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パラメータの算定および同定

第 7 章 協調と競争を表す四節リンク機構 131

7.2 双安定振子機構

7.2.5 パラメータの算定および同定

物理パラメータの算定

付録Eに示した双安定振子機構の部品図における公称値より,双安定振子モデ ルの物理パラメータを算定する.

台車のフレーム,シャフト,調節ねじ,振子棒の材質はジュラルミン(A2017),

強磁性体カムの材質は炭素鋼(S45C)である.これらの材料および各部品形状の公 称値より各部品をモデル化し,質量を算定した結果,および振子の慣性モーメン トの値を表7.2に示す.

表 7.2: 双安定振子モデルの物理パラメータ値

台車Aの質量 md= 0.16 [kg]

振子Bの質量 ms= 6,78×103 [kg]

振子Bの長さ r = 0.124 [m]

振子Bの慣性モーメント I = 8.69×106 [kg·m2]

7.2 双安定振子機構

復元力特性の同定

双安定振子機構のポテンシャルの測定結果より,双安定振子モデルのパラメー タを求める.

双安定振子モデルの磁力による復元力τを,P,Qをパラメータとして

τ =τ(θ) :=P sin 2θ+Qsin 4θ (7.10)

とおく.重力の効果を合わせると,図7.4の双安定振子モデルの復元力特性ζ(θ)ζ(θ) = −msgrsinθ+τ

=−msgrsinθ+P sin 2θ+Qsin 4θ

(7.11)

と表せる.

図7.3に示した提案機構のポテンシャルの実測値は左右非対称であるが,モデル においては左右対称であると仮定し,図7.3の−π ≤θ≤0の範囲の測定結果と式

(7.11)のモデルについて最小二乗法を適用すると,P,Qが次のように得られる.

P = 7.801×102

Q= 2.264×102 (7.12)

同定したパラメータP,Qの値を用いて,式(7.11)より求めたポテンシャルお よび双安定振子機構のポテンシャルを図7.5に示す.

-0.02 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10

- π 0 θ [rad] π

U

mech

, U

model

U

mech

U

model

図 7.5: 双安定振子モデルと双安定振子機構のポテンシャル

図7.5の横軸は双安定振子モデルおよび双安定振子機構の振子の角度θ,縦軸 は双安定振子モデルのポテンシャルUmodelおよび双安定振子機構のポテンシャル Umechである.赤の実線は式(7.11)より求めたポテンシャルUmodel,青の丸印はす でに図7.3に示した測定値Umechである.

図7.5より,ポテンシャルUmodelおよびUmechはどちらもθ = 0で極小となり,

Umodelについてはθ =±πにおいても極小となる.したがって,双安定振子モデル

は,角度θ = 0,±πで安定する.さらに,双安定振子モデルおよび双安定振子機 構のポテンシャルは−π≤θ ≤πの範囲でほぼ同等であるといえる.

図7.5の比較により,式(7.10)の復元力モデルによって,提案機構のポテンシャ ルがよく再現されていることがわかる.以上より,提案機構の復元力特性を再現 するモデルを得られた.

7.2 双安定振子機構

粘性減衰係数およびクーロン摩擦係数の同定

双安定振子機構と双安定振子モデルの振動応答を基準に,粘性減衰係数とクー ロン摩擦係数を同定する.

双安定振子機構の水平変位および角変位はモーションキャプチャシステム(株式会 社ライブラリー社製,ひまわりGE60/W)を使用した.双安定振子機構の運動を撮 影後,2次元動画計測ソフト(同社製,Move-tr/2D 7.0)によって水平変位および角 変位を求めた.測定の初期条件は,θ(0) = π/6[rad],x(0) = 0[m],x(0) = 0[m/s],˙ θ(0) = 0[rad/s]˙ とした.

双安定振子機構の振動応答の測定結果と,式(7.9)の解に最小二乗法を適用し,

粘性減衰係数cx,cθ およびクーロン摩擦係数µx,µθ を求めた.結果を表7.3に 示す.

表 7.3: 双安定振子モデルの物理パラメータ値 x方向の粘性減衰係数 0.125 [Ns/m]

θ方向の粘性減衰係数 2.5×104 [Nms]

x方向のクーロン摩擦係数 0.01 θ方向のクーロン摩擦係数 2×103

計測した双安定振子機構の振動応答と算出したパラメータを用いた双安定振子 モデルの振動応答を図7.6に示す.

0 0.06 0.12

x [m]

Mechanism Model

- π /6 0 π /6

0 1 2 3 4 5

x [m]

t [s]

θ [rad]

Mechanism Model

図 7.6: 双安定振子機構と双安定振子モデルの台車の位置xおよび振子の角度θの 振動波形

横軸は計測開始からの経過時間t[s],縦軸は上側が台車の水平変位x[m],下側が 振子の角変位θ[rad]である.双安定振子機構の台車の水平変位xを赤の丸印,振 子の角変位θを青の丸印で示し,双安定振子モデルの台車の水平変位xを赤の実 線,振子の角変位θを青の実線で示す.台車の水平変位xおよび振子の角変位θの いずれについても,実験結果(丸印)と計算結果(実線)がよく一致している.

以上,双安定振子モデルの粘性減衰係数とクーロン摩擦係数が同定できた.