3. 福島第一原子力発電所の廃炉に向けた技術戦略 1 燃料デブリ取り出し
3.1.3 分野別戦略を展開する上での技術課題と今後の計画
3.1.3.2 内部調査の継続実施等による炉内状況の総合的な把握
燃料デブリは、RPV底部に一部の燃料デブリが残っている可能性はあるものの、2号機と比較 して多くの燃料デブリが PCV 底部に存在すると推定されている。ミュオン測定の結果でも RPV 中の元々の炉心領域には燃料デブリの大きな塊は存在しておらず、炉心エネルギーの評価からは いったん溶融した後に固化した大きな塊状の燃料が RPV底部に存在する可能性が示されている。
2017年7月のPCV内部調査において、溶融物が凝固したと思われるものをペデスタル内に確認 した。また、ペデスタル内底部には砂状・塊状の堆積物が確認され、炉内構造物と推定される構 造物も落下していたことから、その周辺の堆積物には燃料デブリが含まれる可能性があると推定 される。ペデスタル地下階の作業員アクセス開口部は視認できなかったが、近傍に堆積物が確認 されたことから、燃料デブリがペデスタル外に拡がった可能性は否定できない。一方で、事故当 時ドライウェル(以下「D/W」という。)内に冷却水を注入しており、燃料デブリの拡がりが抑制 された可能性もある。
アクセスルートについては、2017年7月の水中ROVによるPCV 内部調査により、ペデスタ ル開口部を経てペデスタル内側底部へアクセスすることが可能であることを確認した。
周囲の構造物の状況については、2017年7月のPCV内部調査により、ペデスタル内において 複数の構造物の損傷や落下物、CRD ハウジングサポートの一部脱落、変形が確認された。また、
調査した範囲において、グレーチングはプラットフォーム上には確認されず、ペデスタル内下部 に落下しているものが確認された。ペデスタル内壁面には大きな損傷は確認できなかった。
これらの情報をまとめると、図7のとおりである。
(IRID, エネルギー総合工学研究所,「廃炉・汚染水対策事業費補助金(総合的な炉内状況把握の高度化)」平成29年度成果報告, 2018年6月.に基づき作成)
図7 1~3号機の燃料デブリ分布の推定、アクセスルート及び周囲の構造物の状況
また、3.1.2.5項でも述べたように、今後の内部調査においては、ステップ・バイ・ステップの アプローチで段階的に進行していく燃料デブリ取り出しに向けた作業の中で、全体プロジェクト を組み立てるためのパーツとしてどのような情報が必要であるかを十分に検討し、「この情報を取 りに行く」という各段階における達成目標を立てた上で実施するべきである。特に、燃料デブリ 取り出しのシナリオ作成に活用していくためには、今後、各号機における次の調査・検討5を着実 に実施していく必要がある(図8)。
【1号機】
ペデスタル外部の構造物や堆積物の分布等の把握(サンプリング含む)〔2019年度上期予定〕
【2号機】
機械的な力を加えることによるペデスタル底部の堆積物の可動性等の把握〔2018年度下期予 定〕
ペデスタル内の構造物や堆積物の分布等の把握(サンプリング含む)〔2019年度下期予定〕
より取得量を増やしたサンプリング〔2020年度予定〕の検討
【3号機】
PCV水位低下の検討と並行して、廃炉・汚染水対策事業によって開発され、実証された内部 調査技術の適用の検討
特に、前回調査で使用した水中ROVを活用した更なる調査の必要性の検討
なお今後は、更に詳細な内部調査の実施に当たって、より大型の機器を使用することに伴い、
これまでの調査でも利用してきたPCV内部への既設の貫通孔を最大限活用することも踏まえ、被 ばく対策やダスト管理、閉じ込め機能の維持はもとより、さらに、万一の異常時における速やか な閉じ込め機能の復旧対策など、引き続き安全確保への十分な配慮が求められる。
5 東京電力, 原子炉格納容器内部調査,サンプリング及び分析の検討状況について, 廃炉・汚染水対策チーム会 合/事務局会議(第56回)資料3-3, 2018年7月26日.
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/committee/osensuitaisakuteam/2018/08/3-3-2.pdf
(3つの吹き出し中の図はIRID・東京電力資料5より引用)
図8 今後の内部調査スケジュールと調査装置のイメージ