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3. 福島第一原子力発電所の廃炉に向けた技術戦略 1 燃料デブリ取り出し

3.5 その他の具体的な対策

3.5.4 安全確保に向けた具体的な取組 .1 作業安全のための取組

2017年度の作業員数は、一日平均約5千~6千人程度とほぼ横ばいで推移しているが、災害発 生状況(災害人数)は、発電所ルールの徹底(安全統一ルール22か条、TBM-KY教育、5Sの徹 底)、災害事例の水平展開、安全管理の仕組み・体制の強化等の効果によって、2016年度の20人 から2017年度は11人と減少傾向である。しかし、災害人数は減少しているものの、「人・設備・

管理」について原因分析すると同種要因(転倒・つまづき)での災害が多く発生しているため、

更なる削減に向け「意識・スキルアップ・管理」の観点から安全方針を策定し、作業環境改善を 継続して進めている38

特に、燃料デブリ取り出し作業のように、高線量環境下において完全な遠隔装置による作業が 困難で、作業者が介在せざるを得ない作業計画に対しては、個人の線量を制限するとともに「正

36 東京電力, 地震・津波対策の進捗状況, 特定原子力施設監視・評価検討会(第63回)資料3, 2018914 日. http://www.nsr.go.jp/data/000245445.pdf

37 なお、20174月に「原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規 制に関する法律等の一部を改正する法律」が成立・公布され、発電用原子炉設置者は発電用原子炉の廃止に伴う 措置(廃止措置実施方針)を作成し、公表しなければならないこととされたところである(201810月施行予 定)。これについては、福島第一原子力発電所に設置される原子炉施設は既に特定原子力施設として指定されて おり、「特定原子力施設に関する保安又は特定核燃料物質の防護のための措置を実施するための計画」(実施計 画)が策定されて廃止措置への円滑な移行が図られていることから、1~4号機については政令でその適用を除外 されており、東京電力は5, 6号機の廃止措置実施方針について検討を進めているところである。

38 東京電力, 福島第一原子力発電所における2017年度災害発生状況、2018年度安全活動計画, 廃炉・汚染水対 策チーム会合/事務局会議(第53回)資料3-7, 2018426.

当化、最適化」の観点から投入資源に応じた評価を行い、多角的なアプローチを検討し、可能な 限り作業環境の安全を目指すことが重要である。特に3H作業(初めて、変更、久しぶり)に対し ては、モックアップによる作業訓練を十分に実施し、効果的な作業手順及び試験方法を立案・実 施・検証することが不可欠であり、バーチャルリアリティ(以下「VR」という。)システムを活用 して手順等の検証を行いつつ事前訓練を積み重ね、ホールドポイントを明確にした安全で確実な 作業計画を立案することが労働災害の未然防止に重要と考えられる。そのため、適時、最新工法 情報や現場状況を反映する等、VRシステムの充実を図ることも有効である。

また、燃料デブリの取り出しに係る準備作業を含めた現地作業としては、原子炉建屋内除染、

PCV漏えい箇所調査、PCV下部・上部補修、系統システム設備の構築、燃料デブリ取り出し機器・

装置の設置等の事前の準備作業・建設工事、燃料デブリ取り出し作業、燃料デブリの収納・移送・

保管作業が想定される。そのため、作業段階ごとに綿密な作業計画を立案するとともに発生の可 能性がある事故・トラブルについて、事前の適切なリスク評価と対策を以って未然防止策を講じ ることが必要である。また、万一事故・トラブルが発生した場合でも迅速に対応できるように、

メンテナンス作業エリアを確保すること等、不測の事態への対処方法も検討しておくことが必要 である。今後は、これまでに実施してきた原子炉建屋内線量低減作業、PCV内部調査作業をレビ ューし、他作業に対する準備、計画、訓練等の事前対策に活かすことが必要である。

中長期ロードマップにおいては、労働災害防止対策(東京電力及び元請事業者が一体となった 労働安全衛生管理体制の運用、東京電力等によるリスクアセスメント、作業間の連絡調整の徹底、

体験型の教育訓練施設を活用した新規入所者等の危険予知能力の向上等)の確実な実施と、その 不断の見直しを行うとともに、労働災害が発生した際の医療体制の運用や、作業による被ばくを 可能な限り低減するための対策を実施することとしており、引き続きこうした取組を通じて、万 全な作業安全の体制を整えることが重要である。

3.5.4.2 設備安全のための取組

多種多様な作業用・安全確保用設備等が導入されている福島第一原子力発電所においては、設 備安全に対する格段の配慮も必要である。そのため、東京電力は設備のデータベースと個々の設 備の保全計画の策定、図面類の整備等を進めてきた39。今後は、設備ごとの保全計画に基づき、定 期的な点検や適切なタイミングでの設備の更新・恒久化を着実に行うなど、長期間の使用に耐え 得るよう信頼性を維持・向上する対策を実施していく。

また特に、燃料デブリを冷却する循環系、窒素ガス分離装置、PCVガス管理システム等の重要 な安全確保設備については、東京電力は保全計画等に基づく点検・保守、遠隔監視やパトロール 等を実施しているところであるが、引き続き、その機能が停止することのないよう、設備整備面 のみならず管理・運用面における防止対策も含めて徹底することが重要である。

さらに、新たな機器・設備の設置に際しては、現場における不具合をできるだけ防止すること が重要であり、設計レビューや試験検査等を通じて、品質保証の確実な実施に取り組んでいくべ きである。

39 東京電力, 設備等のデータベースと保全計画の策定について, 廃炉・汚染水対策現地調整会議(第23回)資 1-6, 2015727.

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/genchicyousei/2015/pdf/0727_01k.pdf

3.5.4.3 セキュリティ強化

一般に、廃止措置が行われる原子力発電所では、燃料が適切に取り出され、核物質防護上の大 きな懸念が解除された状態で、解体等の廃止措置が実施される。一方、福島第一原子力発電所で は、大量の核燃料物質が保管されていることから、通常の原子力発電所と同様に、セキュリティ 対策に格段の留意が必要であり、個人の信頼性確認、核セキュリティ教育の充実、敷地内への無 断侵入等に対する防護措置を実施している。

引き続き、これらの取組を継続するとともに、この際、7.2節で述べるとおり、地域住民をはじ めとする皆様に福島第一原子力発電所の現場において、ありのままの廃炉作業の進捗状況を見て いただくことは、廃炉に向けた共通理解を形成していく上できわめて有効であることから、視察 者の受け入れにも対応できるよう、運用上の適切な措置を実施する必要がある。