency (NEA), Singapore’s National Water Agency, PUB, MOM

64 Fire Safety Guidelines for Open Plant Structures in Oil, Chemical and Process Industries, SCDF, 2011.1

65 同ガイドライン 3.3.5 Separation and Spacing Tableより。

66 https://www.jisha.or.jp/international/topics/201104_02.html

67

https://www.wshc.sg/wps/portal/!ut/p/a1/jY89D4IwEIZ_iwMrd3yIxq1xkCjGAVToYsBgwSBt2kr_vsjkIOht7-V5cvc ChRRom3c1y3XN27x5ZxpcooPvuyTG3SZMHCTuHsNk4Tlx4PdANg6sT95_Po4MwV_-GegUMnwwABMntkBZ w4uhbkbawlsyoLK8lbKU9lP260proVYWWmiMsY2qrrZifRDKQsGl_q5WXGlIPwwQj2OK93nTRWT2AgTnMHU

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68 https://www.wsh-institute.sg/files/wshi/upload/cms/file/Poster/The%20Impact%20of%20BizSAFE.pdf

69 https://www.wshc.sg/files/wshc/upload/event/file/wshi.pdf

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