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属性動詞が動詞句の一部として用いられる場合

ドキュメント内 古典チベット語文法 (ページ 116-120)

第 17 章

2.4 属性動詞が動詞句の一部として用いられる場合

未完了能動 未完了所動 完了 命令 AAAB するhon MPHoˆndz¨a¨a MPHoˆndz¨a¨a MPHoˆndz¨a¨a MPVHoˆndz¨o¨o

AAAB 聞く AIo´ny¨að AIo´ny¨að AIo´ny¨að AdIo´ny¨oð

AAAB 言う WLoˆlap WLoˆlap WLoˆlap WdLoˆlop

AAAA 引く TGcIo`theð TGcIo`theð TGcIo`theð TGcIo`theð

AAAA 着る <dIo´kh¨oð <dIo´kh¨oð <dIo´kh¨oð <dIo´kh¨oð

AAAA 祀るhum <ZdWo¯s¨o¨o <ZdWo¯s¨o¨o <ZdWo¯s¨o¨o <ZdWo¯s¨o¨o

AAAA 与える <KcVo¯ter <KcVo¯ter <KcVo¯ter <KcVo¯ter

AAAA 見るhon <S`<Zoˆsii <S`<Zoˆsii <S`<Zoˆsii <S`<Zoˆsii

AAAA 建てるhon LRc=Zoˆsyað LRc=Zoˆsyað LRc=Zoˆsyað LRc=Zoˆsyað

(1)変化動詞と意志的他動詞の対

「切れる」と「切る」のように変化動詞と意志的他動詞が対になっているタイプである。

このタイプが最も多い。発音の対応に注目されたい。

変化動詞 意志的他動詞

T;dVo¯khor 回る L<?dVo¯kor 回す,回る

T!=cWo´ngyee 倒れる L<^@cWo´kyee 倒す

T!^Vo´ngyur 変わる L<^!Vo´kyur 変える

T2F`<oˆndrik 整う L<^H`<oˆtrik 整える

T2)Loˆndrup 成就する L<^+Loˆtrup 成就させる

?<o`tyhaa 壊れる <><o`tyaa 壊す T?Ho`tyh¨a¨a 切れる <>Ho`ty¨a¨a 切る

MGbIo¯th¨un 合う L<KZIo¯t¨un 合わせる

T6qo´ndu 集まる L<MYo´tu 集める

&dWo´t¨o¨o 穴があく L%dWo¯t¨o¨o 穴をあける

TKVo¯phar 上がる RVo¯par 上げる

T1>Vo´ndyar 貼り付く <k@Vo´tyar 貼る TLDcWo´ndree つながる <kHcWo´tree つなぐ

R`<oˆsyik 壊れる LX`<o`syik 壊す

(2)意志的自動詞と意志的他動詞の対

「起きる」と「起こす」というタイプの対である。

意志的自動詞 意志的他動詞 AWo´ny¨a¨a 寝る L<FWo¯ny¨a¨a 寝かせる

W=oˆlað 起きる,立つ LZV=o¯lað 起こす,立てる

(3)非使役的動詞と使役的動詞の対

「着る」と「着せる」のように非使役的な意味を持つ動詞と使役的な意味を持つ動詞の 間で同様の対応関係を持つものがある。

意志的他動詞(非使役的動詞) 意志的他動詞(使役的動詞)

<dIo´kh¨oð 着る L<?dIo¯k¨oð 着せる

(4)意志的他動詞と知覚動詞の対

知覚にかかわる動詞の中には次のような意志的他動詞と知覚動詞の対がある。

意志的他動詞 知覚動詞

9Ko¯ta 見る MGd=o`thoð 見える

AIo´ny¨að 聴く GdZo`th¨o¨o 聞こえる

TOVWo¯tsh¨o¨o 探す 8FcHo`nyee 見つかる

4 動詞の否定形

動詞語幹に否定の接頭辞M`o- miないしMo- maを付けて否定形を作る。未完了の場合

はM`o- miが,完了の場合および命令の場合はMo- maが用いられる。*3

【未完了】M`o-動詞未完了形語幹

  M`oT2Fdo´miðtro (行かない) M`oXcZo`misyeð(知らない)  

【完了】Mo-動詞完了形語幹

  MoL9KZo`mat¨a¨a (見なかった) MoT<(=Zo`hmatruð(生まれなかった)

【命令】Mo-動詞未完了形語幹   MoT2Fdo´maðtro (行くな)

否定表現については第IV部「単文>否定」(p. 201)を参照。

*3否定の接頭辞の発音については第I部「発音と文字>文字と発音に関する補足>文字と発音のズレ」

(p. 31)を参照のこと。

5 隠れた再後置字 H

歴史的に再後置字Hを持つ語とは,多くは動詞の完了形語幹である。動詞のうち,後 置字IVWを持つ動詞の完了形は,もともと再後置字Hを持っていた。例えば,<^!Vo

´kyur (変える) の完了形は,古典チベット語(11-19世紀)および現代チベット語では

L<^!Voと書くが,古典チベット語成立以前はL<^!VHoと書かれていた。

歴史的に再後置字Hを持っていた語に助詞・接辞がついた場合の連声規則は巻末の「付 録>連声規則>連声規則早見表」(p. 280)を参照のこと。上述の<^!Vo´kyurの変化形に 終助詞Tdo´oがついたケースについて例を挙げれば,下記のようになる。

未完了能動形 <^!VoVdo´kyur ro 未完了所動形 L<^!VoVdo´kyur ro 完了形    L<^!VoFdo´kyur to

6 存在動詞における UdHo と T6q<o の使い分け

状態動詞のうち,事物の存在を表すのに用いられる動詞UdHoˆy¨o¨oとT6q<oˆnduuは,

まとめて存在動詞と呼ぶ。『王統明鏡史』では,どちらも頻繁に用いられ,使い分けも明 確である。UdHoˆy¨o¨oは「所有」ないし「あらかじめ持っている」「もともと存在している」

という意味があり,さらに「話者ないし書き手がその存在をあらかじめよく知っている」

という意味にもなる。一方,T6q<oˆnduuは「存在」ないし「今,そこにあるのを目撃し た」という意味が含まれており,「話者ないし書き手がその存在をその場で知覚した」と いう意味になる。この使い分けは,これらの存在動詞が動詞と組み合わせて用いられる際 にも見られるものであり,UdHoˆy¨o¨oを「定着知」の存在動詞,T6q<oˆnduuを「観察知」

の存在動詞と呼ぶ。

読解の際には上記の相違点を念頭に置いて読むとよい。なお,これらは現代ラサで話さ れているチベット語にも通じる使い分けである。

7 動詞句

ここでいう動詞句とは,複数の語からなるもので,(1)名詞+動詞型の動詞句,(2)動 詞連続型の動詞句,(3)接辞・助詞を伴う動詞句,(4)文法化の進んだ動詞句,の4つの 型に分けられる。

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