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学校教育における福祉教育の分析と課題

第2章 学校教育における福祉教育の現状

第5節 学校教育における福祉教育の分析と課題

      第2章学校教育における福祉教育の現状

      第2章学校教育における福祉教育の現状

(1)神奈川県横浜市立日枝小学校の実践61

【単元名】「めざせ!ハートプルダウン・日枝」(6年)

【授業時数】69時間

【単元目標】

 いろいろな人かかわったり交流を深めたりしていくなかで,人の心の あたたかさややさしさを知るとともに,共に生きる社会の一員であるこ とを自覚し,自分たちにできることをすすんで実践していこうとする.

【主な活動】

「身近にいる人との交流を深めよう」 「ハートフルセンターをオープン しよう」の大きな2つの活動である. 「身近にいる人との交流を深めよ う」は,「地域活動センターの方々と活動しよう」「お年寄りと仲良くし よう」の活動からなる.これら3つの活動は,障害者と高齢者との交流

活動である.

 まず「身近にいる人との交流を深めよう」の活動は3つの活動から組 織されている.1つめは「地域活動センターの方々と活動しよう」である.

この活動は,学区内の中途障害者地域活動センターを訪問し,障害者の 製作活動を見学したり,障害者の清掃ボランティア活動などを共にした

りすることで,交流を深めていくものである.うまく話をすることがで きるように学級で話し合い,交流を重ねることで自然に接することがで きるようになる.

 2つめは「お年寄りと仲良くしよう」という活動である.これは昨年 度の活動の引き続きで,学区内に住む一人暮らしのお年寄りに安否訪問

をするというものである.その訪問活動で問題が起こるのだが,その間

61 カ部省『特色ある教育活動の展開のための実践事例集一「総合的な学習の時間」の学 習活動の展開一』教育出版,1999年,92−95頁

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題に対しては,学級での話し合いを通して解決を図っている.

 3つめは「うきうきわくわく交流会を開こう」である.これは,これ まで交流した人々を学校に招こうというものである.

 「ハートフルセンターをオープンしよう」という活動では,これまで 学習した成果を全校の児童や地域の方々に発表するものである.

 これらの目標と活動を前述した4つの視点から評価していきたい.

①総合性の視点

 ここでは,活動のなかでの問題を学級での話し合いを通して解決を図 っている.しかしながら,障害者や高齢者とかかわりながら,障害や老 いということに関する科学的な理解は行われていない.高齢者との交流 の中で「来てくれるのはうれしいけど,疲れる」という問題が起こった ときに,これまでの自分たちの行動について反省し,相手に合わせた行 動に帰ることで問題解決を図っている.しかし,ここで「老い」というこ とに関して科学的に理解することを通して相手を理解するのではない.

障害者に対しても,同様に科学的理解がなされていないといえる.つま り,高齢者や障害者との共生に対する捉え方が,情意的なものが中心と

なうている.

②社会性の視点

 障害者や高齢者との交流を重ねたり,学級での話し合ったりという活 動を通して人と人との相互作用という点では,十分に達成されている.

しかし,障害者や高齢者が社会的にどのような状況に置かれているのか という視点での子どもたちの認知が不十分であるのではないかと思われ

る.

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③個人性の視点

 これらの学習を通して,子どもたちは「無理することなくできること が始めることが大切」「誰にでもできることはあζ」という,いわゆるボ

ランタリズム(voluntarism)といったものを獲得している.これらは実 践に対する態度が形成されているとも考えられる.

④地域性

 地域の施設や高齢者の安否訪問という,地域に密着した学習である.

また,学習成果を地域に向かって発表している.しかし,一般の地域住 民がどのように福祉にかかわっているかについては,十分に学習してい るわけではない.

 この学習では,障害者や高齢者に対する科学的な認識という視点が欠 落していると指摘できる.そのため,これらの学習が交流活動を中心と

した情意面の向上をねらったものとならざるを得ない.徳目主義に陥る 危険性をはらんでいるのである.しかし,交流の時間を多く設定し,問 題が発生すると学級で話し合うという体験的な学習と問題解決的な学習 を一元的に取り入れ,さらに活動が単発でなく,継続的に行うことによ って,情意面の向上を図っているといえる.

