2.7.4 臨床的安全性の概要
2.7.4.2 有害事象
2.7.4.2.1 有害事象の解析
以下の項では、国内試験(22377、26648試験)及び海外試験(22240、5642、5727試験)で報 告された有害事象について、比較的よく見られる有害事象(被験者の 2%以上で報告)、副作用
(因果関係を否定できない有害事象)、重篤な有害事象、及びその他の重要な有害事象(試験中 止に至る有害事象)に特に注目しながら概説する。
国内試験(22377、26648試験)では、有害事象を特定するのに、ICH E2Aガイドライン[治験 中に得られる安全性情報の取り扱いについて:緊急報告のための定義及び基準(Clinical Safety Data Management: Definitions and Standards for Expedited Reporting)]に準拠した以下の定義を使用した。
有害事象とは、徴候、臨床上重要な臨床検査値の異常、病気、症状、又は合併症の悪化など の形で生じるあらゆる好ましくない医療上の出来事である。
海外試験(22240試験)では、やはりICHに準拠した以下の定義を使用した。
有害事象とは、医薬品が投与された患者又は被験者に生じたあらゆる好ましくない医療上の 出来事であり、必ずしも当該医薬品の投与との因果関係が明らかなもののみを示すものではな い。つまり、有害事象とは、医薬品(治験薬)が投与された際に起こる、あらゆる好ましくな い、あるいは意図しない徴候(臨床検査値の異常を含む)、症状又は病気のことであり、当該 医薬品(治験薬)との因果関係の有無は問わない。
しかしながら、有害事象報告に関するICHガイドラインに先行して実施された2つの海外試験
(5642、5727試験)では、有害事象を以下のように定義した(2つの治験実施計画書間で表現は 類似しているが、全く同じではない)。
有害事象とは、臨床的に意味があると考えられるベースライン/試験前の患者状態からのあ らゆる変化、又は臨床試験に参加中又は参加した患者が経験したあらゆる医療事象のことであ る。これには、患者が治療を開始した後に生じたあらゆる疾患、手術、事故に加えて、損傷、
毒性、過敏性反応、障害、又は禁忌、相互作用、警戒所見を示唆する可能性のあるあらゆる出 来事が含まれ、当該医薬品との因果関係の有無は問わない。
国内試験(22377、26648試験)で発現したすべての有害事象を第2.7.4.7項の表2.7.4-24に、海 外試験(22240、5642、5727試験)で発現したすべての有害事象を第2.7.4.7項の表2.7.4-25に示 す。また、すべての副作用を、国内試験については第2.7.4.7項の表2.7.4-27に、海外試験につい ては第2.7.4.7項の表2.7.4-28に示す。
被験者集団及び投与方法が似ていたことから、国内試験・海外試験別にデータを併合すること が可能と判断した。しかし、個々の試験の最初の解析を実施した時点で、有害事象のコード化に 使用した医薬用語集又はバージョンが異なっていたので、併合後のデータ解析を目的として、国 内試験及び海外試験で報告されたすべての有害事象を同じ用語集、具体的にはICH国際医薬用語 集[Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)、version 10.1]に読み替えた。これら の解析では、治験薬投与開始日以降に発現した有害事象に焦点を当てる。解析データセットには、
少なくとも1回の治験薬投与を受けた全被験者が含まれる。
更に国内試験及び海外試験で発現した比較的よく見られる有害事象について、累積用量別に集 計し、第2.7.4.7項の表2.7.4-30に示す。
また、比較的よく見られる副作用を、国内試験については表2.7.4-5に、海外試験については第 2.7.4.7項の表2.7.4-29に示す。
有害事象報告に関するICHガイドラインが1994年10月に施行される以前は、米国、欧州及び 世界のほかの国々で実施された試験ごとに、有害事象報告に関する基準がしばしば異なっていた。
欧州で実施された試験では、治験責任医師が重要であると判断し、少なくとも治療と関連がある かもしれないとされる事象のみを報告するのが標準的であった。このように、有害事象の定義は 治験責任医師の何をもって「臨床上重要」とするかという主観的判断に基づき、現在の基準に比 べて、過小報告になることが多い。このように、米国及び欧州で実施された同様の試験で有害事 象の報告率に顕著な差があるというのは当時は珍しいことではなかった。
比較的よく見られる有害事象を、国内試験(22377、26648試験)については表2.7.4-4に、海外 試験(22240、5642、5727試験)については、第2.7.4.7項の表2.7.4-26に示す。
2.7.4.2.1.1 比較的よく見られる有害事象
本項では、国内試験及び海外試験で発現した比較的よく見られる有害事象及び副作用について 概説する。ここで、比較的よく見られる有害事象とは、ホリトロピンアルファの投与を受けた被
験者に2%以上で発現した有害事象と定義した。
ゴナールエフ皮下注用75 ゴナールエフ皮下注ペン300 / 450 / 9002.7臨床概要 2.7.4臨床的安全性の概要
表2.7.4-4 国内試験(22377、26648試験)で発現した比較的よく見られる有害事象
