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第5章 今後の課題

第2節 地域との連携

      第5章今後の課題

る能力の低下を基盤として学習を進めることができるが,例えば知的障害 など目に見えない障害については, 「障害を機能障害による能力の低下」

を基盤として学習を展開することが難しい.一見すると何も違いが理解で きないからである.知的障害者を理解するためには,その行動を理解する

ことによって障害についての理解を深めるようになると考えられる80.

 したがって福祉教育の内容を構成するこの3つのカテゴリーについて は階層性を考える必要はなく,学習者の要求する学習対象を中心的課題と して,その関連を考慮しながら学習を展開することが必要であるのではな いかと思われる.

 また,どのカテゴリーから学習を開始するかは,子どもの発達にもかか わってくるだろう.本実践では,5年生の児童の興味が「障害による能力 低下」に集まる傾向にあることが確認された.他学年の興味の対象を分析 することにより,福祉を題材にした総合的な学習の系統性が明らかにでき るものと思われる.

       第5章今後の課題

いが9月にもたれた.

その話し合いでは,昨年の成果を確認し,さらに本年度はどのような学習を進め るかについてのであった.その内容は次のようなものである.

社会福祉協議会からの意見・要望

・ 本年度も昨年度のように連携して行いたい.

・ 昨年度は交流体験が少なかったように思う.そこで今年は施設訪問をし  てはどうだろうか.予算についても多少の援助ができる.

・昨年度は発表会を知らない人が多く,後から参加したかったという話を  たくさん聞いた.今年は早く日程を決め,広報で知らせ多くの人に参加  してもらいたい.

学校からの意見・要望

・ 本年度は高齢者を対象とした学習を行いたい.地区内には高齢者の方が  たくさんいる.

・ 自分にできることはないかという視点から学習を進めていきたい.

・なるべく多くの交流を図りたい.そのような機会はないだろうか.

・ 発表会を行うが,本年度は学校で行いたい.

 このような話し合いを行うことで,人と人との交流を通して,お互いを 支えあうという気持ちを育むという目標が共有化させた.さらに,積極的

にかかわる社会福祉協議会の方ばかりでなく,発表会に参加するという形 で,多くの地域の人々に子どもたちの学習に参加できる機会を作.ることと した.このような機会は,考察にもあげたが,子どもの学習ばかりでなく,

大人の学習にもつながる.そして地域の子どもを地域で育てるという雰囲気が 生まれ,それが実践される機会を提供することになると思われる.

 そこで本年度は次のような学習を計画することとなった.交流する機会 として施設訪問,発表会を計画することになった.施設訪問では,社会福        152

      第5章今後の課題

祉協議会の方のこれまでの経験,施設の様子から障害者授産施設,特別養 護老人ホームの訪問と決まった.さらに,学習後には,2月に予定されて いる「独居老人の昼食会」という地区の行事にも児童が参加する予定であ

る。

第3節平成13年度のカリキュラム開発

 本年度は昨年の成果をひきつぎ,さらに新たな活動も加えて11月下旬か ら学習がスタートする.本年度は高齢者を学習対象にしている. 「老化」

については, 「障害」と同様に考えることができる.したがってこの学習 においても重要なことは, 「老化」とはいったいどんなことなのか,どう いうことが目に見えることとして現れているのかを認知する必要がある.

そしてこのような学習と体験的学習との相互作用を図ることにより,単元 が展開されていくことである.そして,これまでとは違い,グループや個 人で進める調べ学習の合間に,全員で訪問・交流活動を計画している点で ある.これは,学習において意欲を後退させる児童や目標が曖昧になった 児童に,新たに自分の考えを再構成するために計画したものである.

①目標

【認知的目標】

・体験や交流を通して老化に対する理解を深める.

・老化のために生ずる能力低下を克服するものやことについて理解する.

・老化のために生じる社会的不利を克服するために必要なことは何かを理解

 する.

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       第5章今後の課題

【情意的目標】

・他者の立場や心情を思いやる気持ちになる.

・福祉に関する学習の大切が分かる,

・ともに支え合い助け合って生きることの大切さに気づく.

【方向目標】

・社会生活における様々な問題点に気づきそれを解決していこうとする態度  を育てる.

