第 6 章 Sagnac ループファイバにより得られた直交位相スクイズド光の時間域ホモダイン計測を用いた
6.2 ホモダイン測定による純粋化の原理
6.3.2 実験結果
“signal”側の時間域ホモダイン測定によって得られたヒストグラムをFig. 6.3に示す。アンチスクイジング
成分の雑音を測定しているときは,ポストセレクションを実行すると,分布が細くなり,分散が減少している ことがわかる。また,ポストセレクションの前後でガウス分布を維持している。一方で,スクイジング成分で はヒストグラムの分布はほとんど変化しなかった。“signal”側の直交位相振幅の分散をさまざまな直交位相で 測定した結果をFig. 6.4に示す。図にはη1が0.5と0.8のときの二通りプロットした。元々のアンチスクイジ ングレベル∆2Yinは12.6dBで,ポストセレクションにより,η1が0.5のときは∼4dB,η1が0.8のときは
∼7.5dBまで低減した。一方,スクイジングレベルは実験的な誤差の範囲に留まった。
また,Fig. 6.4(a)を用いてポストセレクションの前後の状態のWigner関数を構築した。これは準確率密度 関数と呼ばれ,以下のように定義される。
W(x, p)≡ 1 π
∫ ∞
∞
dξexp(−2jpξ)
⟨ x+1
2ξ¯¯
¯¯ρˆ¯¯
¯¯x−1 2ξ
⟩
. (6.13)
この関数は確率密度関数に似た性質を持ち,任意の直交位相振幅xに対する確率分布はWigner関数をxと直 交する直交位相振幅pで積分すると得られる。すなわち直交位相振幅の確率分布はWigner関数の投影図であ
0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09
-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
Occurence Probability
Normalized Quadrature
After Selection Before Selection
0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16
-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
Occurence Probability
Normalized Quadrature
Before Selection After Selection
(a) (b)
Fig. 6.3: Histograms of signal pulses before and after selection using the post-selection scheme. (a) Distribu-tion of anti-squeezed quadrature. The quadrature noise is 12.6dB before filtering and 4.0dB after filtering.
(b) Distribution of squeezed quadrature. Abscissa axis is normalized to standard distribution of SNL.
-2 0 2 4 6 8 10 12
0 30 60 90 120 150 180
Rel. Noise Power [dB]
Phase [degree]
Before Purification After Purification
-2 0 2 4 6 8 10 12
0 30 60 90 120 150 180
Rel. Noise Power [dB]
Phase [degree]
Before Purification After Purification
(a)
(b)
Fig. 6.4: Histograms of signal pulses before and after selection using the post-selection scheme. (a) Distribu-tion of anti-squeezed quadrature. The quadrature noise is 12.6dB before filtering and 4.0dB after filtering.
(b) Distribution of squeezed quadrature.
(a) (b)
Fig. 6.5: Wigner function of squeezed state generated in the same condition of Fig. 6.4 (a). (a) Before post-selection process; (b) After post-selection process.
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9
Rel. Noise P o w er [dB]
η
Experimental Result Theory Theory including η and η
1
2 3
Fig. 6.6: Comparison between the experimental result and the theoretical value. Square plots correspond to the quadrature variance obtained in purification experiment and a dashed bold curve corresponds to the theoretical results of Eq. (6.11). A dashed gray curve corresponds to the theoretical prediction of Eq. (6.10) withη2= 0.8 andη3= 0.5.
る。逆にこのWigner関数はCT (Computed Tomography)と同じ要領で計算することが可能である3。このよ
うにしてWigner関数を計算したところFig. 6.5のようになった。この図からも波動関数の分布が大きく変わ
り,純粋化が成功していることが分かる。
これらの結果からスクイジングレベルをあまり減らすことなくアンチスクイジングレベルを大きく減らすこ とができた。スクイジングレベルは元々−0.7dBであったものが,η1が0.5のとき,−0.3dBに,η1が0.8のと
き,−0.5dBに低下した。この減少は単純にビームスプリッタのη1による線形ロスに起因するもので,ポスト
セレクションの過程では変化していない。一方,アンチスクイジングレベルはポストセレクションにより,η1が 0.5のときは∼4dB,η1が0.8のときは∼7.5dBまで低減した。両方のケースで明らかに不確定積∆2X∆2Y は低下し,光ファイバから得られた真空のスクイズド状態の純粋度が大きく向上した。
純粋化後のアンチスクイジングレベル∆2Yout とビームスプリッタの分岐比η1の関係をFig. 6.6に示した。
また,Eq. (6.10)およびEq. (6.11)から計算される理論値もあわせて示した。ここで,Eq. (6.10)では各ホモ ダイン測定の効率をη2= 0.8とη3= 0.5に仮定した。その結果Eq. (6.10)による理論値は実験と良く一致し た。今回の実験系では“tap”の量子効率が低く留まった。これは,三枚の波長板の透過損失が原因と考えてい る。このホモダイン効率が向上すれば,より高い純粋化効率が得られる。このフェイズシフタは“signal”ビー ムの光路に置いても良いが,この実験は5章のスクイズド光発生実験の後に行われており,より高いスクイジ ングが得られることを優先したため,図の位置になった。