• 検索結果がありません。

支 16.00

第 4 節 考察

5%水準)を行ったところ. r理解・評価欲求J で高群>中群>低群, r 関与欲 求」で高群=中群>低群, r過剰関与回避欲求」で高群>低群という結果が得

られた。

次に, NPI-S の各下位尺度と友人への要求尺度との関連を検討した (TABLE 4-3-2) 。その結果, r理解・評価欲求」得点, r 関与欲求」得点と各 NPI-S 得点 との聞に正の有意な相関がみられた。特に「注目・賞賛欲求」と「理解・評価 欲求J r 関与欲求」との聞には,中程度の正の相聞がみられた。「過剰関与回

TABlE 

4‑3‑2  NP卜S と友人への欲求尺度との関連 (N=318)

理解・評価欲求 関与欲求 過剰関与回避欲求

>>  p く 01 p く 001

優越・有能

34 合倉台

‘ 28'合合

10 

注目・賞賛

49> 合金

36> 合合

08 

自己主張

25>> 合

18>> 

15>> 

避欲求」得点については「自己主張性J との聞に低い正の有意な相関がみられ た。

「過剰関与回避欲求」については,自己愛傾向の高群と低群間の得点差は 1.00 とそれほど大きなものではなく,自己愛傾向による 3 群問で顕著な得点差 があるわけではなかった。したがって,本研究の結果から,自己愛傾向の高い 高校生男子は友人に対して今以上に理解・信頼されたい,自分にかかわってほ

しいという欲求を抱いていることが明らかにされたといえよう。

第 4 節考察

1.結果のまとめ

本章では,自己愛傾向と向性の友人関係のあり方との関連を検討した。

まず第 1 節([研究 6]) において,自己愛傾向と自尊感情,向性の友人関係の あり方との関連を検討した。そして自己愛傾向と自尊感情が正の相関関係にあ ることを明らかにした。また自己愛傾向と自尊感情,友人関係のあり方との関 連から,互いに気をつかうことなく親密なつきあいを意味する「深い」友人関 係は自尊感情に,みんなと一緒に楽しくつきあうことを意味する「広いj 友人

[02  第 4 章 向性の友人関係と自己愛傾向

関係は自己愛傾向に関連することを明らかにした。さらに自己愛傾向の下位側 面と友人関係のあり方との関連では. r広くて浅い j 友人関係のあり方が「注 目・賞賛欲求」に. r広くて深いj 友人関係のあり方が「自己主張性j に関連 することを示した。

第 2 節([研究 7]) では,友人の獲得という視点から交友関係の広がり方の個 人差を捉え,自己愛傾向との関連を検討した。その結果.自己愛傾向の高い高 校 1 年生男子は高校入学以降,親友や友人集団を獲得する傾向にあった。

第 3 節目研究 8]) では,自己愛傾向と友人に対する要求との関連を検討した。

そして,自己愛傾向の高い高校 1 年生男子ほど.友人に対して今以上に理解・

信頼されたい,自分にかかわってほしいという要求をもつことを明らかにした。

またその傾向は,自己愛傾向の下位側面のうち「注目・賞賛欲求」が高い者ほ ど顕著であることが示唆された c

2. 自己愛傾向と自尊感情との関連について

[研究 6J における NPI と SE-I との関連より. NPI は全体として自尊感情と 正の相関関係にあった。これは海外における先行研究と同様の結果である。し かし. NPI と SE-I との相関はそれほど高いものではなかった。 NPI は正常な人 格特性としての自己愛傾向を測定する目的で作成された尺度であるが,

DSMュ

III  (APA, 1980) における自己愛性人格障害の記述をもとにしている。その一方 で,自尊感情尺度が心理的な適応の指標として用いられることが多いことを考 慮に入れると,両者が全く同じものを測定しているとは考えにくい。そこで [研究 6J では SE-I を因子分析することにより,より詳しく NPI との関連を検 討した。

その結果, NPI 総得点は「自己価値」と最も高い正の相関を示し,他の下位 尺度とはそれほど高い相関を示さなかった。この理由としては「優越感・有能 感」と「自己価値」の項目内容の類似性が挙げられる。すなわち,この雨下位 尺度はともに自分に対する強い肯定的感覚を意味する内容からなっているとい う点である。しかし項目内容をより詳しく検討すると, r優越感・有能感J が もっ,他者に対する優越感という内容は「自己価値」には含まれていない。し たがって, r優越感・有能感J が意味する自分に対する肯定的感覚は他者との

第 4 節考察 [03

比較も含むものであり,その一方で、「自己価値」はより個人的な,他者との比 較を必要としない肯定的感覚を意味するという点で,両者は異なると考えられ る。

また「注目・賞賛欲求j は. r 自己価値J と正の相関を示す一方で. r評価過 敏 RJ r 自意識過剰 RJ と負の相関を示した c つまり,この下位尺度は自己肯 定感に関連する一方で,社会的な場面においては他者の評価を気にし,自意識

