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3. 福島第一原子力発電所の廃炉に向けた技術戦略 1 燃料デブリ取り出し

3.3 汚染水対策

3.3.3 分野別戦略を展開する上での技術課題と今後の計画 .1 中長期ロードマップに示された汚染水対策の着実な遂行

各号機の各建屋の間には連通部が存在するため、建屋内滞留水の水位はいずれの建屋でもほぼ 一定となっているが、建屋内滞留水を外部に漏えいさせないためには、その水位を地下水水位よ

り低くする(水位差を維持する)必要がある。サブドレン機能の強化や陸側遮水壁の造成等によ り、建屋周辺の地下水の安定的な管理がなされるようになっている。

これらの予防的・重層的な対策を進めたことにより、汚染水の発生量は2016年度実績で約400

m3/日であったのに対して2017年度実績で約220 m3/日まで低減されている(図17)。また、サブ

ドレン汲み上げ量、護岸エリアの地下水汲み上げ量自体も低減されている20

(東京電力提供21

図17 汚染水発生量と建屋への地下水・雨水等の流入量の推移

このように、汚染水の大宗がコントロールされる状況になってきたことから、今後は、政府の 汚染水処理対策委員会で示された汚染水対策22に取り組みながら、これまで明確となっていなか った問題にも焦点を当てつつ、建屋内滞留水の処理完了に向けて一層の対策を進める必要がある。

(1) 雨水流入対策をはじめとする建屋内滞留水の発生低減

中長期ロードマップにおいてマイルストーンとして示されている 2020 年内の汚染水発生量

150 m3/日程度への抑制のためには、2017年度実績で約220 m3/日程度発生している汚染水のうち

70 m3/日程度を低減させることとなる。今後も、建屋内滞留水処理、サブドレン水位の低下に取

り組むとともに、大雨時の雨水の建屋流入対策を進める等、重層的な対策に継続して取り組み、

一層の汚染水発生量の低減を図るべきである。

20 汚染水処理対策委員会, 凍土壁の評価と今後の汚染水対策について, 201837.

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/osensuisyori/2018/pdf/020_s04_00.pdf

21 廃炉・汚染水対策の概要, 廃炉・汚染水対策チーム会合/事務局会議(第57回)資料2, 201897. http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/committee/osensuitaisakuteam/2018/09/2-1.pdf

22 汚染水処理対策委員会, 凍土壁の評価と今後の汚染水対策について, 201837. 9ページ目より引用す ると、次のとおり。

4.今後の汚染水対策について

(1)今後も建屋内滞留水処理、サブドレン水位の低下、雨水対策等、重層的な対策に継続して取り組み、一層 の汚染水発生量の低減を図るべきである。

(2)台風等の大雨時には、建屋屋根の破損部や建屋周辺の未舗装部からの雨水の流入等により汚染水発生量が 一時的に増加するなどの事態が発生していることから、今後これらの対策についても計画的に実施すべきで ある。

(3)さらに、K排水路など凍土壁外側からの水が流入する構造物については、凍土壁内への水の供給経路とな っている可能性が高いことから、引き続き調査を行い、必要な対策を講じるべきである。

0 10 20 30 40 50

0 200 400 600 800 1000

5月 7月 9月 11 1月 3月 5月 7月 9月 11 1月 3月 5月 7月 9月 11 1月 3月 5月 7月 9月 11 1月 3月 5月 7月

福島第一降雨量 汚染水発生量

建屋への地下水・雨水等流入量

日平 日平均降雨量(福島第

m3/日 mm/日

2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度

地下水バイパス稼働開始 サブドレン稼働開始

海側遮水壁閉合完了

陸側遮水壁閉合開始 陸側遮水壁(海側)凍結完了

約470

約350

約490

約270

約400

約200

約220

約140

今後の更なる対策としては、T.P. 2.5 m盤、T.P. 6 m盤、T.P. 8.5 m盤におけるフェーシングな いしカバー掛けや目地止水・クラック補修、サブドレン水位の引き下げが計画されている。また、

遠隔装置による建屋屋根の損傷対策をはじめとする雨水流入対策を進めるなど、地下水以外の経 路への対策が必要である。

(2) 建屋内水位低下に伴う作業

滞留水表面上に油分の存在が確認されているエリアについては、汚染水処理設備の性能低下を 防止するため床面露出前に油分を回収しておく必要があり、適切に実施する。また、床面露出の 後には床面スラッジ等が乾燥することによりダストの発生が懸念されることから、ダスト対策を 実施する。

さらに、最下階床面を露出させるための床ドレンサンプへのポンプ設置作業や、孤立エリアの 残水等の移送処理などが発生することから、最下階中間部床面露出後には、作業員の被ばく線量 を抑制するための線量低減を実施する必要がある。

(3) 汚染水対策設備の維持・強化

サブドレンの信頼性向上など、構築された水位管理システムや浄化設備を適切に維持・強化し ていくことが重要である。

3.3.3.2 燃料デブリ取り出し等との関係を踏まえた汚染水対策

3.3.2.3 項に述べたとおり、燃料デブリ取り出しのためのシステムとしてPCV 循環冷却系の構

築が検討されているが、ここにはα粒子を含む燃料デブリ由来物質が混入することとなる。その ため、PCV循環冷却系において、α粒子を適切に除去することが必要である。また、循環水量の バランスを保つためには、継続して発生する建屋流入水の払い出し先として、浄化処理後の水の 一部を、既設の循環水冷却・浄化システムに送り、多核種除去設備等で浄化処理を行うことが想 定される。したがって、原子炉建屋滞留水中のα核種濃度のモニタリングや、これを既設の循環 水冷却・浄化システムで受け入れるための条件をPCV循環冷却系と並行して検討しておく必要が ある。

3.3.3.3 主な技術課題のまとめ

本節に述べた主な技術課題と今後の計画を整理すると、図18のとおりである。

図18 汚染水対策に係る主な技術課題と今後の計画(工程表)

年度 2018 2019 2020 2021 2022

汚染源を「取り除く」

汚染源に⽔を「近づけない」

汚染源を「漏らさない」

建屋内滞留⽔処理

燃料デブリ取り出し等との関係を

踏まえた汚染⽔対策 既存の滞留⽔循環系と検討中のPCV循環冷却系との

整合性やモニタリング⽅法の検討 1・2号,3・4号機間連通部の切り離し

浄化設備による処理

敷地舗装、屋根のガレキ撤去、防⽔

地下⽔バイパス、サブドレン、陸側遮⽔壁の運⽤

建屋内滞留⽔処理完了 敷地境界線量での追加的な実効線量

を1mSv/年未満維持

平均的降⾬に対して汚染⽔発⽣量を 150m3/⽇程度に抑制

溶接型タンクへの切替 タンク容量確保

地盤改良や海側遮⽔壁の保守、地下⽔・港湾のモニタリング

地下⽔・建屋内⽔位の引き下げ

汚染⽔発⽣量を150m3/⽇程度に抑制

滞留⽔中の放射性物質量1/10 浄化処理⽔の全量の溶接型タンク貯⽔

初号機の燃料デブリ取り出し開始 タービン建屋等の床⾯露出状態の維持

燃料デブリ取り出しの段階に 合わせて必要な対策を実施 初号機の燃料デブリ取り出し⽅法の確定

汚染⽔の発⽣状況等を踏まえ適切に対応 現場作業

各項目の現場工事等に関わる技術的検討等