1 確言
事柄について,そうである,そうでないと確定的に言い切る表現を確言と言う。
地の文と会話文では少し状況が異なる。地の文の場合は,末尾に終助詞のTdoを付すこ とで言い切る形にする。地の文の場合,多くは一連の文脈の小さいまとまりの終結,すな わち段落のまとまりの終結部に付され,その次のまとまりから別の話題が始まることが 多い。
(25.1) LVdIoJdoI`o n=top 大臣は
VboWo<\@cZo;=`Zo pn=erg ルラキェーが
1>ZoZdn v:pf=term した
「大臣はルラキェーがつとめた」【GSM 57】
会話文では,終助詞Tdoを付すことではっきりと言い切っていることを示す場合もある が,終助詞を付さずに動詞ないし助動詞で文を終える例も多々見られる。次の例は終助詞 のあるものである。
(25.2) L6qHo n 魔物
I<oJdo adj 黒い
L1F<oMcHo adjn 恐れ知らずの
U`IoIdo cop=term である
「(我が輩は)恐れ知らずの黒い魔物である」【GSM 237】 次の例は終助詞がない用例である。
(25.3) TH`oH<oI`o dem=top これらは
NdIo!=`o n=gen 以前の
<k@`Io9q<Zo n
お布施の力 U`Io cop である
「これらは前世のお布施の力です」【GSM 224】
2 命令
命令文は人に要求するというタイプの文で,確言とは異なり,何かを実現するよう/し ないよう要求する文の形式である。肯定の場合,動詞は命令形を用いる。否定の場合,否 定接頭辞のMo-を前接した未完了形を用い,「〜するな」という禁止の意味を表す。否定 命令については第IV部「単文>否定>否定命令文」(p. 202)を参照。
動詞の命令形については第III部「語と句>動詞>動詞の活用と機能」(p. 88)を参照。
なお,祈願の文もこのタイプの一種で命令の終助詞を用いる。本章にて後述する。
2.1 動詞の命令形を用いた表現
動詞を命令形にするだけで,命令文を作ることができる。
(25.4) 0>`oMo advn 来世
LHcoTLDZo n 楽果
THdHoIo v-conjn 望むなら
Ho9Ko advn 今
H:ToLo n 苦行
\@dHn n v:impr 行いなさい
「来世に楽果を望むなら,今苦行を行いなさい」【GSM 178】
「〜して来なさい」といった命令文は,「来なさい」の部分を「来る」の命令形Xd<oを 使って表す。
(25.5) 7qZoJo n 能力
UdHoHMo ext=alt あるか
McHo neg.ext ない
HI`Zo v:pf 尋ねて
Xd<n v:impr 来なさい
「能力があるかどうか尋ねてきなさい」【GSM 88】
2.2 終助詞を用いた命令表現
A.〜しなさい:V>`<o命令の終助詞>`<oは,動詞の命令形,または未完了形(命令形をもたない動詞の場合) の直後に置いて用いる。直前の動詞の後置字,再後置字によって,R`<o,X`<oという異形 態をもつ。巻末の「付録>連声規則」(p. 277)を参照。
(25.6) <ZdWoLo n 祈り
THcLZo;=`Io v:ipf:a-conjn 捧げながら
Zd=oR`<n v:impr=term 行きなさい
「祈りを捧げながら行きなさい」【GSM 87】 (25.7) ,@WoVLZoWo
n=dat 王統記を
<S`<ZoX`<n v:hon=term 見なさい
「王統記をお読みなさい」【GSM 249】
命令の終助詞>`<oを伴うもののうち,他に注意すべき用法として,以下のBからDに 挙げたようなものがある。