(2)福岡県北九州市立祝町小学校の実践62

 祝町小学校では,平成7年度文部省調査研究委嘱校,平成8・9・10 年度は文部省研究開発学校としての指定を受け,教育課程について研究

を進めてきた.この学校では,総合的な学習の時間と生活科を一本のラ

62天笠茂,寺尾慎一,野田茂序,北九州市立祝町小学校著『総合的学習への挑戦16 子どもと創る総合的学習学年別年間指導計画の構想』明治図書,2000年

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インとした「生活創造科」という新たな教科を設立し,この教科を中核 とした教育課程を編纂している63. (図4)

       娚 豊

図4祝町小学校の「生活創造科」導入による教育課程構想図

 この新しい教科は, 「環境」「国際理解」「福祉」「自己理解」の4つの分 野の学習内容で構成され,1年生から6年生までの系統的に学習してい るとごろに特徴がある.福祉に関する領域の学習における系統は次表の ようになる.(表6)

 この年間計画についてカリキュラムの4つの視点から分析してみたい,

①総合性

 このカリキュラムでは,国語科や道徳など他教科や他領域との関連が 図られている.しかし福祉問題にかかわる内容についての関連は薄く,

情意的なかかわりを重視する傾向にあるといえる.

 次に体験活動が準備されており,子どもはその流れによって学習を展

63 O掲書,25−31頁

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課している.子どもが疑問に思い,問題を解決していくという問題解決 の過程にそって学習が展開されているかどうか疑問の残るところである.

表7福祉に関連する指導計画(祝町プラン)

学年 単元名 時数 内  容

1年 } い   , ウ 》 17 vのあそび,いわいまちオリンピックをしよう、のあそびをさがそう 祝町のおじいさん,おば

?ウんこんにちは 24

 分の っているおじさん,おひあさんを  しよう.

ィじいさん,おばあさんをたずねる計画を立てよう.

ィじいさん,おばあさんと一緒に遊ぼう.

ィじいさん,おばあさんにお礼のお手紙を書こう.

2年

祝町のボランティアのみ ネさん,こんにちは 12

小ランティアをしている人とはなそう.

{ランティアはどんなことをしているのか聞こう.

墲スしたちのまわりでボランティアをしている人をさがそう.

墲スしの見つけたボランティアを知らせよう.

カぶんにできるボランティアをしよう.

3年 生き生きおじいさん,お

ホあさん 15

 の き きおじいさん,お}あさんの  を めよう.

Zを学びに行こう.

wんだ技を紹介し合おう.

祝町ふれあいネットワー

N(1学期) 24

わたしの の 化について調べよう.

N長者の体について模擬体験しよう.

N長者を支える地域の協力について調べよう.

n域に住む一人ぐらしの年長者と話しをしよう.

4年 祝町ふれあいネットワー

N(2学期) 14

  の年  について えよう.

n域に住む一人ぐらしの年長者を支える協力をしよう w芸会に招待しよう

ッ  へ   》・ツ ワー

@3惑

10 わたしたちにできる地域の 長 とのふれあいをしよう.

沁ルヲ議会の人にわたしの考えを知らせよう.

5年 めざせ!バリアフリー祝

25

 域  の  子バスケット選手のYさんとバスケットをしよう シの障害のある人の生活や生き方について知りたいことを話し合 ヘ擬体験をして,障害のある人の生活を感じ取ろう.ィう

瘧Qがある人とのふれあいから,障害について考えよう.

ともに生きる〜高齢化社

?ノ向かって(1学期) 12

大蔵の養護老人ホーム「西峰会」(正寿園,西三園,大蔵園)を訪 竄オ,園の入居者のくらしにふれよう

6年 ともに生きる〜高齢化社

?ノ向かって(2学期) 30

施設の 子, く人々の 子,生活されている方の 子.

サこの人と話をしよう.

墲スしたちにできることをしよう.

ともに生きる〜高齢化社

?ノ向かって(3学期) 8

 設の 子.

カ活されている方の様子.

w詹サ社会に向かってこれからの自分のあり方

②社会性

人とのかかわり,交流が学習の中心である.低学年から地域の高齢者 とかかわる機会が多く,また高学年では福祉施設の方との交流もある.

障害者との交流でも,身体障害者,知的障害者をふくめた交流である.

しかしながら,高齢者,障害者が置かれている社会的状況,生活環境 に対する認識については十分であるとはいえない.これは,人との交流 が中心であり,社会とのかかわりの視点が薄いためではないかと考えら れる.つまり,障害者や高齢者の視点で生活環境を見たときに,様々な 気づきが生まれ,これらを整理することによって福祉の問題を子どもた

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