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3. 福島第一原子力発電所の廃炉に向けた技術戦略 1 燃料デブリ取り出し

3.4 使用済燃料プールからの燃料取り出し

3.4.3 分野別戦略を展開する上での技術課題と今後の計画 .1 プール内燃料の取り出し

(1) 各号機に共通の事項

燃料取り出し設備(燃料取り出し用カバーや燃料取扱設備等)の設置工事時や、取り出し作業 時の有人作業、設備の保守点検等における作業被ばくを抑えるため、オペフロの線量低減措置が 必要である。一方、線量低減の状況に応じて、取り出しに係る機器設計への遮へいや遠隔装置の 導入等の反映が必要となることから、他号機における除染等の経験も踏まえ、適切な時期で最終 的なオペフロ線量の見極めを実施する必要がある。

また、3.4.2.2項で述べたとおり、1, 2号機はともに2023年度を目処にプール内燃料取り出し を開始すること、3 号機のプール内燃料取り出し時期に燃料デブリ取り出しに関する準備工事が あることなど、複数の作業が並行して実施されることとなることから、干渉する工事とのヤード 調整(動線確保)やリソース管理等が必要であり、詳細な工事計画を準備する必要がある。なお 前述のとおり、5, 6 号機のプール内燃料も適切な時期に取り出しを行うべきであるが、特に共用 プールを使用する場合には、1~3号機の作業に影響を与えないよう調整が必要である。

(2) 1号機のプール内燃料取り出し

1 号機は、事故発生時に建屋上部で水素爆発が発生したことから、上部建屋が崩壊して屋根ス ラブ等のガレキがオペフロ上に散乱している。また、既設の燃料取扱装置や天井クレーンも破損 して使用済燃料プール上に覆いかぶさる形で存在しているため、落下防止等の対策として十分な 構造強度をもつ支保等を慎重に検討し、使用済燃料プールの養生を行った上で早期に撤去する必 要がある。

また、周辺環境への影響の観点では、ガレキ撤去時のダスト飛散への対策が必要であるほか、

ウェルプラグが所定の位置からずれていることが確認されており、線量もプラグ上で200 mSv/h 程度の線量が確認されており容易に近づくことができない状態にあること、スカイシャイン(放 射線源から上方への放射線が大気中の拡散により地表面に降り注ぎ、地表近くでの線量が上昇す る効果)の懸念がある。このため、ダスト飛散防止対策や線量モニタリング等の安全対策を講じ た上で、これに対する処置を進める必要がある。

また、震災前より保管されている被覆管の破損した燃料67体については、震災前におけるプー ル水中の放射性物質濃度も十分に低かったためその影響は小さいと考えられるが、取り出し時の 扱いについては適切な対応が必要である。

(3) 2号機のプール内燃料取り出し

中長期ロードマップでは、プール内燃料取り出し用のコンテナを燃料デブリ取り出し用のコン テナと共用するプラン(プラン①)と、プール内燃料取り出し用カバーを個別に設置するプラン

(プラン②)とを適切な時期に選択するため検討を行うこととしている。これまでNDFでは、燃 料デブリ取り出し時期、作業員の被ばく線量、放射性物質飛散量、廃棄物発生量等が低いという 面で優れているプラン①の採用に向け取り組む必要性を示しており25 , 26、東京電力において検討 が進められているところである。プラン①の検討に当たっては、上アクセスにおける燃料デブリ 取り出し計画への前提条件(作業時の遮へい、楊重設備、設備重量(構造健全性等)など)を十分 に考慮するとともに、燃料デブリ取り出し期間中にわたる使用に適した設計とする必要がある等 の課題がある。いずれの場合も燃料デブリ取り出し作業との関係やプール内燃料の取り出し時期 を踏まえ、適切な時期までにプラン選択を判断していく必要がある。

また、コンテナ又はカバー設置の前段で実施する原子炉建屋上部解体に当たっては、オペフロ 上では過去の調査において最大880 mSv/hの高線量が確認されており、α核種による汚染も確認 されていることから、ダストの飛散防止等の措置を講じた上で、遠隔作業による安全な解体方法 を選択する必要がある。