ホリトロピンアルファ 精製u-hFSH 器官別大分類
基本語
37.5 IU
(n=62)
75 IU
(n=191)
150 IU
(n=60)
37.5-150 IU
(合計)
(n=313)
75 IU
(n=132)
有害事象の総発現例数(発現率%) 30 ( 48.4) 110 ( 57.6) 42 ( 70.0) 182 ( 58.1) 66 ( 50.0)
Gastrointestinal disorders(胃腸障害) 15 ( 24.2) 49 ( 25.7) 19 ( 31.7) 83 ( 26.5) 31 ( 23.5)
Abdominal distension(腹部膨満) 5 ( 8.1) 20 ( 10.5) 11 ( 18.3) 36 ( 11.5) 7 ( 5.3)
Abdominal pain lower(下腹部痛) 5 ( 8.1) 14 ( 7.3) 4 ( 6.7) 23 ( 7.3) 14 ( 10.6)
Ascites(腹水) 6 ( 9.7) 8 ( 4.2) 4 ( 6.7) 18 ( 5.8) 7 ( 5.3)
Abdominal pain(腹痛) 2 ( 3.2) 9 ( 4.7) 2 ( 3.3) 13 ( 4.2) 3 ( 2.3)
Constipation(便秘) 0 ( 0.0) 9 ( 4.7) 1 ( 1.7) 10 ( 3.2) 2 ( 1.5)
Nausea(悪心) 2 ( 3.2) 5 ( 2.6) 3 ( 5.0) 10 ( 3.2) 1 ( 0.8)
Diarrhoea(下痢) 2 ( 3.2) 4 ( 2.1) 2 ( 3.3) 8 ( 2.6) 6 ( 4.5)
Reproductive system and breast disorders(生殖系および乳房障害) 10 ( 16.1) 45 ( 23.6) 22 ( 36.7) 77 ( 24.6) 22 ( 16.7)
Ovarian hyperstimulation syndrome(卵巣過剰刺激症候群) 1 ( 1.6) 12 ( 6.3) 9 ( 15.0) 22 ( 7.0) 5 ( 3.8)
Ovarian disorder(卵巣障害) 0 ( 0.0) 3 ( 1.6) 11 ( 18.3) 14 ( 4.5) 0 ( 0.0)
Genital haemorrhage(性器出血) 4 ( 6.5) 6 ( 3.1) 1 ( 1.7) 11 ( 3.5) 4 ( 3.0)
Breast discomfort(乳房不快感) 3 ( 4.8) 1 ( 0.5) 4 ( 6.7) 8 ( 2.6) 0 ( 0.0)
Ovarian enlargement(卵巣腫大) 0 ( 0.0) 7 ( 3.7) 1 ( 1.7) 8 ( 2.6) 4 ( 3.0)
Infections and infestations(感染症および寄生虫症) 7 ( 11.3) 20 ( 10.5) 8 ( 13.3) 35 ( 11.2) 15 ( 11.4)
Nasopharyngitis(鼻咽頭炎) 2 ( 3.2) 16 ( 8.4) 6 ( 10.0) 24 ( 7.7) 11 ( 8.3)
Investigations(臨床検査) 4 ( 6.5) 7 ( 3.7) 7 ( 11.7) 18 ( 5.8) 3 ( 2.3)
White blood cell count increased(白血球数増加) 2 ( 3.2) 3 ( 1.6) 2 ( 3.3) 7 ( 2.2) 1 ( 0.8)
Nervous system disorders(神経系障害) 5 ( 8.1) 11 ( 5.8) 1 ( 1.7) 17 ( 5.4) 9 ( 6.8)
Headache(頭痛) 3 ( 4.8) 11 ( 5.8) 0 ( 0.0) 14 ( 4.5) 8 ( 6.1)
器官別大分類及び基本語はそれぞれホリトロピンアルファ群の被験者数の降順に並べ替えた。
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ゴナールエフ皮下注用75 ゴナールエフ皮下注ペン300 / 450 / 9002.7臨床概要 2.7.4臨床的安全性の概要
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表2.7.4-5 国内試験(22377、26648試験)で発現した比較的よく見られる副作用
ホリトロピンアルファ 精製u-hFSH 器官別大分類
基本語
37.5 IU
(n=62)
75 IU
(n=191)
150 IU
(n=60)
37.5-150 IU
(合計)
(n=313)
75 IU
(n=132) 有害事象の総発現例数(発現率%) 21 ( 33.9) 66 ( 34.6) 36 ( 60.0) 123 ( 39.3) 28 ( 21.2)
Gastrointestinal disorders(胃腸障害) 13 ( 21.0) 34 ( 17.8) 17 ( 28.3) 64 ( 20.4) 15 ( 11.4)
Abdominal distension(腹部膨満) 4 ( 6.5) 17 ( 8.9) 9 ( 15.0) 30 ( 9.6) 5 ( 3.8)
Abdominal pain lower(下腹部痛) 4 ( 6.5) 12 ( 6.3) 4 ( 6.7) 20 ( 6.4) 8 ( 6.1)
