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支 16.00

第 2 節 現在の恋愛関係と自己愛傾向日H究 10]

TABLE 5‑1‑2  男女込みの異性に対する態度と自己愛傾向との関連 (N=383) NP 卜S

総得点 優越・有能 注目・賞賛 自己主張

消極的態度 -.31

23 ・合合 02  4 1'* 食

回避的態度 -.31**合 20 台育* .06  45 ・合食

評価懸念 22合会合 08  53**会 -.17

日 * P く 001

l.目的

ここでは現在恋愛関係にある異性との関係や恋愛に対する意識の側面を取り 上げる。これまで社会心理学における恋愛研究は,対人魅力の研究文脈の中で 展開してきた(松井, 1990) 。そこでまず,類似性や衡平感など,これまでに社 会心理学における対人魅力研究で指摘されてきた恋愛の発展要因に注目する。

そして,その中に自己愛傾向に関連する要因がみられるかどうかを探索的に検 討する。その検討を通じて,自己愛傾向の高い青年がどのような要因によって 恋愛関係を発展させるのかを探る。

また恋愛に対する意識として,

L e e 

(1973, 1974, 1977) の恋愛類型論に注目す る o Lee は恋愛に関する文献分析や面接調査の結果から,恋愛関係を Mania , また,男女別の異性に対する態度尺度の各得点と NPI-S の各得点との聞の相

関関係を TABLE 5-1-3 に示す。 TABLE 5-1-3 に示されているように,異性に対 する態度と自己愛傾向との関連のしかたは男女でほぼ同じであるといえる。

1I2  第 5 章 異性関係と自己愛傾向

TABLE 5・2司 Lee の恋愛類型論における各類型の特徴(怪井.1鈎3b)

Mania (狂気的な愛) 独占欲が強い。嫉妬悪執司悲哀などの激しい感情を伴う。

Eros (美への愛) 恋愛を至上のものと考えており司ロマンチ y クな考えや行動を

とる。相手の外見を重視し,強烈な一目ぼれを起こす。

Agape (愛他的な愛) 相手の利益だけを考え.相手のために自分自身を犠牲にする事 も.厭わない愛。

sω件(友愛的措) 穏やかな.友情的な恋愛c 長い時間をかけて.愛が育まれる o

Pragma (実利的な愛) 恋愛を地位の上昇などの手段として考えている。相手の選択に

おいては,社会的な地位の釣り合いなど.いろいろな基準を立 てている。

Ludus (遊びの愛) 恋愛をゲームと捉え.楽しむことを大切に考える。相手に執着 せずー相手との距離をとっておこうとする。複数の根手と恋愛 できる。

Eros

, Ag

ape

,

Storge

,

Pragma

, Ludus の 6 類型に分類している(各類型の特徴 は TABLE 5-2-1 に示されている )0 Ak

h t a r  

&百lOmson (1982) や小此木 (1981)に 従えば,自己愛傾向の高い青年の恋愛意識は,恋愛相手に夢中になったり恋愛 相手を理想化したりするなど, Eros 型に近い形をとると予想される。

2. 方法 (1 )調査対象

調査対象は[研究 9J と同一 (383 名)である。この 383 名から結果で述べる 方法によって 210 名を選択し分析対象とした。

(2)調査内容

a .  

NP トS

30 項目からなり,回答は「とてもよく当てはまる J から「全く当てはまら ない」までの 5 件法で測定された。

b. 現在の恋愛状況

和田(1994) を参考に,各被調査者が現在どのような恋愛状況にあるのかに ついて, r恋をしていない J r片思いの人がいる J r恋人が 1 人いる J r2 人以上 の恋人とつきあっている J r一緒に住んでいる J r結婚している」のいずれか ひとつに丸をつけるよう求めた。

C. 恋愛関係の特質

第 2 節現在の恋愛関係と自己愛傾向[研究 10J II3 

恋人や好きな人もしくは家族以外で最も親しい異性をひとり想起させ,堀毛 (1994) を参考に以下の 9 つの質問に回答を求めた。1.相手の年齢, 2. 交際期 間, 3. 相手との関係 「恋人J rボーイフレンド・ガールフレンド J r婚約者・

配偶者J r片思いJ r親友J r友だち J rその他J r当てはまる人はいない」のう ちひとつを選択, 4. 相手への熱愛度: rほとんど熱中していない」から「とて も熱中している」までの 4 件法, 5. 相手の熱愛度の認知: rほとんど熱中して いない」から「とても熱中している」までの 4 件法, 6. 性格の類似性の認知:

