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第 20 章

ドキュメント内 古典チベット語文法 (ページ 140-145)

敬語と謙譲語

1 名詞類の敬語と謙譲語

■一般名詞の敬語形

1音節の基本的な敬語として,;o¯kha (口)の敬語形であるRWo´sy¨a¨a,W<oJo´lakpa (手) の敬語である0><o`tyhaa,!=oJo¯kaNpa (足)の敬語形であるRLZoˆsyapなどが ある。これらは下記の表の右端に示すように敬語複合語を作る語幹としても用いられる。

意味 普通語形 敬語形 敬語複合語例

口 ;o¯kha RWo´sy¨a¨a RWoSZoˆsy¨a¨as¨a¨a (食事) 手 W<oJo´lakpa 0><o`tyhaa 0><oLD`Zo`tyhaatrii (手紙)

足 !=oJo¯kaNpa RLZoˆsyap RLZoFd<oˆsyaptoo (奉仕)

目 M`<o`mii \@Io¯ty¨að \@Io?Lo`ty¨aðtyap (涙)

身体 <Sb<ZoJdo´suku <?Yo¯ku <?YoMHd<o`kuðtoo (身体の色) 心 ZcMZo`sem Gb<Zo`thuk, `thuu Gb<Zo:o¯thuuka (心臓) 水 ?bo¯tyhu ?Lo`tyhap \@Io?Lo`ty¨aðtyap (涙)

他に,\oKo¯apa (父)の敬語形としてULoˆyap,\oMo¯ama (母)の敬語形としてUbMo

´yumなどがある。

■一般名詞の謙譲語形

謙譲語の複合語を作るによく用いられるのは,8qo´syu (申し上げる),M@Wo´ndy¨a¨a (お 目にかかる)等の動詞謙譲語形語幹である。複合語の例として,8qo%cIo´syuteð(贈り物), M@WoTKDHoˆndy¨aðtr¨a¨a (謁見)などがある。

■人称名詞の敬語と謙譲語

人称名詞には敬語と謙譲語がある。1人称のうち,=o´Naは普通語形であり,対等の関 係で用いられるが,=cHoˆNeeは相手に対してへりくだる時の謙譲語形である。また,2人 称のうち,;?dHo`kyh¨o¨oは普通語形であり,対等な関係で用いられるが,;?cHo`kyheeは相 手に敬意を込めて用いられる尊敬語形である。また,へりくだる際に用いられる1人称の

形式KDIo¯trh¨aðは「小さなもの」を表し,日本語の「小生」にあたる謙譲語である。

詳しくは第III部「語と句>人称名詞」(p. 56)を参照。

2 動詞の敬語

■尊敬語

意味 普通語形 敬語形

〜である U`Io´yið W<Zoˆlak, ˆlaa

居る <MdHoˆt¨o¨o L8q<Zoˆsyuk, ˆsyuu

する 1>cHo´tyhe MPHoˆndz¨a¨a

与える <KcVo¯ter <I=o¯nað

言う ScVo´ser, ´se <Zb=o¯suð

見る 9Ko¯ta <S`<Zoˆsik, ˆsii

生まれる <\@co¯kye T<(=o¯trhuð

考える LZMo¯sam H<d=Zoˆkoð

<FMo¯nyam

行く T2Fdo´ndro <Xc<Zo`syaa

来る Ud=o´yoð KcLZo`phee

立つ,起きる W=o´lað LRc=Zoˆsyað 寝る AWo´ny¨a¨a <S`MZoˆsim

上記の尊敬語の動詞語幹を用いた派生語,複合名詞として以下のようなものがある。

H<d=ZoJo´koNpa (考え) <S`<ZoMdo´siimo (見物) L8q<Zo;D`o´syuktri (玉座)

■謙譲語

意味 普通語形 謙譲語形

与える <KcVo¯ter TLbWo´nb¨u¨u

もらう WcIo´leð 8qo´syu 言う ScVo´ser, ´se 8qo´syu

行く T2Fdo´ndro L>Vo¯tyar, ¯tyaa

〜である U`Io´yið W<Zoˆlaa

■補助動詞による敬語化(〜するようになさる,〜なさる)VJVoMPHo

VJVoMPHopar ˆndz¨a¨aはVJVo1>cHopar ´tyheの敬語表現である。MPHoˆndz¨a¨aは敬 語形で「なさる」の意味である。「〜するようになさる」という状態変化の引き起こしの 敬語形として解釈できる場合と,単に敬語化の手段として用いられていると解釈できる場 合がある。

次の例は状態変化の引き起こしの敬語形にあたる。

,@ZoJVoMPHoˆky¨a¨a par ˆndz¨a¨a (栄えるようになさる)

以下の例は,敬語化の機能を付加しているものである。*1 AIoJVoMPHo´ny¨aðpar ˆndz¨a¨a (聴くことになさる)

1>=o?bLo;=`oWMoWoT<dHoJVoMPHoˆtyhaNtyup ki ´lam la ˆng¨o¨o par ˆndz¨a¨a (菩提道にお導

きになる)

■補助動詞による謙譲語化(〜していただく):VJVo8qo

動詞にJVo8qopar ´syuを付すことによって,その動詞を謙譲語化する場合がある。

U`o<cVoT<dHoJVo8qoˆyiker ˆng¨o¨o par ´syu (文字に書いていただく) KcLZoJVo8qo`phee par ´syu (お越しいただく)

*1現代のラサ方言などでは動詞に<I=o¯nað(くださる)という敬語動詞を連続させることで敬語形を作る が,『王統明鏡史』には<I=oの敬語化用法は見当たらない。

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