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4. プロジェクトの円滑な推進に関わる重要事項への対応 1 労働環境、労働条件の改善に向けた取組

4.4 人材の育成・確保

4.4.1 作業員・技術者等の育成・確保

福島第一原子力発電所の廃炉においては、これまで東京電力が有していた原子力発電所の建設・

運転に関する技術とは全く異なるスキルも必要となり、さらに、豊富な地下水等の存在、サイト 内部の不確かさ、α核種や FP 等による線量の高さに起因する技術課題は、通常炉の廃炉とも大 きく異なるものである。

このため廃炉研究開発連携会議では、福島第一原子力発電所の廃炉のために必要なコア技術の 全体像、必要とされる廃炉人材の像を把握するため、技術マップ試案を作成したところである(添

付資料 10)。これにより、例えば目下必要性が明らかになっている分析技術者のように、既存の

原子力産業における技術・人材プールを活用し、トレーニング等により人材を調達することが可 能と考えられる分野や、既存の原子力産業に限らない幅広い層に技術人材を求め、あるいは計画 的に育成していく必要がある分野などが明らかになってきている。各機関はこの技術マップを、

①福島第一原子力発電所廃炉技術の全体像の明示的な把握、②自社人材の強みの明示的な把握、

③研修プログラムの整備、④既存の原子力産業にとどまらない幅広い層からの人材確保策の検討 など、今後の人材育成・確保のために活用していくことが期待される。

また、福島第一原子力発電所の廃炉のような多くの要素が関連する複合的な大規模プロジェク トに携わる上では、自らの担当分野において専門性を発揮することができるだけなく、廃炉工程 全体を俯瞰した上で、他のプロジェクトとの関係性を含む総合的な観点からプロジェクトを管理 する能力を有する専門技術者が求められている。科学技術・学術審議会技術士分科会「今後の技 術士制度のあり方について」(2016年12月22日)では、技術士(原子力・放射線分野)の第二 次試験においては、選択科目「原子炉システム・施設」の内容に「原子炉の廃止措置(過酷事故後 の措置を含む)」を、選択科目「核燃料サイクル及び放射性廃棄物の処理・処分」の内容に「廃止 措置並びに原子炉の過酷事故後の燃料・放射性廃棄物の処理及び処分」を加えることとされ、こ れを受けて、廃炉・汚染水対策事業では 2017年3 月に実施された公募から、主要な担当者につ いては技術士等の関連する資格の保有状況を応募時に記載させている。今後も、原子炉主任技術 者、核燃料取扱主任者、放射線取扱主任者など関連資格試験も含めその取得を奨励する等、企業 等は従業員の能力向上に努めることが期待される。

なお、中長期ロードマップでは今後3年間で必要と想定される作業員数の見通しが取組分野ご とに示されているが、今後は、燃料デブリ取り出しなどの新たな作業が発生することに伴い、必 要な作業員数に変動が生じることもあり得る。したがって、福島第一原子力発電所廃炉プロジェ クトの長期的な見通しを立てることにより、必要人材の規模感を分野別に時系列で把握し、これ に応じて十分なスキルを有する人材を安定的・計画的に育成・確保していくべきである。このよ うな長期的な見通しは、3.6節で述べた廃炉全体計画を通じて検討されることとなる。

4.4.2 将来の福島第一原子力発電所廃炉を担う次世代の育成

研究開発活動を長期間、持続的に実施するためには、将来の研究者・技術者などの育成・確保 等の人材に関する取組を原子力に関わる産学官全体として着実に進めることが重要である。

具体的には、学生に対して、原子力産業に関する理解活動や魅力を伝える活動を産業界と教育 機関が連携して継続的に実施していくということに加えて、福島第一原子力発電所の廃炉が世界 にも例のない極めて高度な技術的挑戦であるという魅力を発信すること、研究者・技術者が活躍 するための多様なキャリアパスを構築し具体的に示すことなど、福島第一原子力発電所の廃炉に おける活躍の道筋を示していくべきである。

このため、文部科学省の英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下「英知事業」

という。)の廃止措置研究・人材育成等強化プログラムでは、大学等の高等教育機関を中心に研究 活動を通じた積極的な人材育成の取組が行われている。同プログラムでは、卒業単位に計上され る廃止措置に関わる授業科目が開講されるだけでなく、卒業研究等を通じて廃止措置に関わる研 究が実施されるとともに、学生が将来のキャリアパスを見通すことのできる活躍の場が用意され ており、学生を対象としたカンファレンスである「次世代イニシアティブ廃炉技術カンファレン ス(NDEC)」や高専生を対象とした廃炉創造ロボコンでは、学生による研究成果が発表され、福 島第一原子力発電所の廃炉に携わる研究者・技術者等との意見交換や、優秀者の表彰が行われて いる。また、原子力業界全体の人材維持・拡大のためには、国内16大学が連携協力して国内外の 原子力教育を実施する「原子力道場」、大学・高専生等を対象とした「未来を担う原子力施設見学 会」等の各種取組も実施されている。

また、福島第一原子力発電所の廃炉は、これまでに経験のない困難な作業であり、様々な分野 の知見が必要となるため、原子力分野のみならず、機械、化学、土木、材料など幅広い領域を含 む研究開発を通じた人材育成を行うことが重要である。さらに、福島第一原子力発電所の廃炉の ような長期かつ大規模のプロジェクトでは、学術的見地から理工学的検討を行うことのできる分 野別の研究開発のコア人材や、俯瞰的な視野を備え、個々の技術シーズを統合して実用的な機能 を有するシステムとして完成させることのできる人材(システムインテグレータ人材)の育成が 重要であり、5 章に後述する重要研究開発課題の実施を通してその取組を進めているところであ る。

こうした次世代の廃止措置人材の育成は、単なる研究者・技術者人材の供給という側面のみで 見るのではなく、大きな人材循環が回るよう、長期的な視点から、より広い層へのアプローチも 考慮すべきである。前述の廃止措置研究・人材育成等強化プログラムでは、廃止措置に従事し得 る原子力産業への学生の就職という成果も着実に得られている一方で、進学する学生、規制機関 や地元自治体などへの就職する学生も多い。学生時代の廃止措置の経験と、社会人として幅広い 経験を積んだ彼らが、やがてまた社会の各層において福島第一原子力発電所廃炉プロジェクトに 新たな視点をもたらすことで、プロジェクトがより一層前進する原動力となることを期待したい。