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単一 OD ペアのテストネットワーク

第 3 章 リンクの損壊を確率的状態として表現できる交通量配分モデル

3.3 数値計算

3.3.1 単一 OD ペアのテストネットワーク

3.3.1では,図3-2に示すテストネットワーク1において数値計算を行った結果を示す.

このネットワークは,3つの経路,5つのリンク,4つのノード,1つのODペアから構成さ れている.表3-1にOD交通需要の詳細を示す.表3-2はテストネットワーク1における,

リンクと経路の組み合わせを示している.本章が提案するモデルでは,リンク移動時間につ いてリンク間の確率的相関を考慮しているため,経路移動費用は経路を構成する各リンク の移動時間の平均と分散共分散を含んでいる.経路ベースの問題となっているため,表3-2 に示すように,経路情報を事前に列挙する.本数値実験では,リンク5を損壊したリンクと して仮定している.

表3-1 OD交通需要 (テストネットワーク 1) ODペア 平均 [pcu/hour] 変動係数

(1, 4) 1000 0.2

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表3-2 経路集合(テストネットワーク2)

OD ペア 経路番号 リンクの組み合わせ

(1, 4) 1 1-4

2 1-2-5

3 3-5

図3-2 テストネットワーク1

図3-3 リンク5において交通容量の平均と分散を変化させたときの配分交通量の平均

(左)と分散(右)

3.2.2 で述べたように,リンク交通容量は常に非負であるものとする.提案する手法で

は,リンク交通容量の平均と分散の様々に変化させても非負特性を満たすことができる.図 3-3は,リンク5において交通容量の平均と分散を変化させたときの配分交通量の平均と分 散の関係を示している.リンク交通容量の平均と分散は,それぞれ1から10,000[pcu/hour],

10から106[pcu/hour)2]と離散的に変化させている.図3-3から,リンク5に配分された交通

量の平均は,リンク5 の交通容量の平均が増加するにつれて増加し,リンク 5 の交通容量 の分散が減少するにつれて増加することがわかる.リンク 5 に配分された交通量の分散に ついても同様な傾向を見て取れる.また,リンク5と経路2,3を共有するリンク2,3上の 交通量は,リンク5の交通容量の平均が減少すると減少し,リンク5の交通容量の分散が増 加すると減少する.図3-3は,本章で提案するモデルでは,リンク交通容量の平均と分散を 連続的に変化させても,交通需要が配分可能であることを示している.

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図3-4 通常時におけるリンク交通量

図3-5 リンク損壊時におけるリンク交通量

図3-4に通常状態におけるリンク交通量の分布を,図3-5に損壊状態におけるリンク交 通量の分布をそれぞれ示す.損壊状態では,リンク5のリンク交通容量の平均を10 [pcu/hour]

としている.リンク5のリンク交通容量の変動係数は変化させていない.図3-4では,ネッ トワークの形状が対称であるため,リンク3,4のリンク交通量の分布とリンク1,5のリン ク交通量の分布が重なっている.図3-5から,リンク5の損壊により,交通量がリンク1と 4に集中していることがわかる.これは,リンク2,3がリンク5と経路を共有しているた めである.通常状態でリンク5を通過する経路交通量は,損壊状態ではリンク1,4に流れ ることになる.

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図3-6 通常時における経路移動時間

図3-7 リンク損壊時における経路移動時間

図3-6は通常状態での経路移動時間分布,図3-7は損壊状態での経路移動時間分布を示 している.移動時間分布は,3.2.6 で述べたように対数正規分布を移動時間の定数項の分だ け右に平行移動させたもの(shifted-lognormal distribution)である.

図3-7は,損壊させたリンク5を含む経路2,3の移動時間の平均と分散が正の無限大 に発散している様子を示している.図3-7に示す経路2と3の移動時間の分布は,途絶状態 を近似的に表現しているといえる.経路2 と 3は利用者から事実上選択されなくなってい る.その結果,経路1に交通需要が集中し,経路1の移動時間の平均と分散は,通常状態よ りも大きくなっている.図3-4から図3-7までのグラフは,表3-3および表3-4に示す結果 に基づいている.

表3-3と表3-4より,リンク交通量の変動係数と経路交通量の変動係数は,表3-1に示 したOD交通需要の変動係数と等しくなっている.これは,すべてのリンク交通量と経路交 通量が同じOD交通需要によって生成されているためである.この場合,(3-8)により,OD

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交通需要の変動係数は,ネットワーク内のリンク交通量と経路交通量の変動係数と等しく なる.次の3.4.1の数値計算の結果が示すように,この関係は,複数のODペアが存在する 場合には成立しない.

表3-3 通常時とリンク損壊時におけるリンク交通量とリンク交通容量 (テストネットワーク 1)

リンク

リンク交通量 [pcu/hour] リンク移動時間 [hour]

通常時 リンク損壊時 通常時 リンク損壊時 平均 変動係数 平均 変動係数 平均 変動係数 平均 変動係数

1 658.8 131.8 1000.0 200.0 0.07 0.04 0.26 0.47

2 317.6 63.5 0.0 0.0 0.05 5.03×10-4 0.05 0

3 341.2 68.2 0.0 0.0 0.05 7.73×10-4 0.05 0

4 341.2 68.2 1000.0 200.0 0.05 7.73×10-4 0.26 0.47 5 658.8 131.8 0.0 0.0 0.07 0.04 8.61×1040 2.09×1077

表3-4 通常時とリンク損壊時における経路交通量と経路移動時間 (テストネットワーク 1)

経路

経路交通量 [pcu/hour] 経路移動時間 [hour]

通常時 リンク損壊時 通常時 リンク損壊時 平均 変動係数 平均 変動係数 平均 変動係数 平均 変動係数 1 341.2 68.2 1000.0 200.0 0.12 0.04 0.53 0.85 2 317.6 63.5 0.0 0.0 0.19 0.07 8.61×1040 2.09×1077 3 341.2 68.2 0.0 0.0 0.12 0.04 8.61×1040 2.09×1077