第 2 章 サーバの導入( Linux 版)
2.3 iSM サーバの環境設定
2.3.2 環境定義ファイル
(1)サンプルファイル
iSMサーバは、以下の2種類のサンプルファイルを提供しています。運用に応じて、以下のサンプルファ イルを参考にして環境定義ファイル(/etc/iSMsvr/iSMsvr.conf)を作成してください。また、以下のすべ てのサンプルファイルは、iSMクライアント(Web GUI)のみ利用可能な設定になっています。
・A3000シリーズおよびA5000シリーズ以外のAシリーズのディスクアレイ用の必要最低限の設定が可
能なサンプルファイル
・全ての設定が可能なサンプルファイル
※Mシリーズ、A3000シリーズおよびA5000シリーズでは、全ての設定が可能なサンプルファイルを 使用します。
なお、サンプルファイルは/etc/iSMsvr配下に文字コードごとに用意しています。
①Aシリーズのディスクアレイ用の必要最低限の設定が可能なサンプルファイル
ファイル名 文字コード
iSMsvr.easy-A.sample 英語
iSMsvr.easy-A-SJIS.sample 日本語(SJIS) iSMsvr.easy-A-eucJP.sample 日本語(EUC) iSMsvr.easy-A-utf8.sample 日本語(UTF8)
②全ての設定が可能なサンプルファイル
ファイル名 文字コード
iSMsvr.sample 英語
iSMsvr.SJIS.sample 日本語(SJIS) iSMsvr.eucJP.sample 日本語(EUC)
iSMsvr.utf8.sample 日本語(UTF8)
(2)必要最低限の設定
必要最低限の設定をおこなうサンプルファイルを利用すると以下の設定が行えます。
①Aシリーズのディスクアレイ用の必要最低限の設定 ・ディスクアレイの設定
・利用者の設定
・iSMクライアント(Web GUI)接続先ポート番号の設定 ・運用ログファイルの設定
[1]ディスクアレイの設定
iSMサーバで監視するディスクアレイの設定をおこないます。ディスクアレイの設定はIP接続を推
奨します。
iSCSI接続による監視はできません。また、Mシリーズ、A3000シリーズおよびA5000シリーズの
ディスクアレイの場合は、IP接続での監視のみとなります。
[2]利用者の設定
iSMクライアントからの接続時に指定する利用者の設定をおこないます。
ここで設定する利用者は複数ストレージ全体を管理する利用者(ストレージグループ管理ユーザ)
となります。特定のストレージを管理する利用者(ストレージ管理ユーザ)と特定のパーティション を管理する利用者(パーティション管理ユーザ)は、iSMクライアント(Web GUI)から設定してくだ さい。
[3]iSMクライアント(Web GUI)接続先ポート番号の設定
iSMクライアント(Web GUI)、およびWebブラウザからiSMサーバに接続する際に指定するポー
ト番号を設定します。
ポート番号が他のアプリケーションと競合する場合に変更してください。
[4]運用ログファイルの設定
iSMサーバのメッセージは、運用ログファイルに格納されます。既定値で/opt/iSMsvr/etc/log ディレクトリ配下に1(MB)のファイルを最大100ファイル作成します。ディスクの空き容量を 確認し、十分な空き容量がない場合は、運用ログファイルの格納ディレクトリを変更してくだ さい。
詳細な設定方法については、「(4)環境定義ファイル(iSMsvr.conf)への設定情報」または、必要最 低限の設定が可能なサンプルファイルを参照してください。
上記以外の設定を行う場合は、全ての設定が可能なサンプルファイルを利用して設定を行ってください。
詳細な設定については、「(4)環境定義ファイル(iSMsvr.conf)への設定情報」または、全ての設定が 可能なサンプルファイルを参照してください。
また、iSMサーバの定義ファイルとして、事象連携定義ファイルがあります。このファイルでは、iSM サーバが通知する各種メッセージの内容を元に、通知メールやシェル起動というアクションの定義ができま す。指定方法については、「付録E 事象連携定義ファイル」を参照してください。また、事象連携機能の 詳細については、電子マニュアル「iStorageManager利用の手引」(IS050)の「1.7 事象連携」を参照し てください。なお、新規インストール直後は、/etc/iSMsvr配下に、msgdrv.sample、mail.sampleという ファイルが作成されます。指定をおこなう場合は、msgdrv.conf、mail.tplという名前に変更して、事象連 携定義ファイルとして設定してください。
(3)環境定義ファイル(iSMsvr.conf)の記述規則 ここでは環境定義ファイルの記述規則を説明します。
①セクション :環境定義ファイルの定義内容は、セクションにより複数のブロックに分かれます。セ クション名を ”[”(開始カギ括弧)と ”]”(終了カギ括弧)で囲みセクションの開始を 指示します。
同じセクション名は、環境定義ファイル内に複数指定してはいけません。
②パラメータ :各セクションごとの定義内容は、パラメータで指示します。
パラメータは、セクションを指定した次の行以降から指定します。
パラメータは、パラメータの種別を識別するためのキーワード、”=”(イコール)、そ の値から構成されます。
キーワードは、英数字,”_”(アンダーバー)から構成される句です。
同じキーワードは、定められたセクション内に複数指定してはいけません。
値は、数値,文字列,またはキーワードを指定できます。
数値の場合、0以上の整数を最大9桁まで指定できます。
文字列には1バイト英数特殊文字を最大1023バイトまで指定できます。
<文字列の指定>
文字列は、”"”(ダブルクォーテーション)で囲むことにより以下に列挙したもの以 外を記述できます。”"”(ダブルクォーテーション)で正しく囲んでいない場合、記 述意図と反して認識される場合がありますので、注意してください。
タブ,改行,”"”(ダブルクォーテーション)
(例)"/usr/bin/ls"は /usr/bin/lsとして認識されます。
