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情意領域の分析と考察

第4章 「ともに生きる新川〜新川小からの発信〜」の授業分析

第3節 情意領域の分析と考察

 この節では,関心水準や態度水準という情意領域においてどのような 変容がみられたかを分析していく.そのために「関心の水準」 「態度の 水準」とブルームらのタキソノミーとを組み合わせて作成した評価の枠 組みを作成し,具体的な評価基準を設定した.情意の分類とはこれらを もとに筆者が仮定したものである.(表23)

表23情意領域の段階と具体的評価基準

水準.の麓 福祉に関する内容 情意の分類

受 容 ・障害者や高齢者などについて何らかの感想をもつ.

    ・福祉に対する活動を通して,何らかの感想を持った反 応   り,福祉に対して興味や関心を持ったりする.

気づく

価値化 ・福祉に関する学習をすることに対し意義を感じる.

分かる

震繍剛健慧講灘皇鯉箋繰る旦常の

行動化 ・ボランティアなど自分に何かできることはないか考

える. 行動する

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第4章 「ともに生きる新川一新川小からの発信」の授業分析

 まずアンケートによって変容の見られたグループや個人が実際にど のような学習を行い,どう変容したのかを児童の書いた学習後の感想に よって分析していく.

 さらにこの基準にしたがい,アンケートでは変容に見られない児童に おいて,情意領域において高まりがみられたかどうかを児童の記述を分 析し考察していくものとする.

(1)アンケートによる変容の分析

  「関心の水準」 「態度の水準」とブルームらのタキソノミー,筆.者の

設定した情意の領域とをアンケートの項目と組み合わせると表24のよ

うになる.

       表24子どもの即時的変容をみるアンケート項目   タキソノミー

水準   の分類 対応するアンケート項目 惰意の

分類    ①障害を持つ方やおとしよりについてのニュースが気にかかる.

受容

   ⑤障害を持つ方やおとしよりとは,なるべく話をしたくない.(R)

   ③障害を持つ方やおとしよりと,もっと話がしたい,もっと相手を知りたいと    思う.

反応   ④障害を持つ方やおとしよりが困っているのを自分のことのように心配と    なる.

気づく

   ⑥障害を持つ方やおとしよりと一緒に楽しめることが,もっとたくさんあれ    ばよいと思う.

価値化   ⑬障害を持つ方やおとしよりだからといって,遠慮ばかりするのではなく,

   もっといろいろなことに参加したほうがよいと思う.

   ⑩障害を持つ方やおとしよりは,「自分と同じ仲間だ」と思う.     分かる 組織化⑪障害を持つ方やおとしよりと一緒に遊びたいと思う.

   ⑫障害を持つ方の「障割やおとしよりの「年齢」には,あまり目が向かず    気にならない.

注)Rは反転項目をさす.

 アンケートによれば, 「関心水準」 「態度水準」ともに全体的には有意 差(p〈.05)はみられない.しかしグループ別では,グループ4において「関 心水準」 「態度水準」ともに平均点の増加に有意差(pく.05)がみられた.

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第4章 「ともに生きる新川一新川小からの発信」の授業分析

①グループ4の分析

 このグループのアンケートの得点は図12である.

 このグループのテーマは「障害者のための施設と工夫」である.この グループの学習活動は,

・郊外型の大型店舗の現地調査

・市街地のバリアフリーやマーク調べ

・インターネットによる情報収集

が学習の中心である.特徴的であるのは,郊外型の大型店がこのグルー プの保護者が経営者であることから,実際に調査した際には,店員に中 を説明しながら案内してもらい,さらにこの店舗がかかわる町づくりの 話も聞いたようである.このことは,障害者のためにさまざまな工夫を 身近にしている人がいることを知る機会となったと考えられる.この経 営者を保護者にもつ児童4−C40はアンケートの得点全体においても有意

(p〈.05)に増加が見られる.

 また,調査を店舗だけでなく市街地においても行っている.そこでは,

車椅子のまま入れる公衆電話,点字ブロック,音の鳴る信号機,さらに 盲導犬が入れるマークを表示した店舗,身体障害者の駐車場のマークな

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第4章 「ともに生きる新川一新川小からの発信」の授業分析

どを見つけている.このような調査を行うということは,福祉に関する 学習をすることに対する意義を感じるという価値化の段階の活動である

といえる.

