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支 16.00

友人によって評定された 49 組の形容詞対の因子構造を明らかにするために,

主因子法・ Varimax 回転による因子分析を行った。 後続因子との出有値の差及 び因子の解釈可能性から 4 因子が妥当であると判断し,十分な負荷量を示さな かった 9 項目を除き,残りの 40 項目に対して再度因子分析を行った。その結

果を Table 7-3-1 に示す。

第 1 因子に高い負荷量を示した項目は,無口なーおしゃべりな,きびしいー にぎやかな,などの 14 項目であり,この因子は「外向性」と名づけられた。

第 2 因子に高い負荷量を示した項目は,厳しいー優しい,冷たいー暖かいなど の 14 項目であり,この因子は「調和性」と名づけられた。第 3 因子に高い負 荷量を示した項目は,だらしのない一きちんとした,無責任なー責任感のある などの 7 項目であり,この因子は「誠実性」と名づけられた。第 4 因子に高い 負荷量を示した項目は,弱いー強い,弱々しいーたくましいなどの 5 項目であ

り,この因子は「強さ」と名づけられた。

各因子に高い負荷量を示した項目の平均値を算出し各下位尺度得点とした。

内的整合性を検討するために α係数を算出したところ,各下位尺度の α係数

は 77 から .91 と十分な値を示した (Table 7ふ2 参照)。

冷たい 感じの悪い 不親切な わがままな 悪い 親しみにくい 嫌いな かたい 四角い にくらしし、

強情な 気持ちの悪い

こせこせした だらしのない 無責任な ふまじめな 軽率な 不潔な 感情的な 単純な 弱い il~ 身しい 頼りない 鈍い 弱気な

おしゃべりな にぎやかな 日月るし、

動的な うるさい 社交的な 外向的な 元気な 活発な 陽気な 積極的な 充実した 派手な 自由な 優しい 暖かい 感じの良い 親切な 思いやりのある 良い

車見しみやすい 好きな やわらかい 丸い かわいらしい 素直な 気持ちのよい のんびりした きちんとした 責任感のある まじめな 慎重な 清潔な 理性的な 複雑な 強 L 、 たくましい 頼もしい 鋭い 強気な

5 4 5 8 9 6 3 5 4 1 3 0 5 5 8 3 3 9 2 8 5 8 0 3 9 5 6 1 6 3 5 0 5 7 1 1 4 9 1 0  

nonbUFORdRdkuRdFDRURdA守内4quRuauuRdpbAKUAAquququqJV刈守Foauバ幽Tnd守つιqu勾,,氏uauRlvd 73801896996165056243391102682442112E4nw《。内。00021010203212000111010110111201103E'nonono一一一一一一一一Folli---- 《。内。00021010203212000111010110111201103Eヲ'nonono一一一一一一一一Folli----899461261264108525461167682053a斗円。5unZ3484200012000000202011321011021227nopORd55300320一一一一一一一一一一一「ll1111111111111L

199468650937935bamonopD5《ヨnonopanO4lnu409347060812

1 1 2 0 0 2 1 3 2 2 0 2 0 2 7 ' ' n o a U F O n O R d R d R d 5 5 R d D

‑ 1 3 0 1 3 0 2 0 1 1 1 0   rill--lili---Illit---L一一一 9/a斗内41Anuu5a4斗内d内む『rd426264689128896672742870627'''7f向。nonono戸。向。a4a4a402200132101112001211112203一一一一一

自乗手口 6.96  6.48  3.43  .38  20.24 

寄与率(%) 17.39  16.19  8.58  8.45  50.60 

r60  第 7 章 自己愛傾向により青年を分類する試み

(2) NP卜S 下位尺度と友人評定の関連

NPI-S と各得点との問の相関係数を算出した (Table 7ふ2)r優越感・有能感J は低い値ではあるが「強さ j と有意な正の相関関係にあった。「注目・賞賛欲 求J は「外向性j と有意な正の相関関係にあった。「自己主張性」は「外向性」

「強さ」と中程度の相関を示した。「誠実性J と「調和性J については, NPI‑S  のいずれの得点とも有意な相関を示さなかった。

TABLE 7‑3‑2  NP卜S と友人評定との相関,平均, 50, 得点可能範囲, α係数 (N=384) 自己愛傾向

優越感・有能感注目・賞賛欲求自己主張性 平均 50 得点範囲 α係数 外向性 12'  21"脅 35" 合 5.06  92  1‑7  .91  調和性 ー02 06  ‑.06  5.35  81  1‑7  89  誠実性 .05  ‑.01  ‑.06  4.82  .96  1‑7  77 

