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第 6 章 異なる運転挙動を示す車両が混在したときのネットワークデザイン問題

6.3 数値計算

6.3.2 結果

総交通需要におけるCAVの混合率を0から1まで0.1刻みで変化させて,それぞれの CAV混合率において均衡制約付きのネットワークデザイン問題を解いた.図6-5,図6-6, 図6-7はそれぞれ,目的関数の値,総移動時間の平均,総移動時間の標準偏差の推移を示す.

いずれの図においても,左がケース1の結果を示し,右がケース2の結果を示している.各 交通需要におけるCAVの混合率を0.1から1に変化させ,シミュレーテッドアニーリング を行った結果と,全リンクに専用レーンを配置しない場合の結果を示している.

一般的にCAVの混合率が高くなると,レーン交通容量の平均が大きくなり,分散が小 さくなることから,総移動時間の平均と分散は小さくなる傾向にある.図6-8は最適化され た目的関数の値,総移動時間の平均,総移動時間の分散を,専用レーンを全く設置しないと きのそれぞれの値と比べたときの改善率を示す.CAV 混合率が 0から0.7 まで増加するに 従い,最適化に伴う目的変数の改善幅が大きくなり,CAV 混合率が0.7 から1に増加する 過程では,最適化に伴う目的変数の改善幅が小さくなる.この傾向は,中程度のCAV混合 率において,CAV専用レーンの設置効果が大きくなると報告する,Ye and Yamamoto (2018) の内容と類似している.

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図6-5 目的関数 (左:ケース1,右:ケース2)

図6-6 総移動時間の平均 (左:ケース1,右:ケース2)

図6-7 総移動時間の標準偏差 (左:ケース1,右:ケース2)

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図6-8 目的関数,総移動時間の平均および標準偏差の改善率

(左:ケース1,右:ケース2)

上記の結果はヒューリスティックなアルゴリズムである,シミュレーテッドアニーリング に基づく結果である.この結果の妥当性を検証するため,総交通需要におけるCAV混合率 を0から1まで0.1刻みで動かした,11パターンにおいて,すべての解を列挙した.図6-9, 図6-10は総交通需要のCAV混合率がそれぞれ0.1, 0.3, 0.5, 0.7, 0.9であるときの結果を示し ている.道路ネットワーク全体のレーン交通容量は図6-8における仮定と同様に,2種類の ケースで検討している.図中の各ヒストグラムにおける横軸は目的関数の値を示しており,

縦軸はサンプル数を示している.赤線は大域解における目的変数の値を表しており,黒線は すべてのレーンにおいてCAV専用レーンを設置しないときの目的変数の値を示している.

各図における左側の5つのヒストグラムは,各ヒストグラムにおいて,分布の全体が確認で きるように,横軸のスケールを調節している.同じく,右側の5つのヒストグラムは𝑝𝐶𝐴𝑉= 0.1のとき,分布の全体が確認できるような横軸のスケールを,すべてのヒストグラムで合 わせているものである.したがって,左右の一連のヒストグラムは同じ結果を表している.

𝑝𝐶𝐴𝑉= 0.1および𝑝𝐶𝐴𝑉= 0.3のとき,赤線および黒線はそれぞれ分布全体の左右の端に位置

している.それぞれの分布は単峰であるのに対して,そのほかの分布では複数のピークが確 認される.

表6-2と表6-3は,ケース1とケース2のそれぞれにおいて,すべての道路ネットワー クにおいて,CAV 専用レーンを全く設置しないときと比べて,目的変数の値が改善する解 の個数を調べたものである.総交通需要のCAV混合率が増加するに従い,CAV専用レーン を全く設置しない場合と比べて,目的変数の値が改善する解の個数が増える傾向にある.

CAV 混合率が0から 0.4の間は,ネットワークを効率化する解の個数は少なくとどまるも のの,CAV混合率が0.4から0.6に増加する過程で,ネットワークを効率化する解は急に増 加する.CAV混合率が0.6以上になると,ネットワークが効率化された解の割合は100%近 くになる.CAV混合率が0から0.3のとき,CAV混合率が少ないにもかかわらず,少数の 解がネットワークを効率化している.これは,ネットワークの形状が変化したことに伴って,

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CAV 専用レーンが設置されたレーン周辺ではレーン移動時間が増加し,その結果として各 交通需要の経路選択が変化して,ネットワークが効率化した結果であると解釈できる.

表6-4と表6-5はケース1とケース2のそれぞれにおいて,上位問題の実行可能解をす べて列挙することで得られた大域解と,シミュレーテッドアニーリングに基づくヒューリ スティックな解を比較したものである.それぞれのケースにおいて,目的変数の値を比較し ている.

図6-9 解を全列挙したときの結果(ケース1)

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図6-10 解を全列挙したときの結果(ケース2)

表 6-2 CAV専用レーンを設置しない場合との比較 (ケース1)

CAV混合率 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

改善された解の個数 2 6 1 7 729 59,512 改善された解の割合 [%] 0.00 0.00 0.00 0.00 0.14 11.35

CAV混合率 0.6 0.7 0.8 0.9 1

改善された解の個数 524,272 524,286 524,279 524,285 524,287 改善された解の割合 [%] 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00

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表6-3 CAV専用レーンを設置しない場合との比較 (ケース2)

CAV混合率 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

改善された解の個数 2 4 1 75 1,017 51,919 改善された解の割合 [%] 0.00 0.00 0.00 0.01 0.19 9.90

CAV混合率 0.6 0.7 0.8 0.9 1

改善された解の個数 476,536 524,279 524,285 524,284 524,287 改善された解の割合 [%] 90.89 100.00 100.00 100.00 100.00

表6-4 ヒューリスティックな解と大域解との比較 (ケース1) CAV混合率 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

目的関数 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 CAV混合率 0.6 0.7 0.8 0.9 1.00 目的関数 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00

表6-5 ヒューリスティックな解と大域解との比較 (ケース2) CAV混合率 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 目的関数 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 CAV混合率 0.6 0.7 0.8 0.9 1.00 目的関数 1.00 1.00 1.02 1.03 1.00