電力需要の着実な増加を反映し、世界の発電量は2008年の20.2兆kWhから年率2.5% で増加し、2035年には約39兆kWhにまで増加する。2035年までの発電量増加のうち7 割強が途上国によるものである。アジアの発電量は2008年の6.8兆kWhから年率3.5% で増加し、2035年には約17兆kWhにまで達する。
2008年における世界の発電量のうち石炭火力が占めるシェアは41%と最大であり、残 りが天然ガス火力、原子力、水力となっている。2035 年にかけての発電構成は、環境負 荷低減等の観点から、天然ガス複合発電等の導入など、天然ガス火力へのシフトが進展す る。天然ガス火力の発電量が全発電量に占めるシェアは、2008 年の21%から 2035年に は24%まで拡大する。石炭火力のシェアは2008年の41%から2035年までほぼ横ばいで 推移し、今後も最大の電力供給源としての役割を担う。特に中国、インドにおいては急速 に伸びる電力需要に対し、石炭火力が主要な電源となる。石油火力のシェアは、特に先進 諸国を中心に引き続き減少基調で推移する。原子力については、エネルギーセキュリティ の確保、地球温暖化対策の観点から、アジア地域を中心に新規着工が見込まれるが、2035 年までの世界的な電力需要の増加をカバーできるほどの拡大は見込めず、シェアは 2008 年の14%から2035年には11%へ若干減少する。再生可能エネルギー(水力除く)は、国際 的なエネルギー安定供給確保や地球温暖化対策の強化を背景に、風力を中心に導入が進み、
そのシェアは、2.8%から5.5%へ増加する見通しである。
今後アジアでは、生活水準の向上に伴い利便性の高い電力の消費が急増すると予測され る。この電力需要に対応するため、石油資源、天然ガス資源の温存やエネルギーセキュリ ティの観点から、アジア域内において豊富に賦存する石炭による発電量が着実に増加する 見通しである。アジアの石炭火力のシェアは、主に中国、インド、インドネシア等におけ る利用拡大を背景として、2008年の60%から2035年の58%とほぼ横ばいで推移し、最 大の電力供給源としての役割を担う。
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000
1971 1980 1990 2008 2020 2030 2035
TWh
1.2%
-1.4%
石油
2.5%
石炭 3.5%
3.0%
天然ガス 5.4%
2.5%
合計 3.2%
’08-’35
’80-’08
レファレンスケース 年平均伸び率
1.2%
-1.4%
石油
2.5%
石炭 3.5%
3.0%
天然ガス 5.4%
2.5%
合計 3.2%
’08-’35
’80-’08
レファレンスケース 年平均伸び率
石油火力
5.5%→3.9% [2.6%]
石炭火力
41%→41% [29%]
天然ガス火力
21%→24% [23%]
原子力
14%→11% [18%]
再生可能他
2.8%→5.6% [12%]
水力
16%→13% [16%]
シェア08年→35年レファレンス [35年技術進展]
実線:レファレンスケース 点線:技術進展ケース 出所:(財)日本エネルギー経済研究所が予測
図 4.2.1 世界の発電電力量(電源別)
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000
1971 1980 1990 2008 2020 2030 2035
TWh
0.1%
-1.2%
石油
3.3%
石炭 9.8%
4.3%
天然ガス 8.5%
3.5%
合計 6.4%
’08-’35
’80-’08
レファレンスケース 年平均伸び率
0.1%
-1.2%
石油
3.3%
石炭 9.8%
4.3%
天然ガス 8.5%
3.5%
合計 6.4%
’08-’35
’80-’08
レファレンスケース 年平均伸び率
石油火力
4.9%→2.0% [1.5%]
石炭火力
60%→57% [39%]
天然ガス火力
13%→16% [15%]
原子力
7.8%→10% [19%]
再生可能他
1.3%→4.1% [13%]
水力
13%→10% [13%]
シェア08年→35年レファレンス [35年技術進展]
実線:レファレンスケース 点線:技術進展ケース 出所:(財)日本エネルギー経済研究所が予測
図 4.2.2 アジアの発電電力量(電源別)
世界とアジアの発電量構成の展望を見ると、石炭火力がほぼ一定シェアを維持する一方 で、石油火力や水力が減少し、天然ガス火力が増加する。再生可能エネルギーも徐々に拡 大する。原子力は、アジアにおいて 2020 年にそのシェアを拡大し、その後ほぼ一定で推 移するが、世界全体でみると2008年の14%から2035年には11%に縮小する。
また、世界の石炭火力からの CO2排出量は2008 年の82 億トンから2035年には 137 億トンへ55億トン増加し、世界の排出増加量の約45%を占める。特に、アジアの石炭火
力からのCO2排出量は2008年の42億トンから2035年には85億トンへ43億トン増加 し、世界の2035年までの排出増加量の約35%を占める。このため、アジア途上国でのク リーン・コール技術導入による石炭の高効率利用が重要な課題となる。
技術進展ケースでは、2035年における世界の電源構成は石炭29%、天然ガス23%、原 子力 18%、水力 16%、再生可能エネルギー12%、石油 3%と、原子力、再生可能エネル ギー、水力のシェアが拡大し、石炭、石油のシェアが大幅に削減される。アジアにおいて も同様な傾向が見られ、石炭は 58%から 39%まで減少し、原子力、再生可能エネルギー は各々8%シェアを拡大する。
0 10 20 30 40 50 60
1971 1980 1990 2000 2008 2020 2030 2035
%
石油火力 石炭火力
天然ガス火力
原子力 水力
再生可能他
0 10 20 30 40 50 60
1971 1980 1990 2000 2008 2020 2030 2035
%
石油火力
石炭火力
天然ガス火力 原子力
水力
再生可能他
世界 アジア
3.9%
5.6% 2.0%
3.7%
11%
13%
24%
41%
11%
10%
16%
58%
世界 アジア
0 10 20 30 40 50 60
1971 1980 1990 2000 2008 2020 2030 2035
%
石油火力
石炭火力
天然ガス火力 原子力 水力
再生可能他 0
10 20 30 40 50 60
1971 1980 1990 2000 2008 2020 2030 2035
%
石油火力 石炭火力
天然ガス火力 原子力 水力
再生可能他
1.5%
12%
19%
13%
15%
39%
2.6%
12%
18%
16%
23%
29%
出所: (財)日本エネルギー経済研究所が予測
図 4.2.3 世界、アジアの電源構成 技術進展ケース
レファレンスケース