Ascites(腹水) 4 ( 6.5) 7 ( 3.7) 3 ( 5.0) 14 ( 4.5) 6 ( 4.5)
Nausea(悪心) 1 ( 1.6) 4 ( 2.1) 3 ( 5.0) 8 ( 2.6) 0 ( 0.0)
Abdominal pain(腹痛) 2 ( 3.2) 5 ( 2.6) 0 ( 0.0) 7 ( 2.2) 0 ( 0.0)
Reproductive system and breast disorders(生殖系および乳房障害) 5 ( 8.1) 34 ( 17.8) 22 ( 36.7) 61 ( 19.5) 11 ( 8.3)
Ovarian hyperstimulation syndrome(卵巣過剰刺激症候群) 1 ( 1.6) 12 ( 6.3) 9 ( 15.0) 22 ( 7.0) 5 ( 3.8)
Ovarian disorder(卵巣障害) 0 ( 0.0) 3 ( 1.6) 11 ( 18.3) 14 ( 4.5) 0 ( 0.0)
Ovarian enlargement(卵巣腫大) 0 ( 0.0) 7 ( 3.7) 1 ( 1.7) 8 ( 2.6) 4 ( 3.0)
Breast discomfort(乳房不快感) 2 ( 3.2) 1 ( 0.5) 4 ( 6.7) 7 ( 2.2) 0 ( 0.0)
器官別大分類及び基本語はそれぞれホリトロピンアルファ群の被験者数の降順に並べ替えた。
国内臨床試験(評価資料)
国内試験において、比較的よく見られる有害事象として、器官別大分類(SOC)の胃腸障害、
生殖系および乳房障害、感染症および寄生虫症、臨床検査、神経系障害に分類されるものが高頻 度に報告された。これらのSOC内での発現率はホリトロピンアルファと精製u-hFSHを投与され た被験者間でおおむね同程度であったが、例外は、生殖系および乳房障害(ホリトロピンアルフ ァ:24.6%、精製u-hFSH:16.7%)及び臨床検査(ホリトロピンアルファ:5.8%、精製u-hFSH:
2.3%)であった。
生殖系および乳房障害については、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)、卵巣障害及び乳房不快感
が精製u-hFSH(それぞれ、3.8%、0.0%及び0.0%)に比べてホリトロピンアルファ(それぞれ、
7.0%、4.5%及び2.6%)でより高頻度に報告された。また、臨床検査というSOC内で、白血球数
増加が精製u-hFSH(0.8%)に比べてホリトロピンアルファ(2.2%)でより高頻度に報告された。
ホリトロピンアルファを投与された被験者で発現した有害事象、具体的には、腹部膨満、OHSS、
卵巣障害*、更に可能性として鼻咽頭炎にも用量反応作用が認められると考えられ、開始用量の増 加に伴い事象発現率が上昇した。OHSSの多く及び卵巣障害の大部分がホリトロピンアルファ150 IUで投与を開始した被験者で発現したものであった。腹部膨満の報告の多くはOHSSに起因する ものと考えられた。鼻咽頭炎については原因は不明であるが、75 IUで投与を開始した被験者での 発現率が、ホリトロピンアルファと精製u-hFSHの間で同程度であったことは注目すべきことであ る。
全体として、ホリトロピンアルファ75 IUで投与を開始した被験者の34.6%及び精製u-hFSHを 投与された被験者の 21.2%が、1 件以上の比較的よく見られる副作用を発現した。有害事象の場 合と同様、発現率の差は胃腸障害並びに生殖系および乳房障害によるものであった。特に、腹部 膨満及びOHSSは、ホリトロピンアルファを投与された被験者でより高頻度に報告された。既に 述べたように、OHSS及び卵巣障害はホリトロピンアルファ150 IUで投与を開始した被験者で高 頻度に報告された。副作用として報告された腹部膨満、悪心、腹痛及び乳房不快感は、OHSS 又 は卵巣障害に随伴して発現した症状であるという可能性が高いと考えられた。
比較的よく見られる有害事象の累積用量別集計において(第2.7.4.7項の表 2.7.4-30)、データ
を900 IUごとの累積用量別に分類した。累積用量別に検討した場合、ホリトロピンアルファ又は
精製u-hFSHにおいて、総有害事象発現率に用量反応関係は認められなかった。900 IUまでのホ
リトロピンアルファ投与を受けた被験者における発現率は55.5%であり、900~1800 IUの被験者 で64.1%、1800~2700 IUの被験者で41.2%であった。また、900 IUまでの精製u-hFSH投与を受 けた被験者における発現率は52.8%であり、900~1800 IUの被験者で42.9%、1800~2700 IUの被
験者で 42.9%であった。国内試験では、累積投与量 2700~3600 IUの被験者数はホリトロピンア
ルファで4例、精製u-hFSHで1例のみであり、また累積投与量3600~4500 IUの被験者はホリト ロピンアルファの2例のみであったことから、この2つの累積投与量を比較することにあまり意 味はないと考えられる。
個々の PT に関しても同様に、発現率と累積用量の間に明白な用量反応関係は認められなかっ
* 22377試験では、グレード1のOHSSはOHSSではなく、「卵巣障害」に分類された。