「全く似ていない」から「とても似ている」までの 5 件法, 7. 意見や考え方の 類似性の認知: r全く似ていない」から「とても似ている J までの 5 件法, 8 .   衡平感: r相手が私に尽くしている」から「私が相手に尽くしている」までの 5 件法, 9. 相手とのつきあいの重要性: r全く重要でない」から「とても重要

である」までの 4 件法。

d. 恋愛意識

恋愛意識を測定する尺度として,松井・木賊・立j峯・大久保・大前・岡村・

米国 (1990) によって作成されたLee's l o v e  t y p e  s c a l e  s e c o n d  v e r s i o n   ( L E T

S

2 )   を用いた。 LE1ち2 はLee (1974

,

1977)の理論に含まれる 6 つの類型 (TABLE

5

2-1 参照)に対応する恋愛関係の意識を測定するために, H e n d r i c k  

H e n d r i c k   (1986) を参考にして,松井他(1 990) が作成した尺度である。 LETS-2 は,

TABLE  4-2-1 に示されるような 6 つの恋愛類型論に対応する 6 尺度 57 項目から 構成されている。本研究では, 6 つの各類型につき 5 項目ずつ,合計 30 項目を 選択して用いた。回答は, c. で想起された異性について,それぞれの文章が回 答者自身に当てはまる程度を, r全く当てはまらない」から「よく当てはまる」

までの 5 件法で求めた。

なお, c3. 相手との関係において「当てはまる人はいない」に回答した者に は,恋愛関係の特質と恋愛意識についての回答を求めなかった。

3. 結果

(1 

)現在の恋愛状況と分析対象の選択

まず,現在の恋愛状況をまとめると以下のようになる。「恋をしていない J

169 名 (44.13% ;男性 95 名, 51.08%: 女性 74 名, 37.56%に「片思いの人がいる」

TABLE 5‑2‑2  男女込みの恋愛関係の特質と自己愛傾向との関連 (N=210) 

NP卜S 優越・有能 注目・賞賛

03  .01  23'"  .12  06  .05 

16禽 04

‑.06  ‑.03  08  .08  II4  第 5 章異性関係と自己愛傾向

95 名 (24.80% ;男性 38 名. 20.43%; 女性 57 名. 28.93%に「恋人が 1 人いる」

110 名 (28.72% ;男性 46 名. 24.73%; 女性 64 名. 32.49%に r2 人以上の恋人と つきあっている J 5 名(1. 30% ;男性 4 名, 2.15%; 女性 1 名 .0.51%). r一緒に 住んでいる J 4 名(1.04% ;男性 3 名, 1.61 % ;女性 1 名, 0.51 %)。結婚している

と答えた者はいなかった。

以下の分析では,何らかの恋愛関係の状態にある者を分析対象とする。そこ

で,全 383 名中. r恋をしていないJ と答えた 169 名と回答に不備のあった 4 名

を除く. 210 名(男性的名,女性 120 名)を分析対象とした。

ここで選択された 210 名の平均年齢は 19.72 歳(男性 20.12 歳,女性 19 .42 歳)

であり,交際期間は平均 14.66 ヶ月(男性 17.10 ヶ月,女性 12.89 ヶ月).相手の年

齢の平均は 20.61 歳(男性 20.11 歳,女性 20.96 歳)であった。なお,ここで選択 された恋愛関係の状態にある者 (210 名)とそうでない者 (169 名)との問で自 己愛傾向の各得点を比較したところ,恋愛関係の状態にある者の方がそうでな い者よりも「自己主張性」得点が有意に高いという結果が得られた(恋愛状 態:平均 3 1.57. SD6.83 ; 非恋愛状態:平均 30.22 , SD6.32 ; t(377) 竺 1.98, P 

.05) 。

なおこの結果は,男女別に分析を行った場合でも同様で、あった。

相手への熱愛度 相手の熱愛度の認知 性格類似性 意見・考え方類似性 衡平感

つきあい重要性 p く 05P く 01

総得点

。2 22合*

09  13 

一 .09

12 

女合脅 p く 001

第 2 節 現在の恋愛関係と自己愛傾向[研究 10] 11 

張一主一∞げ叩什刊氾己一一由国一一

「優越感・有能感」との聞に有意な正の相関がみられたっまた TABLE ~ト2-3 に 示されているように,男女ともに「相手の熱愛度の認知」と NPI-S 総得点,

「優越感・有能感J との問に有意な正の相関がみられた。したがって,自己愛 傾向,特に「優越感・有能感」は恋愛の対象となる相手からの情熱を受け取る ことに関連することが示されたといえよう。また,女性において,自己愛傾向 の各得点と「相手とのつきあいの重要性」との聞に有意な正の相関関係がみら れた。