なお、2.3.3.3項でも述べたとおり、2号機周辺には1/2号機排気筒があり、事故によって放出 されたセシウムを中心とする放射性物質が内面に付着している可能性があること、排気筒を支え る鉄塔の斜材接合部の破断・変形が確認されていることなどから、拡散抑制機能が低く管理重要 度は低く評価される。仮にこれが崩壊すればプール内燃料取り出し工程に影響を与えるおそれも あるため、プール内燃料取り出しに先立ってこの排気筒の上部を遠隔装置により解体することが 計画されている。

(4) 3号機のプール内燃料取り出し

使用済燃料プールへのガレキの落下が確認されており、上部ハンドルが変形した燃料が存在す ることが明らかとなっている。プール内燃料を取り出す際には、プール内燃料上部のガレキを撤 去しながらの作業となることから、ガレキの撤去を踏まえた燃料集合体の取り出し順序や、ガレ キの影響により燃料集合体が吊り上げできない場合への対応方法等を検討する必要がある。

3.4.3.2 取り出した燃料の適切な保管

敷地全体で保有する使用済燃料・新燃料を計画的に移送・保管するために、5, 6 号機も含めた 燃料移送計画を策定するとともに、それに合わせた設備面の容量確保を進める必要がある。

特に、先行的に5, 6号機のプール内燃料の取り出しを行う場合は、1,2号機のプール内燃料の 共用プールへの移送のための容量を圧迫することがないよう、適切な時期までに乾式キャスク仮 保管設備の増設を行う等の対策が必要となる。また前述のとおり、新燃料の一部については、燃

25 NDF, 福島第一原子力発電所1, 2号機燃料取り出し計画プラン選択の評価と提言, 廃炉・汚染水対策チーム会

合/事務局会議(第11回)資料3-5, 20141030.

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/141030/141030_01_044.pdf

26 NDF, 福島第一原子力発電所第2号機原子炉建屋オペレーティングフロア上部解体・改造範囲に関する評価と

提言, 廃炉・汚染水対策チーム会合/事務局会議(第24回)資料3-2, 20151126日.

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/committee/osensuitaisakuteam/2015/pdf/1126_3_2e.p

料加工会社への搬出が計画されており、これらの取組により共用プールの容量を確保することが 重要である。

3.4.3.3 将来の処理・保管方法の決定

3.4.2.4項に述べたとおり、取り出した燃料の長期的な健全性評価及び処理に向け、取り出した

燃料について通常の使用済燃料と同等の扱いをするために必要な技術的事項があれば、整理・確 認をする必要がある。

これまでに、廃炉・汚染水対策事業において、海水注入やガレキ混入の特異性によるプール内 燃料の長期健全性への影響評価が行われており、共用プールの環境条件において長期間の保管が 可能であることや、乾式キャスク貯蔵を行う際にもガレキによる傷や海水の付着による影響は小 さく長期間の保管への影響は小さいことが確認されている。また、乾式保管を行う際の燃料の検 査方法に関する提案もなされている。

加えて、取り出したプール内燃料の処理の技術的な可能性に関する研究開発も実施されており、

塩化物イオンやコンクリートの混入といった燃料の震災履歴による影響は少ないとの見通しが示 されている。

今後、事故による爆発の影響が大きくガレキによる燃料の損傷可能性もある3号機から取り出 した燃料を確認し、長期的な保管や処理における検討の要否を判断していく必要がある。

3.4.3.4 主な技術課題のまとめ

本節に述べた主な技術課題と今後の計画を整理すると、図20のとおりである。

図20 使用済燃料プールからの燃料取り出しに係る主な技術課題と今後の計画(工程表)

年度 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025

1号機

2号機

周辺環境

3号機

2号機プラン選定

取り出した燃料の 適切な保管

将来の処理・

保管方法の検討

燃料取り出し カバー設置等

ガレキ撤去等

カバー/コンテナ設置工事へ 建屋上部解体等

コンテナ設置等 カバー設置等

燃料取り出し

準備工事

1・2号排気筒上部解体 海洋汚染防止対策等

燃料取り出し

プラン① プラン②

乾式キャスク調達

共用プールから乾式キャスク仮保管設備へ移送

取り出した使用済燃料の

将来の処理・保管方法の決定(2020年度頃

カバー設置等 オペレーティングフロア内 調査等

3号機燃料を踏まえた 長期健全性等に関する検討

処理・保管方法の検討

設計/実施計画認可申請/工事準備 プラン選定検討

現場作業

各項目の現場工事等に関わる技術的検討等

1~3号機の作業に影響を与えない範囲で実施 5/6号機燃料取り出し

乾式キャスク仮保管設備増設