2.2 高効率石炭火力発電所の普及を阻害する政策、経済、技術的障壁
2.2.2 経済的障壁
(1)豪州
高効率石炭火力発電技術は、従来方式と比較して初期投資が割高であることが、普及の 障壁となっている。また、他国と比較して低廉な電気料金水準も新技術を導入する上での 障壁となっている。さらに、現状ではCO2削減に商業的な価値がないことも、高効率石炭
火力発電導入のインセンティブが働かない要因となっている。
(2)中国
中国側は、後述のとおり高効率石炭火力発電技術の国産化によるコストダウンを進めて いるが、既存技術を用いる石炭火力発電所と比較すれば高効率石炭火力発電所は、まだ割 高である。しかし、小規模で効率の悪い石炭火力を廃止して大規模で高効率な発電設備を 増やす(いわゆる、「上大圧小」政策)など、高効率石炭火力発電を普及させる政策的な 後押しが存在するため、経済的な問題が障壁とならいと考えられる。
【参考:北京の電気料金】
表 2.2.1 北京の電気料金
米ドル 現地通過(人民元) 備考 月額基本料:なし
1kWh料金:0.08
月額基本料:なし 1kWh料金:0.58 業務用電気料金
一般用電気料金 月額基本料:なし 1kWh料金:0.07
月額基本料:なし 1kWh料金:0.4883
北京発展改革委員会
1㌦=6.8271人民元 インターバンクレート
(2010/1/15付)
為替レート
出所:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(日本貿易振興機構、2010年4月)
(3)インド
現状、NTPC は税引き後の売上高利益率が約 16%であり、火力発電所の建設に必要十 分なキャッシュがある。したがって、ファイナンスの面での障壁はないと考えられる。
ただし、農業用など一部の電力料金は発電原価を下回る水準に設定されており、州政府 が赤字を補填している例がある。このような場合、州政府の投資余力に不足が生じること によって、初期投資額の大きな高効率石炭火力発電技術が敬遠される可能性がある。
【参考:ニューデリーの電気料金】
表 2.2.2 ニューデリーの電気料金
米ドル 現地通過(インドルピー) 備考 業務用電気料金 月額基本料:1.10/kW
1kWh料金:
4~9月:0.10 10~3月:0.10
月額基本料:50/kW 1kWh料金:
4~9月:4.62 10~3月:4.52
BSESデリー社
一般用電気料金 月額基本料:0.26/kW 1kWh料金:0.06~0.11
月額基本料:12/kW 1kWh料金:2.57~4.88
BSESデリー社 1㌦=45.62インドルピー インターバンクレート
(2010/1/15付)
為替レート
出所:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(日本貿易振興機構、2010年4月)
(4)インドネシア
電気料金の低いことが、投資に供する資金の不足やIPPにおける低コスト発電技術の選 択に際して影響を及ぼしている。電気料金は社会保障の観点から政策的に安価に据置いて いるが、高効率石炭火力の導入に際しては、割高なイニシャルコストが電気料金の値上げ につながると指摘している。
また、第1次クラッシュ・プログラムは、当初2009年に完成する予定であったが、金 融危機の影響、プロジェクトを受注した中国企業の資金調達、建設工事の遅れ等により、
2014 年まで延期となっている。このように、資金調達が原因となって計画が遅延する例 が出ており、ファイナンス面が障壁のひとつと考えられる。
【参考:ジャカルタの電気料金】
表 2.2.3 ジャカルタの電気料金
米ドル 現地通過(ルピア) 備考 月額基本料:3.2
1kWh料金:0.05
月額基本料:29,500 1kWh料金:475 業務用電気料金 PLN
月額基本料:3.3 1kWh料金:0.06
月額基本料:30,500 1kWh料金:530 一般用電気料金 PLN
1㌦=9,205ルピア インターバンクレート
(2010/1/15付)
為替レート
出所:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(日本貿易振興機構、2010年4月)
(5)韓国
韓国では、電気料金の設定に政策が強く影響し、水準によってはコスト高な高効率石炭 火力発電技術の普及の障壁となる可能性がある。
【参考:ソウルの電気料金】
表 2.2.4 ソウルの電気料金
米ドル 現地通過(ウォン) 備考 業務用電気料金 月額基本料:3.87
1kWh料金:0.05
月額基本料:4,350 1kWh料金:56.70
韓国電力公社
一般用電気料金 月額基本料:4.69 1kWh料金:0.06
月額基本料:5,280 1kWh料金:69.50
韓国電力公社
1㌦=1,125ウォン インターバンクレート
(2010/1/15付)
為替レート
出所:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(日本貿易振興機構、2010年4月)
(6)タイ
高効率発電技術は従来型石炭火力と比して初期投資額が割高であり、発電所建設におけ る資金調達が障壁の一つとなり得る。
【参考:バンコクの電気料金】
表 2.2.5 バンコクの電気料金
米ドル 現地通過(バーツ) 備考 業務用電気料金 月額基本料:6.94
1kWh料金:0.11
月額基本料:228.17 1kWh料金:3.6246
首都電力公団
一般用電気料金 月額基本料:1.24 1kWh料金:
1~150kWh:0.05 151~400:0.08 401~:0.09
月額基本料:40.90 1kWh料金:
1~150kWh:1.8047 151~400:2.7781 401~:2.9780
首都電力公団
1㌦=32.874バーツ インターバンクレート
(2010/1/15付)
為替レート
出所:アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較(日本貿易振興機構、2010年4月)