TABLE 5‑2‑3  男女別の恋愛関係の特質と自己愛傾向との関連 (N=210) 

NP 卜S

総得点 優越・有能 注目・賞賛 自己主張 相手への熱愛度 06  .06  ‑.13  ‑.05 

.08  .12  .14  .02 

相手の熱愛度の認知 28"  .35

16  .18 

19'  .18'  .10  .19' 

性格類似度 11  .03  .14  .09  05  .10  ‑.06  .07 

意見・態度類似度 15  .17  .14  .05  11  .17  ‑.05  .14 

衡平感 ー 10 ‑.12  ‑.05  ‑.06  .08  ‑.03  ‑.01  ‑.14 

つきあい重要性 一 07 ‑.02  ‑.14  .02  29"  .18'  .26'  .20合 上段男性 (90 名)。下段。女性(1 20 名)

p<.05 ..  P く 01 '"  P く∞I (2) 恋愛関係の特質

恋愛関係の特質として測定された 6 変数の平均及び SD は以下の通りであ る: r相手への熱愛度」平均 3.24. SD.75 : r相手の熱愛度の認知」平均 2.77.

SD1.07 : 

r性格の類似性の認知」平均 3.09.

SD1.25 

r意見や考え方の類似性の

認知」平均 3.15. SD.12 : r衡平感J 平均 2.92. SD1.02 : r相手とのつきあいの 重要性」平均 3.50. SD.64。なお,これらの 6 変数の性差を検討したところ,

「性格の類似性の認知」について男性(平均 2.84. SD1.24) よりも女性(平均 3.27.

SD1.23) の方が得点が高いという結果が得られた (t(208)2.45, P < ー05) 。次に,

これらの 6 変数と自己愛傾向との関連を検討した o

TABLE 

5-2-2 に恋愛関係の 特質として測定された 6 変数と自己愛傾向の男女込みの関連を, TABLE ら2-3

に男女別の関連を示す。

TABLE 5-2-2 に示されているように. r相手の熱愛度の認知」と NPI-S 総得点,

「優越感・有能感J r 自己主張性」との問. r意見や考え方の類似度の認知」と

II6  第 5 章異性関係と自己愛傾向

(3) 恋愛意識

まず, L日ち2 に含まれる 6 尺度に相当する 5 項目ずつの得点を合計すること で, Mania 得点(平均 17.04, SD4.16, α= .83), Eros 得点(平均 15.26, SD 3.88, α= .75), Agape 得点(平均 13.57. SD4.40, α= .84), Storge 得点(平均 15.53 , SD4.23 , α= .66), Pragma 得点(平均 1 1.45, SD4.96, α= .84), Ludus 得点(平 均 13.27, SD4.24. α= .70) を算出した。性差の検討を行ったところ, Pragma  (男性平均 9.84 , SD4.44 ; 女性平均 12.65. SD4 .4 4) と Ludus (男性平均 12.34 , SD4.30 ; 女性平均 13.97, SD4.08) について,男性よりも女性の方が得点が高い

という結果が得られた(それぞれ t(208)4.2 1, ρ< .001  ; t(208) 二 2.79, p<.01) 。 次に, LETS-2 の各得点と自己愛傾向との関連を検討したっ男女込みの LETS-2 の各得点と NPI-S の各得点との相関関係を TABLE 5-2-4 に,男女別の L日ち2 の各得点と NPI-S の各得点との相関関係を TABLE 5-2-5 に示す。

TABLE 5-2-4に示されているように, NPI-S 総得点は Eros, Pragma と有意な 正の相関関係にあった。また NPI-S の下位尺度をみると. I優越感・有能感」

は Eros , Pragma と正の. Ludus と負の有意な相関関係にあった。また「注 目・賞賛欲求」は Mania, Eros と有意な正の相関関係にあった。「自己主張性j は Eros との問に有意な正の相関関係がみられたのみであった。また TABLE 与 2-5 に示されているようにこれらの関係には男女差があり, TABLE 5-2-4 に示さ れたような関係は女性の場合に顕著で、あるといえる。その一方で,男性では

「優越感・有能感」と Eros の聞に正の有意な相聞がみられたのみであった。

TABLE 5‑2‑3  男女込みの LETS-2 の各得点と自己愛傾向との関連 (N=210)

Mania  Eros  Agape  Stor角e Pragma 

Ludus 

*ρ く 05 •• P く 01

総得点

。4 26 会合会

07  10 

15合

10  ...  p く 001

NPI‑S  優越・有能 注目・賞賛

00  .20" 

25" 合 19"

09  .09  06  .12  14'  .10 

‑.15'  ‑.04 

自己主張

‑.00 

1 ア

‑.10 

。 11

11 

‑.13