強さ 18" ・ 09  31'"  4.73  1.13  1‑7  83 

p く 05 ... P く∞1

(3) 自己愛傾向による 4 群と友人評定との関連

[研究 15J で見いだされた 4 群の特徴を明らかにするために, 2 つの主成分 得点、の高低と性別による 2x2X2 の 3 要因分散分析を行った。その結果,い ずれの尺度についても性別を含む交E作用はみられなかった。性別の主効果が みられたのは「外向性J r調和性J r誠実性」であった(女性>男性)。

性別を含む交E作用がみられなかったことから,男女込みで 2 要因分散分析 を行った。 Table 7-3-3 に,群別の各得点と分散分析結果 (F値)を示す。「外向 性」と「強さ J については自己愛総合の主効果が有意であり,いずれも自己愛

TABLE 7‑2‑3 4 群聞の各友人評定と 2 要因分散分析結果 (F値)

自己費総合 低群 高群 分散骨析結果

注目ー主張 主張憧位 達自慢位 主張世位 注目優位 主効果

n=93  n=96  n=101  n=94  自己量総合法目一主張 交互作用 平均

s o  

平均

s o  

平均

s o  

平均 SO  F (1,380) (1,380) (1,380)

外向性 4.83  82  4.84  89  5.27  90  5.27  96  22.84'"  。伽 s 00n.5  調和性 5.28  83  5.4 78  5.24  84  5.41  79  27n.5  4.82'  ∞n.5 誠実性 4.84  97  4.89  87  4.73  102  4.85  98  61n.5  71n.5  15n.5  強さ 4.67  99  4.30  1.18  5.02  107  4.89  1.15  17 糾山 5.06'  1.11n.5 

p く 05 ・ • p<.Ol  ". p< ∞1

第 4 節考察 r6r 

総合高群の方が低群よりも得点が高かった。また「調和性」と「強さ」につい ては注目ー主張の主効果が有意であり,注目優位群は主張優位群よりも「調和 性」が高く「強さ J が低いという結果が得られたc

以上の結果から,自己愛傾向が全体的に高い者ほど外向的で強い人間だと友 人に認識され, r 自己主張性J に比べ「注目・賞賛欲求」が優位な者ほど調和 的で弱い人間だと友人に認識される傾向にあることが明らかにされた。これら の結果は, [研究 15J で見いだされた自己報告による各群の特徴が,友人にも ある程度認識されていることを示していると考えられる。

第 4 節考察

1.結果のまとめ

[研究 14J [研究 15J [研究 16J では,理論的な先行研究 (Broucek,

1982 

Gabbard, 1989, 1994 ; Rosenfeld, 1987) を考慮に入れ,自己愛傾向の高い者の中

に 2 種類の自己愛に類似した特徴を示す者が存在するか否かを検討した。

[研究 14J では自己愛傾向の高い者を対象に面接調査を行い,理論的に指摘 される 2 種類の自己愛に類似した特徴を示す者が存在する可能性を示した c ま た[研究 15] [研究 16] では NPI-S の 3 つの下位尺度に対して主成分分析を行 い,自己愛傾向の総合指標としての意味あいをもっ自己愛総合と, r注目・賞 賛欲求J が優位であるか「自己主張性J が優位であるかを表す注目 主張とい う 2 つの主成分を得たc このような 2 つの主成分を用いた自己愛傾向の捉え方 を, r 自己愛傾向の 2 成分モデル」と呼ぶこととする。

[研究 15J と[研究 16] の結果から,自己愛総合高群は低群よりも対人恐怖 傾向が低く,攻撃的で個人志向的であり,外向的で強い人間だと友人に認識さ れることが示された。自己愛傾向が全体として高い者は自己に対する誇大感や 他者に対する優越感をもつため,他者に対する積極的・攻撃的な態度を示しや

すいと考えられる。

また注目ー主張に関しては, r注目・賞賛欲求J が優位な者は「自己主張性J

が優位な者よりも,対人恐怖的で間接的な攻撃を行い,社会志向的で精神的不

健康を示す傾向にあることや,友人から調和的で弱い人間た、と認識される傾向

162  第 7 章 自己愛傾向により青年を分類する試み

にあることが示されたコ「注目・賞賛欲求」が優位な者は, r 自己主張性」が 意味する自己主張的行動が少なく,他者からの注目や賞賛を強く期待するなど,

受け身的な態度をもっと考えられる。したがってこのような者は他者からの評 価を気にするため,社会志向的で調和的な振る舞いをし他者を攻撃する際に も直接的な攻撃を避け.間接的な攻撃をする傾向にあると考えられる。その一 方で「自己主張性」が優位な者は,他者からの賞賛を期待せず,能動的・積極 的に他者に対して自分の意見を主張する傾向にあると考えられる。したがって このような者は他者からの評価を気にせず,個人志向的で言語的な攻撃を行い,

