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3. 福島第一原子力発電所の廃炉に向けた技術戦略 1 燃料デブリ取り出し

3.1.3 分野別戦略を展開する上での技術課題と今後の計画

3.1.3.4 燃料デブリ取り出し工法に係る技術課題 .1 アクセスルートの確保

燃料デブリ取り出しに係る機器・装置の搬入、設置、搬出、燃料デブリや廃棄物の移送のため には、干渉物が撤去されるとともにこれらの作業が可能な程度に線量が低減されていること、す なわち、アクセスルートが構築されていることが必要である。この燃料デブリへのアクセスルー トの構築に当たっては、号機ごとの燃料デブリの位置を考慮するとともに、PCV等に新たな開口 を設ける場合などには、3.1.3.3.2項に述べた気相部の閉じ込め機能の観点からPCV及びRPVか らの放射性物質の放出抑制、既存の構造物の健全性維持に対しても留意が必要である。

気中工法に軸足を置き、PCV底部にある燃料デブリへの横アクセスを先行させるという燃料デ ブリ取り出し方針の決定に基づき、現在、東京電力において予備エンジニアリングが行われてい るところであるが、ここではまず、これまでの廃炉・汚染水対策事業における研究開発成果を踏 まえ、PCV 側面開口部から燃料デブリに到達するまでのアクセスルートを構築し、必要に応じ、

原子炉建屋壁側面開口部の設置や、PCV 側面開口部の拡大を含めた計画を策定することとなる。

この際、横アクセス工法においては、セル等の設置時の原子炉建屋床の耐荷重を超過するおそれ があることが課題となっている。このため、吊り橋方式やアクセストンネル方式など、建屋外部 に荷重を逃がす方式の比較検討を進めている。

今後、上記の課題も踏まえ、3.1.3.1項に述べた内部調査等の各段階で得られたデータから、次 段階において構築されるべきアクセスルートを具体化していく必要がある。

なお、燃料デブリ取り出し方針においては、号機ごとに燃料デブリが存在すると考えられる部 位に応じた最適な取り出し工法を組み合わせることとされており、現時点では、RPV内部には上 からアクセスする工法を前提に検討を進める。

3.1.3.4.2 機器・装置の開発

燃料デブリを安全・確実・効率的に取り出すためには、現場条件に適合し、必要な機能を備え た燃料デブリ取り出し機器・装置を開発する必要がある。これらの機器・装置は、燃料デブリが 主に存在すると考えられるRPV内部及びPCV底部の現場状況に柔軟に対応するために、耐放射 線性、防じん性、防水性、3.1.3.3.4項に述べた温度目標、遠隔点検・保守性、遠隔操作性、視野 確保、耐震性、衝突回避や異常時自動停止などの保護機構、高い信頼性と適切な冗長性、トラブ ル発生時に以降の作業を妨げない救援機構、燃料デブリ取り出しの効率性(ペイロード)などの 仕様を満たす必要がある。

これらの課題も踏まえ、3.1.3.1項に述べた各段階で得られたデータから、次段階において使用 する燃料デブリ取り出し機器・装置を具体化していく必要がある。具体的に実装されるべき機能 として、燃料デブリの状態(破片状、汚泥状、微細粉状等)に応じた回収システム、また、燃料デ ブリの切削システム(レーザー、ボーリング、破砕等)と、これに合わせた集塵システムの開発 が進められている。さらに、取り出し装置の設置のための技術も必要であり、遠隔作業となるこ とを基本として、気相部の閉じ込め機能の構築のための作業セル設置や、アクセスルートの確保 のための干渉物撤去のための機器開発が進められている(図12参照)。

これらの技術開発は、現在、廃炉・汚染水対策事業において進められているところであるが、

今後、それぞれ開発された機器・装置を組み合わせた上で、上記の性能が実際に現場において発 揮できることを確認するためには、燃料デブリ取り出しの現場での機器投入等に先立って、十分 に検討された遠隔モックアップ試験においてその検証を行う必要がある。

この遠隔モックアップ試験は、不確定要素を多分に含む過酷環境条件下における、技術開発し た遠隔装置の現場環境への適用性や遠隔システム全体の運用・保守性の検証を行うため、現場を 模擬した施設により実施する必要があるが、5, 6 号機の活用など、目的に応じて合理的に実施す ることが重要である。そのためNDFでは、関係機関と協力し、遠隔モックアップ試験計画の進め 方と試験計画レビューの仕組み、整備するモックアップ施設の範囲、必要となる時期、運用管理 等について整理・検討を進めている。

(画像提供:IRID)

図12 燃料デブリ・炉内構造物の取り出し基盤技術

3.1.3.4.3 系統設備等・エリアの構築

燃料デブリ取り出しに当たっては、安全機能を確保するための系統設備等(コンテナ・作業用 セルや、機器及び装置類含む)を設置し、適正に運用する必要がある。この際、その設置、運転・

保守管理及び作業員被ばく低減のための遮へい体等の設置に十分なエリアが確保され、必要とさ れる環境条件を満たしている必要がある。

この系統設備等には、3.1.3.3.2項に述べた気相部の閉じ込め機能で要求される負圧管理システ

ム、3.1.3.3.3項に述べた液相部の閉じ込め機能及び3.1.3.3.4項に述べた冷却機能の維持で要求さ

れる循環水冷却・浄化システム、3.1.3.3.5項に述べた臨界管理で要求される臨界管理システムな どがあり、それぞれシステムの設置案の検討が進められている13。また、燃料デブリ取り出しに当 たって内部状況の監視は必須であり、そのための計測システム(可視化、圧力、温度、放射線、臨 界(希ガス濃度他)、水素濃度等)の具体化は今後の重要な課題である。これら各々のシステムの 機能要件を満たし、統合した全体システムとしての系統設備等の実装方法を具体化していく必要 がある。

また、燃料デブリ取り出し装置・関連機器や系統設備等を設置するエリアの構築については、

各システム設置に必要なスペースの算出が進められており、原子炉建屋内の高線量エリアの取扱 いや他作業との干渉も考慮し、既存建屋以外への設置も含めて検討が進められている。今後は、

燃料デブリ取り出し作業実施に向けて、各システムを構成する設備の設置や運用のためのエリア のレイアウトの詳細検討や、取り出した機器の仮置き・処置のための場所、取り出した燃料デブ

13 IRID, 平成28年度補正予算「廃炉・汚染水対策事業費補助金」 燃料デブリ・炉内構造物の取り出し工法・シ

ステムの高度化 平成29年度成果報告書, 20184.

リを保管するための敷地内プロットプラン等の検討を進める。

3.1.3.5 燃料デブリの安定保管に係る技術課題