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総合的な学習と福祉教育

第2章 学校教育における福祉教育の現状

第4節 総合的な学習と福祉教育

第2章学校教育における福祉教育の現状

第2章学校教育における福祉教育の現状

表5「わたしたちの生活と政治」の単元目標と構成

単元の目標

単元の構成

(数字は授業 時数)

(1) 自分たちの日常生活や人々の願いに結びつけて,地方公共団体や国の政治 の働きを具体的にとらえさせるとともに,我が国の民主政治が,日本国憲法の基 本的な考え方に基いて進められていることを理解させる.

・現在の政治は,基本的人権の尊重をもとに,人々の権利や福祉を実現するのが その大きな役割であることを,身近な公共施設の建設や災害復旧への取り組みな

どをもとに理解させる.

・ 国の政を政治との関連で考えることができる.政治のしくみは,国民が選ん だ代表者が構成し,それが運営する議会政治が基本となっていることを,選挙や 国会の働きなど具体的にとらえさせる.

・ 政治が, 「平和主義」をもとに行なわれていることを,国,地方公共団体等 の取り組みを通して考えさせる.

(2) 身近な生活の問題や各種の基礎的資料を活用し,広い視野から社会事象を 具体的に観察する能力を育てる.さらに,地域の諸活動に進んで参加したり公共 施設を大切に利用したりできるようにする.

①一人一人を大切にする政治(7時間)

②みんなでする政治(5時間)

③平和を願う政治(5時間)

3年生での福祉に関連する学習は,公共施設の利用者と関連して障害 者や高齢者の利用,そして施設のバリアフリーについての学習が展開さ れると予想される.しかし3年生の学習ということもあり,基本的には 公共施設と自分とのかかわりについての学習が展開される.つまり障害 者や高齢者とのかかわりについての学習は発展的な取り扱いということ

になる.

6年生の「国民生活と政治の働き」での学習では,目標(1)からも分か るように,公共施設の建設や災害復旧を例にして,国民の声と政治との つながりや政治の仕組みを理解することに重点が置かれている.民主主 義に基づいた政治の基本的な理解といえる.これらの学習を終えて,目 標(2)の身近な問題を学習するのである.しかし身近な問題となると,福 祉に限らず,環境,国際理解など様々な問題を含むものであり,そのた め福祉についての理解を深めるという焦点化された学習へとはなかなか

なりにくい.

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第2章学校教育における福祉教育の現状

さらに家庭科では表6のようになる57.

表6「住まい方のくふう」の単元目標と構成

単元の目

単元の構

(数字は授 業時数)

1 日 活している まいに関心をもち,そのはこらきを えるように

する.

②快適な住まい方をするための採光や照明のしかた,あたたかい住まい 方,すずしい住まい方について考え,くふうして実践できるようにす

る.

③暖房機器の利用,安全な扱い方,部屋の保温や換気などの面から住ま い方を安全にするための工夫を考え,実践できるようにする.

④地域の環境に関心をもち,環境を考えた住まい方を工夫する必要性に 気づき,よりより生活のために協力していくことができるようにする.

1.住まい方のはたらきを考えよう(7時間)

2.快適な住まい方を考えよう(4時間)

3.安全な住まい方を考えよう(1時間)

4.かん境を考えて生活しよう(2時間)

家庭科では,5年生の学習では福祉に直接関係のある学習はなく,6 年生の「住まい方のくふう」という単元の「安全な住まい方を考えよう」

に関連する.しかしこの学習の内容を見ると,生活を行う上での安全と いう視点であり,健常者を対象とした一般的な扱いでしかない.例えば,

安全なくらしでは,家庭電化製品による事故防止が主な学習内容である.

福祉という視点にたち安全なくらし方を考えると,健常者ばかりでなく 障害者や高齢者などの立場から,すなわちバリアフリー58やユニバーサ ルデザイン(universal design)59の視点が必要であると考えられるが,

現在の教科書の構成ではこの視点が欠落している.またこの小単元を取 り扱う授業時数はわずか1時間でしかない.

社会科と家庭科においては,それぞれに教科の目標があるために,福 祉に対する視点は付加的なものであり,教師が注意深くこれらを関連さ

57 w小学校わたしたちの家庭科6年指導編(平成12年度版)』開隆堂,1999年,21−22

58「社会福祉用語辞典」ミネルヴァ書房,2000年,287頁「バリアフリーとは,障害者のため の物理的な障壁を取り除くことを指している,障害のある人の外出を保障することが,現在の 生活環境の整備の発端となった.今日では,バリアフリーは,物理的な障壁を取り除くことだ けでなく,制度的なバリアフリー,心理的なバリアフリー,情報のバリアフリー等障害者を取り 巻く生活全般に関連していると考えられている」坂本洋一解説

59O掲書,339頁「バリアフリーは,障害のある人の生活に及ぼす障壁を取り除くことを目指 していたのに対し,ユニバーサルデザインは,障害のある人を特別の対象とするのではなく,す べての人に使いやすい製品,環境,情報のデザインを目指す」坂本洋一解説

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せなければ,個々ばらばらの,しかも不十分な学習となるおそれがある.

このように福祉の概念を学習する内容については,教科書の上では実質 行われていないのが現状であるといえる.

 それでは,福祉に関する副読本を使った学習ではどうだろうか.福祉 教育の副読本の活用については,山口らが報告しているように60,福祉 教育協力校においてさえ,3分半2前後の教師が利用・活用していない のが現状である.その活用においても,体験活動や交流活動などの様々 な福祉教育活動の事前・事後指導を中心に使用されている.これらが示 すことは,福祉教育が教科との関連において位置づけられているのでは なく,学校行事との関連において位置づけられていることである.した がって,福祉教育に関する学校行事がなければ学習する機会もない,と

いうことになる.

 以上のことから,これまでの教育では, 「福祉」に関する学習につい ては,その重要性を認めながらも,それらを有効に学習する機会(時間 的にも内容的にも)が,教育課程の中にはほとんど位置づけられていな いといえる.これまでの福祉の学習は,担任や学校の裁量に任されてい

たのである.

 そこで今後福祉教育を行う上で「総合的な学習の時間」の活用が重要 になってくる.この時間を活用することにより,教育課程に位置づける とともに,福祉の概念にかかわる内容を学習することができると考える.

60 R口洋史,村上尚三郎「福祉教育『副読本』の利用・活用状況とその課題一その『内容 構成』と『題材』の視点から一」日本福祉教育・ボランティア学習学会機関紙編集委員会

『福祉教育・ボランティア学習研究年報VoL21997福祉教育・ボランティア学習の理論と 体系』万葉舎,1997年,139−155頁

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