第2章 学校教育における福祉教育の現状
第3節 福祉教育の学校教育への位置づけ
第2章学校教育における福祉教育の現状
第2章学校教育における福祉教育の現状
福祉教育の3つの目標には以上のような階層性があると考えられる.
これらの目標を学校教育に位置づけるにあたり,次の二つの見方が生
まれてくる.
まずは福祉教育を広義にとらえ,学校の教育活動を「福祉教育」の視 点から見直すというものである.つまり,福祉教育は人権思想が基盤で
あるので,この人権思想からすべての教育活動・教育内容を見直すので ある.福祉問題や福祉活動を扱うことのみが福祉教育ではなく,例えば,
学級の中での助け合いや支え合いを福祉の実践として捉えるというもの である.そうすると,授業でお互いに協力する活動や教え合い話し合う なども福祉の実践として捉えるごとになる.つまり授業の場面で「共同」
的な活動を行ったり,助け合いや支え合いを考えさせたりすることが即 ち福祉教育であるとするのである.このように広義に福祉教育を捉える ことは,福祉教育を付加的なものと捉えがちである現状に,新たな視点 を与えるものとなる.このような視点は,福祉教育の目的である「福祉 的な心情や態度を培う」ことに重点を置くものであり,福祉教育と学校 教育の融合といえる観点である.
次に福祉教育を狭義に捉えると,障害者福祉,高齢者福祉等の様々な 福祉問題にかかわる学習ということなる.そうすると学校教育の教育課 程の中に,福祉問題にかかわる学習を「付加」する必要がある.これま で教科の発展や特別活動において実施されてきた福祉教育は,これにあ たるといえる.これは福祉教育の目的の②社会福祉についての知的理 解・知的関心を深める,や③社会福祉への自発的・市民的参加(実践と 運動)を促すことにあたる.しかし,問題となることは,おもに③社会 福祉への自発的・市民的参加(実践と運動)を促すことが強調され,と かく活動することが目的とされてきたことである.
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第2章学校教育における福祉教育の現状
福祉教育は,①から③までの目的が三位一体となって進められる必要 があると考える.なぜなら,これら3っの目標は,それぞれが独立して いるものではないと考えられるからである.つまり福祉的な心情が育っ ていないと,福祉の問題に興味関心をもって取り組むことは難しいと考 えられるし,基本的な知識がなければ福祉ボランティアなどの実践は難 しいと考えられる.また体験がなければ,福祉の問題を現実の問題と捉 えることは難しいし,実践へと結びつきにくい。また体験したことや感 じたことを知的な学習において再構成することがなければ,福祉に関す る知識をより確かなものにすることができない.基本的な知識がなけれ ば,問題意識も高まらないし,福祉に対する関心も高まりにくい.した がって,これら3つの目的が常に意識される必要があると考える.
以上のことから福祉教育を学校教育に位置づけるには,
・学校教育目標と福祉教育目標の融合
・福祉の視点に立つ学習指導,つまり社会的相互作用の重視
・福祉問題にかかわる学習の教育課程への位置づけ
・福祉問題にかかわる学習の体験と知的学習の重視 といった視点が必要であるといえる.
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