過剰になるといった特徴をあわせもっているといえる。さらに. r 自己主張性J

は全ての自尊感情得点と有意な正の相関を示した c すなわち,この下位尺度は 自分自身を肯定しかつ社会的場面においても不安や気兼ねを覚えないといっ たことに関連している 3 このことは. r 自己主張性」が能動的で、積極的な自己 愛傾向のー側面を測定するという解釈に非常によく当てはまっていると考えら れる。これらの結果は. r注目・賞賛欲求」と「自己主張性j との差異を明確 に示しているといえよう。

3. 自己愛傾向・自尊感情と友人関係との関連について

[研究 6J では, r広い」友人関係を自己報告する青年ほど自己愛傾向が高く.

「深い」友人関係を自己報告する青年ほど自尊感情が高い傾向にあることが示

された。したがって,自己愛傾向と自尊感情とは,青年の友人関係の異なる側 面に関連していることになる。[研究 6J で見いだされた友人関係の「広さ」

とは,みんなと一緒に楽しくつきあうという友人関係のあり方であり. r深さ J

とは,互いに気をつかうことなく親密なつきあいをするというあり方である。

青年にとって親密で、信頼できる友人との関係は,何よりもまず心理的安定感を

もたらす(原因, 1989) といわれている。したがって, [研究 6J で見出された 友人関係の「深さ J と自尊感情との関連は,青年期の親密な友人関係が心理的 適応に影響を及ぼすことを意味していると考えられる。その一方で,自己愛傾 向は自尊感情とは異なり.友人関係の「広さ J に関連している c 自己愛傾向か

高いことは,自分自身に対する肯定的感覚を意味するが,その感覚は常に他者 との比較の中において成り立っている。すなわち,特定の相手と接するよりも 多くの友人と接している方が,比較の対象となる友人が多いため,自分自身の

肯定的感覚を維持しやすいといえるのではないだろうか。

I0第 4 章 向性の友人関係と自己愛傾向

4. 自己愛傾向と向性の友人関係との関連について

[研究 6J と[研究 7J で得られた結果から,自己愛傾向が,広く,多くの友 人を獲得することに関連することが明らかにされた。[研究 6J の調査対象は 大学生と専門学校生であり, [研究 7J の調査対象は高校 1 年生男子である。ま た[研究 6J における「広い友人関係J とは“みんなと一緒に楽しく"つきあ うようなあり方として測定されているのに対し, [研究 7J では親友や友人集 団をどの程度獲得しているかという点から測定されている。このように,調査 対象も使用された項目も異なっているが, [研究 6J と[研究 7J の結果は自己 愛傾向が広い友人関係に関連することを示しているといえる。

また特に, [研究 6J で見いだされた「広く浅いつきあい方J は,現代青年 の特徴として多くの著作,研究で触れられてきている友人関係のあり方である。

そしてこのような友人関係を自己報告する者は,自己愛傾向のうち特に「注 目・賞賛欲求」を高く報告した。自尊感情との関連においてみられたように,

「注目・賞賛欲求j に代表される自己愛傾向は積極的に自己を肯定する自尊感 情に関連するにもかかわらず,社会的な不安にも関連している。このような自 己愛の側面は.自分では自信をもっているが,同時にその自信は他者からの評 価によって容易に崩れてしまうようなあり方を意味している。したがって,自 分自身に対する肯定的評価が崩れてしまう可能性が高くなるような深い対人関 係を回避し広く表面的につきあう傾向と関連するのであろう。

自己愛傾向の下位側面のうち「注目・賞賛欲求」と「自己主張性」は“控え めではない"という点で,共通した意味をもっている。[研究 7J の結果では,

他の自己愛傾向の下位側面と比べて「注目・賞賛欲求J が「理解・評価欲求」

「関与欲求」と関連する傾向にあった。[研究 6J では, r注目・賞賛欲求J が 高い者の特徴として,積極的に自己を肯定する一方で、他者の評価を気にする傾 向にあることが示されている。したがって, ri注目・賞賛欲求」の高い青年は 自分に自信をもっているが,その自信は友人など他者からの評価に依存した不 安定なものと考えられる。その一方で「自己主張性」は,他の自己愛傾向の下 位側面と比べて「理解・評価欲求 J r 関与欲求」とあまり関連しておらず,

「過剰関与回避欲求J と関連する傾向にあった。[研究 6J では, r 自己主張性J が高い者の特徴として,自分自身を肯定しかつ社会的場面においても不安や

第 4 節考察 I05  気兼ねを覚えない傾向にあることが示されている。したがって, r 自己主張性」

の高い青年のもつ自信は,他者からの評価を必要としない,比較的安定したも のと考えられる。これらの結果から,自己愛傾向の下位側面のうち特に「注 目・賞賛欲求」と「自己主張性」が,異なる友人関係のあり方に関連する可能 性があるといえよう c