調和性に欠けるなど.やや自己中心的な傾向を示すと考えられる。

2.2 種類の自己愛と青年期の適応過程

理論的に指摘される 2 種類の自己愛は,第 1 に自己愛的な者をさらに 2 種類 に分類すること,第 2 にそれらは各々が対極に位置するような特徴を有するこ とが仮定されている。[研究 15J [研究 16J における自己愛傾向の 2 成分モデ ルは.自己愛総合と注目一主張という 2 つの指標を用いることによって,自己 愛傾向が全体に高い者を,さらに 2 つの群に分類することが可能であることを 示唆している。そして,自己愛全体が高い者のうち「自己主張性」が優位な者 が,誇大的で攻撃的な特徴をもっ「無関心型 (Gabbard.

1 9 8 9 )  

J の自己愛に相 当し. r注目・賞賛欲求」が優位な者が,抑制的で引きこもりがちな特徴をも っ「過敏型 (Gabbard.

1 9 8 9 )  

J の自己愛に相当すると考えられる c 先行研究(高 橋,1998

Wink.1991)では 2 種類の自己愛を互いに独立した 2 つの特性として捉 えているが,自己愛傾向の 2 成分モデルを用いることによって,より理論に沿 う形で 2 種類の自己愛を捉えることが可能であると考えられる。

また[研究 15J で見いだされた自己愛総合と注目一主張によって分類され た各群の特徴は,青年期の適応を考慮する上で重要な示唆を与えるものである。

例えば個人化と社会化の発達プロセスモデル(伊藤, 1993b) を考慮すると, [研 究 15J より個人志向性 P と社会志向性 P が高い自己愛総合高群は,自己愛総合 低群よりも心理的に成熟した状態にあると考えられる ο しかし同時に自己愛総 合が高く「自己主張性J が優位な者は自己中心的で言語的攻撃が高く. r注 目・賞賛欲求J が優位な者は間接的攻撃が高いなど,これらの群は周閏の者か

第 4 節考察 163 

ら嫌悪されるような特徴をあわせもっているとも考えられるつところが[研究 16J では,ある程度の傾向は示唆されたものの,このような周囲からの否定 的評価を明確に示す結果は得られなかった。これは,現在良好な関係にあると 考えられる親友によるイメージ評定を用いたためであるかもしれない。また本 研究では被調査者の照合のために学籍番号の記入を求めたが,そのことによっ て被調査者が個人の特定が可能であると感 ι 否定的な評価を避けるよう周囲 に働きかけたことが結果に影響を与えているのかもしれない。自己評価と他者 による評価の差異は,自己中心的な傾向を伴う青年期の自己愛を考慮する上で 重要な視点であると考えられるため,この点については測定方法を改善し引

き続き検討を重ねる必要があるだろう。

3. 自己愛傾向の 2 成分モテγレ

臨床場面において面接対象の特徴をまとめる際には,特性的な視点ではなく 類型的な視点によって記述をするのではないだろうか。その一方で,それを調 査的な手法で測定する場合には.特性的な視点でその特徴を捉えようとするこ

とが多いo 本研究で、扱っている自己愛に関しでも同様であり,臨床場面では類 型的に捉えている概念を,調査的手法では特性として捉えようとする o その点 に.自己愛のような臨床場面に基づく概念を研究していく際の困難さがあるよ うに思われる。臨床場面で得られた知見をパーソナリテイ研究や発達研究に応 用する際には,特性的な視点と類型的な視点のどちらが妥当かを十分考慮する

必要があると考えられるのである。

[研究 15J と[研究 16J で示された自己愛傾向の 2 成分モデルは, NPI-S の 3

つの下位尺度によって測定される特性としての自己愛傾向と,臨床場面に基づ

く理論的考察によって導き出された 2 種類の自己愛という考え方との聞の橋渡

しをするモデルである。「優越感・有能感J r注目・賞賛欲求J r 自己主張性J

という自己愛傾向の 3 側面は,自己愛を特性的な視点から捉える際には有効な

ツールとなる。その一方で自己愛傾向の 2 成分モテールによって分類された 4 群

は,自己愛を類型的な視点から捉える際に有効なツールとなる。[研究 15J

[研究 16J におけるひとつの成果は,特性的な視点だけではなく類型的な視点

からも,自己愛を捉える可能性を示した点にあるといえるだろう。