第 3 章 協調と競争を表す機械モデル 11
4.2 小自由度モデルの導出
4.2 小自由度モデルの導出 以上により,図3.1の2次元2自由度の倒立振子の力学モデルを図4.2に示すよ うに,1次元2自由度のモデルに簡約化することができた.このモデルを単体モデ ルと呼ぶ.また,倒立振子の台車にあたる質点AをコントローラA,振子先端に あたる質点BをターゲットBとし,ばねによる弾性力はターゲットのみに作用す るとする.
図 4.2: 単体モデルの力学モデル
図4.2に示した力学モデルの各システムパラメータを表4.1に示す.
表 4.1: 単体モデルのシステムパラメータ
m [kg] コントローラAおよびターゲットBの質量 xm [m] コントローラAの位置
xt [m] ターゲットBの位置
−α [N/m] 仮想的なばねのばね定数
u(t) [N] 制御入力
Lagrangeの運動方程式(式(3.5))を用いて導出した単体モデルの運動方程式は
m¨xt+cx˙t−α(xt−xm) = 0, m¨xm+cx˙m =u(t)
(4.1)
となる.さらに,この1次元2自由度の運動方程式の低次元化を行い,1次元1自 由度の運動方程式を得る.このために,ターゲットBとコントローラAの位置の 差をバランス誤差∆xとすると
∆x:=xt−xm (4.2)
と表わせる.運動方程式にバランス誤差を取り入れるために,式(4.1)の辺々を減 じると
m(¨xt−x¨m) +c( ˙xt−x˙m)−α(xt−xm) = −u(t) (4.3) となり,式(4.2)を代入すると
m∆¨x+c∆ ˙x−α∆x=−u(t) (4.4)
となる.よって,単体モデルの1次元2自由度の運動方程式(式(4.1))を,1次元 1自由度に簡約化することができた.
以上の方法により,2次元2自由の非線形モデルをを1次元1自由度の線形モデ ルに簡約化することができた.
4.2 小自由度モデルの導出
4.2.2 結合倒立振子モデルの簡約化〔結合モデル〕
本節では,第3.3節で述べた結合倒立振子の簡約化について述べる.
図3.4に示した結合倒立振子モデルは2台の倒立振子モデルの振子先端同士をリ ンク棒で接続したものである.これと同様に,2台の単体モデルのターゲット(倒 立振子モデルの振子先端に相当)同士をリンク棒で接続する.このモデルを結合モ デルとよぶ.以上により,図3.4に示した2次元4自由度の結合倒立振子モデルを,
図4.3に示すように1次元4自由度に簡約化することができた.
図 4.3: 結合モデルの力学モデル
図4.3に示した力学モデルの各システムパラメータを表4.2に示す.
表 4.2: 結合モデルのシステムパラメータ
m [kg] コントローラA1,A2およびターゲットB1,B2の質量
` [m] リンク棒B1B2の長さ
−α [N/m] 仮想的なばねのばね定数
xm1 [m] コントローラA1の位置 xm2 [m] コントローラA2の位置
xt1 [m] ターゲットB1の位置 xt2 [m] ターゲットB2の位置
u1(t) [N] コントローラ1に加える制御入力
u (t) [N] コントローラ2に加える制御入力
Lagrangeの運動方程式(式(3.5))を用いて導出した結合モデルの運動方程式は
m¨xt1+cx˙t1 −α(xt1 −xm1) = 0, m¨xt2+cx˙t2 −α(xt2 −xm2) = 0, m¨xm1 +cx˙m1 =u1(x),
m¨xm2 +cx˙m2 =u2(x)
(4.5)
となる.ここで,ターゲットB1とターゲットB2は長さ`の剛体棒で接続されい るので
xt2 =xt1 +` (4.6)
と置き換えることができる.よって,式(4.5)の第2式は md2
dt2 (xt1 +`) +cd
dt (xt1 +`)−α(xt1 +`−xm2) = 0 (4.7) m¨xt1+cx˙t1 −α(xt1 +`−xm2) = 0 (4.8) となる.したがって,第1式と第2式をまとめると,式(4.5)は
2mx¨t1 + 2cx˙t1 −α(2xt1 −xm1 −xm2 +`) = 0, m¨xm1 +cx˙m1 =u1(x),
m¨xm2 +cx˙m2 =u2(x)
(4.9)
となり,1次元3自由度にまで低次元化することができた.
さらに,バランス誤差を取り入れることにより,1次元2自由度の運動方程式を
得る.第4.2.1節と同様に,ターゲットBiとコントローラAiの位置の差をバラン
ス誤差∆xiとすると
∆xi :=xti −xmi (i= 1,2) (4.10)
と表わせる.運動方程式にバランス誤差を取り入れるために,式(4.9)の第1式か ら第2式,第3式をそれぞれ減じると
m(¨xti −x¨mi) +c( ˙xti−x˙mi)− 1
2α(xti−xmi) =−ui(t) (i= 1,2) (4.11) となり,式(4.10)を代入すると
m∆¨xi+c∆ ˙xi−1
2α∆xi =−ui(t) (i= 1,2) (4.12) となる.よって,結合モデルの運動方程式(式4.5)を1次元2自由度に簡約化する ことができた.
以上の方法により,2次元4自由度の非線形モデルを1次元2自由度の線形モデ