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相関分析による関係性の解明

第 5 章 ヒトのバランス運動と感性 66

5.3 ヒトによる協力的なバランス運動の測定実験

5.3.2 相関分析による関係性の解明

本節では,実験により得られた物理量と,官能評価から得られた官能量との間 にある関係性を見いだすため,相関分析を行う.相関分析とは,共にばらつく2つ の変数の関係について分析する手法である[41].

自分に関する物理量と官能量の相関

自分に関する物理量と自分の操作を評価する形容語対の相関分析結果より得ら れた相関係数を,表5.3に示す.

表 5.3: 自分に関する物理量と形容語対の相関係数 自分の操作を評価する形容語対

バランス誤差の  RMS との相関係数 

反応遅れ時間  との相関係数 

1 自由な — 不自由な 0.398 -0.119

2 調和のとれた—不調和な 0.503 -0.134

3 敏感 —鈍感 -0.013 0.129

4 激しい —穏やか -0.439 0.294

5 間に合った — 間に合わない 0.330 -0.155

6 積極的 —消極的 -0.292 0.322

7 楽しい —つらい 0.382 0.027

8 上手 —下手 0.336 -0.094

9 簡単— 難しい 0.532 -0.184

10 安心 —不安 0.431 -0.204

11 意図的な— 意図的でない -0.019 0.174

12 攻撃的 —防御的 -0.276 0.166

13 頼りになる — 頼りにならない 0.291 -0.130 14 信じられる — 信じられない 0.335 -0.088

15 理性的 —直感的 0.227 0.016

表5.3の相関係数のうち,相関が高いものを太字で表した.

表5.3より,自分のバランス誤差のRMSは,自分の操作を評価する形容語対の

作の秩序性を表すと考えられる.また,「9.簡単—難しい」は,操作の難しさを表 す形容語対であり,操作の難易度を表すと考えられる.

以上より,自分のバランス誤差のRMSは操作の秩序性と難易度を表している.

これは,自分のバランス誤差のRMSが大きいと無秩序であり操作が難しいことを 示し,小さいと秩序的であり操作が簡単であることを示す.

自分の反応遅れ時間に関しては,自分の操作を評価する形容語対の「4.激しい—

穏やか」,「6.積極的—消極的」と共に低い正の相関がある.「4.激しい—穏やか」

は,操作が激しいかどうかを表す形容語対であるので,操作の活動性を表すと考 えられる.また,「6.積極的—消極的」は,操作に積極的に関わっているかを表す 形容語対であるので,「6.積極的—消極的」についても活動性を表すと考えられる.

以上より,自分の反応遅れ時間は,自分が操作に活動的に関わっているかを表 している.これは,反応遅れ時間が短いと積極的に激しい操作を行っており,長 いと消極的にゆっくりと操作を行っていることを示す.

5.3 ヒトによる協力的なバランス運動の測定実験

相手に関する物理量と官能量の相関

相手に関する物理量と相手の操作を評価する形容語対の相関分析結果より得ら れた相関係数を,表5.4に示す.

表 5.4: 相手に関する物理量と形容語対の相関係数 相手の操作を評価する形容語対

バランス誤差の  RMS との相関係数 

反応遅れ時間  との相関係数 

16 自由な — 不自由な 0.149 0.061

17 調和のとれた—不調和な 0.577 -0.054

18 敏感 —鈍感 0.316 0.053

19 激しい —穏やか -0.474 -0.053

20 間に合った — 間に合わない 0.483 -0.031

21 積極的 —消極的 -0.270 0.158

22 楽しい —つらい 0.230 -0.117

23 上手 —下手 0.509 -0.106

24 簡単— 難しい 0.684 -0.064

25 安心 —不安 0.565 -0.030

26 意図的な— 意図的でない -0.032 -0.023

27 攻撃的 —防御的 -0.595 -0.005

28 頼りになる — 頼りにならない 0.593 -0.060 29 信じられる — 信じられない 0.514 -0.113

30 理性的 —直感的 0.303 -0.042

表5.4の相関係数のうち,相関が高いものを太字で表した.

表5.4より,相手のバランス誤差のRMSは,「17.調和のとれた—不調和な」,

「24.簡単—難しい」,「28.頼りになる—頼りにならない」と共に正の相関があり,

「27.攻撃的—防御的」と負の相関がある.「17.調和のとれた—不調和な」は,調 和がとれているかを表す形容語対であるので,操作の秩序性を表すと考えられる.

「24.簡単—難しい」は,操作の難しさを表す形容語対であり,操作の難易度を表 すと考えられる.「28.頼りになる—頼りにならない」は,相手が頼りになるか,つ まり,相手が自信を持って操作をしているかを表す形容語対である.相手が自信を

表していると考えられる.

以上より,相手のバランス誤差のRMSは,相手の操作の秩序性と活動性,難易 度,相手への信頼度を表している.これは,相手のバランス誤差のRMSが大きい と,相手の操作が攻撃的で無秩序であるため,操作が難しく,相手を信頼できな いことを示す.また,相手のバランス誤差のRMSが小さいと相手の操作が攻撃的 でなく秩序があり,操作が簡単で,相手を信頼できることを示す.

相手の反応遅れ時間に関しては,いずれの形容語対ともほとんど相関がみられ なかった.このことから,相手の反応遅れ時間と本報で用いた形容語対から受け る感性との関係性は少ないと考えられる.

5.3 ヒトによる協力的なバランス運動の測定実験

相関分析のまとめ

以上の相関分析により,ヒトの協力的なバランス運動の測定により得られた物 理量と,ヒトが操作から受ける感性との間に以下に示す関係性を見いだすことが できた.

自分のバランス誤差のRMSと操作の秩序性,自分の操作の難しさ

相手のバランス誤差のRMSと操作の秩序性,相手の操作の活動性,難しさ,

相手への信頼度

自分の反応遅れ時間と自分の操作の活動性

しかしながら,本研究で用いた形容語対では,相手の反応遅れ時間とヒトが操作 から受ける感性との間には関係性は見いだすことはできなかった.以上の結果を 表5.5にまとめる.

表 5.5: 相関分析の結果のまとめ

バランス誤差のRMS 反応遅れ時間 自分 

操作の秩序性,

自分の操作の難しさ 自分の操作の活動性 

相手  

操作の秩序性,

相手の操作の活動性・難しさ,

相手への信頼度

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