 これらの調査は,バリアフリーに対していろいろな工夫がしてあると 肯定的な感覚をもつのではないかと思われる.しかし,インターネット で見つけたホームページでは,街中にあるバリアフリーに対しての様々 な不備が指摘されているのである.しかもこのページの作成者が障害者 であるので,児童たちの心をとらえたようである.その中には身体障害 者用の駐車場があっても使用ができないようにコーンが置いてあること や障害者用のトイレが2階にあることなど施設や設備があっても,障害 者の人が使いやすいかどうかについては配慮されていないことが指摘さ れているのである.

 児童が発表で伝えたいことを次のように記述している。

・車いすの設備や障害の人たちのための工夫とかを知ってもらいたい.(4−CO6)

・障害者のための設備は整ってはいるものの,まだ完全には整っていないから自分からでも親 切にしたらきっと障害者が楽になる.(4−CO7)

・サンパークのあじすには障害者のための工夫や設備はどれだけあるか,困る場所はどういうと

ころか.(4−C11)

・とてもたくさんバリアフリーのための施設があるが,バリアのある人が困っているときは声をかけ てほしい.(4−C16)

・車いすのための設備を知ってもらいたい.(4−C40)

 これらをみると学習で得られた事実をすり合わせることにより,自分 なりの考えをもったのではないかと思われる.つまりこれは,学習で得 られ意義を自分なりに理化し,日常の様々な事象に結び付けてて考える という組織化の段階であるといえる.

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②グループ6の分析

 グループ6では,グループ全体としての変容は見られないのであるが,

態度永準における平均点が有意(P〈.05)に増加した児童1名と減少した 児童2名が所属する.このグループの学習については,前節(107頁)

において分析しているので,ここでは割愛する.

 得点の増加している児童6−C13は大変スポーツを好む児童である.地 域のスポーツ少年団(野球)に所属し,中心選手として活躍し,運動面 においては周囲の児童からも一目置かれる存在である.この児童にとっ て,何もできないと思っていた障害者がさまざまなスポーツをしている

ことを知ることは,共感するところがあったと思われる.感想にも

パラリンピックは脊髄損傷をおった人のために作られたスポーツ大会ということを知り ました.長野パラリンピックは参加者が1065人もいたことを知りました.パラリンピック の参加者はどんどんふえていくのかな.(競技が増えると聞いたので参加者は増えて いくと思います)

バスケットの人に話を聞きたい.障害者が楽しんでいる施設を調べます.

と記述しているように,スポーツをしている障害者との交流を望んでいる.

 得点が減少している児童は6−C15,6−C27の2名である.このうち 6鴫15は,集団への適応が十分目図ることができず,話し合いの最中に 教室から飛び出したり,けんかをしたりすることがこれまでにも何度か みられた.その原因は,話し合いにおいて自分の意見や気持ちがうまく 伝えられなかったり,本人のわがままや怠慢であったりする.この学習 においても,話し合いがたびたび中断したことが,リーダー格の6−C27 も含めて,この学習に対する興味を減退させていったのではないかと予 想される.もちろん教師集団もこの問題に対しては,グループ全体や該 当児童に対して話し合いをもったり助言をしたり,時には一緒に活動し

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第4章 「ともに生きる新川一新川小からの発信」の授業分析

たりしながらかかわってきた.

 しかしながら,これらの児童はアンケート得点が減少しているものの 学習後の記述においては,

電話お願い手帳などがあることが分かった.ぼくたちにできることは,電話を代わりに したりすることということを知った.障害者は不自由だからぼくができることをして手伝 いたいです.(6−C15)

パラリンピックは障害者の人はやって楽しめて,障害がない人は応援して楽しめると 思います.あと「手話とはこれだ」を見て,手話はやっぱり覚えておいたほうがいいなと 思いました.他に目の不自由な人の指導の仕方が分かりました.目の不自由な人を 抱くようにして歩かせてはいけないということです.(6−C27)

とあり,この学習を通して得るものは十分にあったと思われる.

(2)情意評価基準による評価

 情意における変容を観察された児童の学習の様子や児童の記述した感 想をもとに,それぞれの段階における分析を行う.

①受容段階

障害者や高齢者について何らかの感想をもったか

 車椅子・アイマスク体験の感想を聞いてみるとマ4,95.3%(43人中41 人)が「車椅子は怖かった」「アイマスクでは何も見えないので不安だっ た」というものであった.アイマスクで不安を覚えた児童は「見えてい るから怖い」のであり,中途失明者の視点には立っているといえるが,

生まれつき全盲である人の立場に立っているとはいえない.しかし,少 なくとも「目が見えない」という他者の立場にたった時,今まで何も気

74授業後に挙手による調査を実施.感想はそのときに児童が発表したものである.

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