2.7.6 個々の試験のまとめ
2.7.6.5 第III相試験:26648 試験/日本
2.7.6.5.1 試験デザイン及び試験方法の概要
この第III相試験(26648試験)は、第I度無月経又は無排卵周期症(希発及び頻発月経を含む)
を対象に排卵誘発及び卵胞成熟における SJ-0021(ホリトロピンアルファ)の有効性及び安全性 を、精製下垂体性性腺刺激ホルモン(精製 u-hFSH製剤)を対照薬として比較検討するために計 画された。
試験デザイン及び試験方法の概要を表2.7.6-33に示す。
表2.7.6-33 試験デザイン及び試験方法の概要(試験番号:26648試験)
治験の標題: SJ-0021と精製下垂体性性腺刺激ホルモンとの第I度無月経、無排卵周期症患者を対象と した並行群間比較試験−第III相 単盲検試験−
開発フェーズ/試験デザイン:第III相/多施設共同単盲検並行群間比較試験(中央登録方式)
治験責任医師:21名
治験実施施設:21施設(日本)
治験期間:20 年 月~20 年 月 目的:
1)第I度無月経、無排卵周期症患者を対象に、排卵誘発及び卵胞成熟におけるSJ-0021の有効性を、
精製下垂体性性腺刺激ホルモンを対照薬として比較検討し、SJ-0021 の対照薬に対する非劣性を検 証すること。
2)SJ-0021の安全性について評価すること。
症例数:
計画時:240例(120例×2群)、評価可能症例数として216例(各群108例)。
[症例数設定の根拠]
排卵率についてSJ-0021 投与群は85%、対照薬の精製u-hFSH群は84%と推定し、同等限界(Δ)を
15%と定めた場合、正規近似法による独立した2つの二項確率の差の信頼区間により帰無仮説を片側
有意水準2.5%、検出力90%で棄却するために必要な症例数は1群当たり108 例(両群で216 例)が必 要であった。中止・脱落症例を10%見込むと1 群当たり120 例(両群で240 例)の症例数が必要とな った。
診断及び主要な選択基準:
間脳(視床下部)又は下垂体機能不全による排卵障害患者のうち、第I度無月経又は無排卵周期症(希 発及び頻発月経を含む)の患者。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)合併の有無は問わない。
1) 年齢20歳以上39歳以下で、挙児を希望している女性。
2) 抗エストロゲン療法(クエン酸クロミフェン、シクロフェニルなど)を2サイクル以上実施して も排卵しなかった患者。あるいは、排卵は認められたが妊娠しなかった患者。(抗エストロゲン 療法を受けた時期及び医療機関は問わない)。
3) 黄体ホルモン製剤により消退出血が認められた患者(無排卵周期症患者の場合、自発月経が認め られた患者も含む)。
4) ベースライン検査時においてBMI[体重(kg)/(身長×身長(m)2)]が17.0~28.0(小数第2位切 り捨て)である患者。
5) 治験参加について患者自らの自由意志による文書同意が得られた患者。
治験薬:
被験薬:SJ-0021;ホリトロピンアルファ 製剤
1バイアル当りr-hFSH 6.0 μgを含有する凍結乾燥製剤。
対照薬:精製下垂体性性腺刺激ホルモン;精製u-hFSH製剤 1アンプル当り精製u-hFSH 75 IUを含有する凍結乾燥製剤。
用法及び投与方法:
低用量漸増投与法(開始用量;75 IU/日):
投与開始時検査終了後、その日のうちに治験薬(SJ-0021又は精製下垂体性性腺刺激ホルモン)を75 IU/
日皮下投与し(治験薬投与1日目)、同一投与量を7日間連続投与した。投与期間中、治験責任医師 又は分担医師は超音波検査を実施し、8日目、15日目、22日目の超音波検査で観察された主席卵胞の
平均径が11 mm以上、18 mm未満の場合は、同一用量を引き続き次の7日間連続投与した。主席卵胞
の平均径が11 mm未満の場合は、1日投与量を37.5 IU増量し、次の7日間はこの増量後の用量で連続 投与した。投与期間中に主席卵胞平均径が18 mmに到達した場合は、後観察期間へ移行することとし た。治験薬の投与期間は最長で28日間とした。投与28日目の翌日に主席卵胞の平均径が16 mm以上 であった場合、当該被験者に後観察開始日検査を実施することとした。