・生命の大切さを知るとともに,お互いの人格を尊重する態度を育てる.

・自分にできることは何かを考え,実践する態度を育てる.

②学習の展開

この学習計画案は,11月下旬から実施される予定である.筆者の実践をもとに,

学習の中ほどで共通の体験学習を取り入れ,修正し発展させたものである.

学習活動

指導上の留意点

第一次

妺ロ題量定1

・インスタントシニア体験をする E体験をもとに感想を話し合う

・これまでのお年寄りとの交流について思

「出す.

E興味をもったことをウェビング,KJ法により

ョ理する 第二次

スめし学習

・課題についての調べ学習や交流

?ョ

・調査活動は自由に行わせる,

第三次 ロ題投定H

・課題のふりかえり

Eこれからの学習への見通し E施設訪問へ向けての話し合い

i自分たちにできること)

・課題のふりかえりをさせ,心内の解明に向 ゥっているか,調査方法はこれで良いかを bし合わせる.

E自分たちにできることはないかについて考 ヲ話し合う.

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第5章今後の課題

第四次 ・施設訪問の準備をする ・グループごと,学年全体でできることなど整

調べ学習 理し計画を立てさせる.

第五次 ・施設訪問をする. ・感想をノートに書かせる.

施設訪問 ・喜んでもらえることを考えて実行 ・計画したこと以外に思いついたことでも積

する 極的に取り組ませる.

・相手の感想をもらう・

第六次 ・調べたこと,施設訪問で思ったこ ・グループごとに調べたことをまとめ,ポスタ

学習のまと とをまとめ,地域の方に報告する 一セッションという形で発表会を行う.

会をひらく. ・地域のいろいろな方に参加してもらう.

発表会 ・活動全体のふりかえり ・活動全体をふりかえり,感想を発表しあう.

 以上が大まかな計画である.これをもとに,実践を進めながら方向を修 正していく.そしてこの学習で得られた成果について評価し,さらに次の 計画へいかしていきたいと考える.

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おわりに

おわりに

 福祉にかかわる総合的な学習では,情意的な目標ばかりが強調され,

交流や訪問という体験的な学習が設定されることが多い.今回の研究で は,福祉教育の認知的な側面の整理を行った.そして情意面ばかりでな

く,認知面とのバランスの取れた学習を図ることにより,福祉の概念で ある「自立と連帯」に近づくことができたと思われる.しかしながら,内 容構成については,まだまだ実践を通した研究が必要であると思われる.

そしてこのような研究の積み重ねにより,福祉にかかわる学習の精緻化 や系統化を図ることができると思われる.

 また福祉のカリキュラム開発を通して地域との連携が強化できたこ とは大きな成果である.こういつた連携を単年度で終わらせるのではな く,何年も継続することにより,地域と密着した学校づくりが展開でき

ると思われる.

 本研究では総合的な学習のカリキュラムを開発するための4つの視 点を提案した.この視点にそってカリキュラムの開発を行うことで,教 育目標と学習内容の整理ができ,児童への支援が明確となり,評価の視 点をもつことができる.本研究では福祉を題材としたが,これは環境に おいても,国際理解などのその他の題材においても同様の視点となると

思われる.

 筆者はデューイの思想をもとに4つの視点を提案したのであるが,こ れら4つの視点は互いに独立している部分もあり,また関連しあってい

る部分もある.特に総合性については,内容的なものについて整理し精 緻化する必要があると思われる.今後はこれらの視点について,さらに 研究を深めていきたいと考える.

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       おわりに

 また市や校区の社会福祉協議会とかかわる中で,地域と学校が連携し て福祉教育にかかわるカリキュラム開発の可能性が確認された.これま で,社会教育,学校教育においてばらばらに実施されていた学習を統合 して行うことができる.これにより,子どもの学習に幅が広がるばかり でなく,大人も一緒に学習できることになる.これに加え,人的援助が 得られること,学習にかかわる経費などの点についても,お互いにメリ

ットがある.今後とも継続しカリキュラムを作り上げていくことができ

ると思われる.

 地域にかかわる総合的な学習はまだまだたくさんある.福祉にかかわ る学習を一つの契機として,他の様々な学習についてもいっそう連携を 深めていきたい.

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