文字列を、”"”(ダブルクォーテーション)で囲まない場合、以下に列挙したもの以 外を記述できます。
タブ,改行,”"”(ダブルクォーテーション),”,”(カンマ),” ”(スペース),
”;”(セミコロン),”(”(開始括弧),”)”(終了括弧),”=”(イコール),
”#”(シャープ)
<パスの指定>
パスは、以下に列挙したもの以外は指定できません。"/"(スラッシュ)はパスの区切 りにのみ使用します。
英数字,”.”(ピリオド),”-”(ハイフン),”_”(アンダーバー),
"/"(スラッシュ)
<パラメータの指定形式>
キーワードのみ
キーワードのみで構成されます。
(例)auto_find_spf(値は指定しません。)
キーワードとひとつの値
キーワードと”=”(イコール)と値で構成されます。
(例)file_size = 1(数値を指定します。)
file_directory = /opt/iSMsvr/etc/log/ (文字列を指定します。)
キーワードと複数の値(その1)
複数の値が指定可能な場合は、値の前後は一つ以上の”,”(カンマ)または” ”(スペー ス)で区切り、”(”(開始括弧) と ”)”(終了括弧)で値全体を囲みます。”,”(カン マ)は” ”(スペース)と同等と見なします。各値の順番は自由です。
(例)file = ( /dev/nec_iSM/mkdl/c21t0d1, /dev/nec_iSM/mkdl/c17t0d0)
キーワードと複数の値(その2)
記述形式は(その1)と同じですが、値を記述する順番が決まっているものです。
この場合、値の数は固定です。”,”(カンマ)は” ”(スペース)と同等と見なします。
(例)login1=(John,Johnpass,L2)
複合型の値を持つキーワード
”(”(開始括弧)と ”)”(終了括弧)で囲まれた中に、さらにキーワード指定や”(” (開 始括弧)と ”)”(終了括弧)があるものです。
(例)diskarray=( ip = ( 192.168.0.1, 192.168.0.2) )
上記で説明してきたパラメータの構成要素である、キーワード、”=”(イコール)、
値の前後には、空白、タブ、改行を置くことができ、複数行にわたる記述が可能で す。
(例)ip = ( 192.168.0.1, 192.168.0.2 )
③コメント :セクションの開始行とパラメータ行の間、パラメータ行とパラメータ行の間(パラメー タの内部ではない行)では、行の先頭に”#”(シャープ)を指定して、その行(改行まで)
をコメント行とすることができます。
これ以外の”#”(シャープ)は、コメント行の印としては扱いません。
(例)### agent section ### ← コメント行
[agent] ← コメント行ではない
(4)環境定義ファイル(iSMsvr.conf)への設定情報 ここでは環境定義ファイルに設定可能な情報の説明をします。
iSMサーバ起動中に環境定義ファイルを変更した場合は、iSMサーバの再起動が必要です。
① agentセクション:エージェント管理に関する情報を定義します。
Mシリーズ、A3000シリーズおよびA5000シリーズのディスクアレイの場合は、IP接続での監視の みとなります。
[agent]
[auto_find_spf]
[snmp_port = ポート番号 ]
[remonitoring_interval = 監視の再開可能チェックインターバル ] [lan_path_check_interval = 監視パスのチェックインターバル ] [diskarray1 = (
{ ip = ( IP アドレス [ ,IP アドレス ] [ ,IP アドレス ] [ ,IP アドレス ]) [ [ type = M ]
]
| file = ( スペシャル ファイル名 [ , スペシャル ファイル名 ] ... ) } )]
[diskarray2 = (
{ ip = ( IP アドレス [ ,IP アドレス ] [ ,IP アドレス ] [ ,IP アドレス ] ) [ [ type = M ]
]
| file = ( スペシャル ファイル名 [ , スペシャル ファイル名 ] ... ) } )]
: : [diskarray64 = (
{ ip = ( IP アドレス [ ,IP アドレス ] [ ,IP アドレス ] [ ,IP アドレス ]) [ [ type = M ]
]
| file = ( スペシャル ファイル名 [ , スペシャル ファイル名 ] ... ) } )]
表2-2 環境定義ファイルで設定する情報(agentセクション)
セクション名
パラメータ 値 内容
[agent] エージェント管理セク
ション
エージェントセクションの開始を示します。
auto_find_spf なし スペシャルファイルの自動検出を行うことによ
り、FC接続のディスクアレイを自動的に検出し監 視を行います。
このパラメータを指定する場合、「2.3.1 ディスク アレイの監視方法の設定」の「(2)FC接続」で説明 するスペシャルファイルを事前に作成しておく必 要があります。
本パラメータと diskarray パラメータの指定がど ちらもない場合は、iSM サーバは継続しますが、
ディスクアレイの監視はできません。
snmp_port SNMPポート番号
(数値162)
SNMPトラップを受信する場合、SNMPトラップ を受信するポート番号として162を指定します。
SNMPトラップは、ディスクアレイから送信され る情報であり、ハードウェアの状態遷移などを iSMサーバに通知するものです。TCP/IP接続によ り監視するディスクアレイの場合にのみ有効とな ります。
SNMPトラップを受信しなくてもディスクアレイ の監視は行えます。ネットワークセキュリティ攻 撃等を受け性能が劣化することがありますので受 信しない設定を推奨します。指定がない場合、
SNMPトラップは受信しません。
remonitoring_interval 監視の再開可能チェッ クインターバル
(数値1~60)
障害によりディスクアレイの監視を自動停止した 後の、ディスクアレイの監視を自動再開すること が可能かを判定するインターバルを指定します。