評価項目:
有効性:
1)主要評価項目:排卵率(解析集団における排卵した症例の割合)
「排卵した症例」とは、後観察6 ± 1日目又は後観察9 ± 1日目のいずれか、又は両方で血清中プロゲ ステロン(P4)濃度≧5 ng/mLに至った被験者を示す。ただし、P4濃度< 5 ng/mLであっても妊娠に至 った場合は、「排卵した症例」として取り扱うこととする。
2)副次評価項目:
(1)主席卵胞の平均径が18 mmに到達した症例の割合
(2)主席卵胞の平均径が18 mmに到達するのに要した投与日数
(3)主席卵胞の平均径が18 mmに到達した症例の治験薬総投与量
(4)hCG投与キャンセル率
(5)成熟単一卵胞発育率
(6)生化学的妊娠率
(7)臨床的妊娠率
(8)排卵の定義をP4濃度≧10 ng/mLとしたときの排卵率 安全性:
1)有害事象、バイタルサイン及び臨床検査値 2)OHSS発現率
統計手法:
この臨床試験の非劣性検定のための主要評価項目は、SJ-0021群と精製u-hFSH群の排卵率の差であっ た。
有効性:
FAS解析を主解析として用いたが、FASとPPSの両方の解析結果を比較することで、結果の頑健性を 評価した。
主要評価項目である排卵した症例の割合(排卵率)について、以下のような解析を実施した。
即ち、SJ-0021投与群と精製下垂体性性腺刺激ホルモン投与群との排卵率の差に対する片側97.5%信頼
区間を正規近似法により算出し、この下限値が-15%を超えて大きい場合に、SJ-0021 投与群の精製下 垂体性性腺刺激ホルモン(精製u-hFSH製剤)投与群に対する非劣性が検証されたと判断する。
安全性:
安全性評価は安全性解析集団(SP)で実施した。全ての安全性データについて、記述統計量を用いて 要約した。
報告日:20 年 月 日
2.7.6.5.2 投与スケジュール
治験薬の投与方法の概略を図2.7.6-8に示す。
図2.7.6-8 投与量の増加基準と増量時期
超 音 波 検 査 の 結 果 、
① 主 席 卵 胞 の 平 均 径 <11m m :37.5IU増 量
②11m m≦ 主 席 卵 胞 の 平 均 径 <18m m : 同 一 投 与 量
③18m m≦ 主 席 卵 胞 の 平 均 径 :投 与 終 了 2回 目 増 量
15日 目
3回 目 増 量 22日 目
1回 目 増 量 8日 目 治 験 薬 投 与 開 始
1日 目 文 書 同 意
75IU
+ 37.5IU
+ 37.5IU
+ 37.5IU
前 観 察 期 間 後 観 察 期 間
7 日 間 7 日 間 7 日 間 7 日 間
最 長 28 日 間
2.7.6.5.3 hCG投与/キャンセル基準
治験責任医師又は治験分担医師は、後観察開始日検査終了後、被験者のhCG投与キャンセル基 準の抵触の有無を確認した。
hCG投与キャンセル基準は、平均径が16 mm以上の卵胞を4個以上認めることとした。
1)hCG投与キャンセル基準への抵触がなかった場合:
治験責任医師又は治験分担医師は、最終の超音波検査実施から24時間以内にhCG 5000 IUを単 回筋肉内投与することとした。
2)hCG投与キャンセル基準に抵触していた場合:
治験責任医師又は治験分担医師は、hCG投与を行わないこととした。
2.7.6.5.4 症例の構成
症例の内訳を図 2.7.6-9 に要約して示すとともに、試験を終了しなかった症例を投与群別に表 2.7.6-34に要約して示す。
本試験には合計300例の被験者が登録され、そのうち265例が各投与群に無作為化割り付けさ
れた。計4例が治験薬投与前に試験を中止しており、その理由は、有害事象(精製u-hFSH群:1)
及びその他の理由(精製u-hFSH群:3)によるものであった。計261例の被験者が少なくとも1 回の治験薬投与を受けた(SJ-0021群:129、精製u-hFSH群:132)。この261例中13例(SJ-0021 群:6、精製 u-hFSH群:7)が治験薬投与後に試験を中止しており、その理由は、有害事象(精 製u-hFSH群:1)、治験実施計画書からの逸脱(SJ-0021群:1)、投与に対する反応不良(SJ-0021 群:3、精製 u-hFSH群:1)及びその他の理由(SJ-0021群:2、精製 u-hFSH群:5)によるもの であった。試験を完了した症例数は、SJ-0021群:123例、精製u-hFSH群:125例であった。
図2.7.6-9 症例の内訳
PPS PPS以外
N = 251 N = 10 SJ-0021: 125 SJ-0021: 4 精製u-hFSH: 126 精製u-hFSH: 6
仮登録された症例 N = 300
本登録された症例
割り付けられた症例 N =265 N = 265
SJ-0021:123 / 精製u-hFSH: 125 SJ-0021: 6 / 精製u-hFSH: 7 SJ-0021: 129 / 精製u-hFSH: 132
割り付けられなかった症例 N = 0
重大なGCP違反があった症例 治験薬が少なくとも1回投与された症例(SP)
N = 261
本登録されなかった症例 N = 35
治験薬を投与されなかった症例 N = 4
SJ-0021: 129 / 精製u-hFSH: 132 SJ-0021: 0 / 精製u-hFSH: 4
重大なGCP違反がなかった症例(FAS)
N = 261 N = 0
SJ-0021: 0 / 精製u-hFSH: 0
治験を完了した症例 N = 248
治験を完了しなかった症例 N = 13
表2.7.6-34 割り付け後の症例の内訳[割り付けされた症例]
SJ-0021
(N=129)
n(%)
精製u-hFSH
(N=136) n(%)
合計
(N=265) n(%) 129 (0) 136 (0) 265 (0) N(欠測数)
はい 129 (100.0%) 132 (97.1%) 261 (98.5%) 治験薬投与を開始した症例
0 (0.0) 4 (2.9%) 4 (1.5%) いいえ
129 (0) 132 (4) 261 (4) N(欠測数)
はい 111 (86.0%) 114 (86.4%) 225 (86.2%) hCG投与を受けた症例
18 (14.0%) 18 (13.6%) 36 (13.8%) いいえ
126 (3) 127 (9) 253 (12) N(欠測数)
111 (88.1%) 114 (89.8%) 225 (88.9%) P4評価を受けた症例 はい
15 (11.9%) 13 (10.2%) 28 (11.1%) いいえ
125 (4) 126 (10) 251 (14) N(欠測数)
陽性 23 (18.4%) 20 (15.9%) 43 (17.1%) 妊娠検査(尿検査)を受けた症例
102 (81.6%) 106 (84.1%) 208 (82.9%) 陰性
23 (106) 20 (116) 43 (222) N(欠測数)
22 (95.7%) 19 (95.0%) 41 (95.3%) 妊娠検査(超音波検査)を受けた症例 陽性
1 (4.3%) 1 (5.0%) 2 (4.7%) 陰性
試験を中止した症例数、hCG投与受けた症例数、P4評価を受けた症例数及び妊娠検査を受けた 症例数は両投与群間で類似していた。
2.7.6.5.5 治験実施計画書からの逸脱
FASにおける治験実施計画書からの逸脱を表2.7.6-35に要約して示す。
治験実施計画書からの逸脱は、GCP違反、排卵データの欠測、選択/除外基準の逸脱、治験薬 投与の逸脱、併用薬投与の逸脱、中止基準の逸脱、その他の軽微な逸脱に分類される。
合計 10 例(3.8%)の被験者で治験薬投与に関する重大な治験実施計画書の不遵守が報告され た(SJ-0021群:4、精製u-hFSH群:6)。このうち2例が「増量基準」で規定した投与量算出手 順からの逸脱により、過量の治験薬投与を受けた。
合計29例(11.1%)の被験者で軽微な治験実施計画書からの逸脱が報告された(SJ-0021群:7、
精製 u-hFSH群:22)。これらの逸脱は該当するすべてが計数されているため、被験者 2例が重
要な逸脱と軽微な逸脱の両方で計数された。