• 検索結果がありません。

7. 地域との共生及びコミュニケーションの一層の強化

7.3 更なるコミュニケーションの広がりと風評被害への対応

風評被害は、リスクが顕在化しなくとも、不安があるというだけで被害がもたらされる場合も あり得る。また、事故後 7年を経過してもなお、事故直後のイメージが払拭されずに定着してい ることによる影響も指摘されている。風評被害への対応の遅れや、廃炉作業におけるトラブルの 発生、作業員の被ばく量やコストの増加等の発生は、廃炉の取組に対する社会の評価を低下させ、

これらが更に放射性物質に起因するリスクの低減活動の実施を遅らせるという悪循環にもつなが りかねない。このような悪循環を防止するためには、放射性物質の漏えい等を発生させないよう 適切な安全管理に努めながら、現存するリスクを速やかに低減していくことが何よりも重要であ る。

また、風評被害防止のためには、上記のような地域住民の皆様等とのコミュニケーションに加 え、より広い層に対するアプローチも必要となる。地域住民の皆様、報道関係者、市場関係者及 び流通業者はもちろん、海外を含む消費者に対して、コミュニケーションを広げていく努力が必 要となる。万一トラブルが発生した場合には、正確性と透明性を大前提として、誠実かつ丁寧な 説明を尽くすとともに、トラブルの後においても、その後の安全対策の実施状況及び現場におけ る安全管理の改善状況について積極的に発信すべきである。また、2017年1月から2月にかけて 実施された2号機内部調査において、高い線量測定値が観測された際に国内外で過剰な反応を招 いた事例を踏まえつつ、平時においても丁寧な情報発信に努めていくことが重要である。

2017年12月には政府において「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」が取りまと められたところであり、関係府省が一体となった取組が進められているところである56。また、東 京電力においては、2018年1月に「風評被害に対する行動計画」が策定・公表されている57。こ れらを踏まえつつ、関係機関において精力的な取組を継続していくことが重要である。

54 東京電力, 福島第一原子力発電所廃炉・汚染水対策に関する取り組みについて~情報発信・コミュニケーショ ン~, 廃炉・汚染水対策福島評議会(第16回)資料3-5, 2018427.

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/committee/fukushimahyougikai/2018/pdf/0427_01f.pdf

55 INSIDE FUKUSHIMA DAIICHI~廃炉の現場をめぐるバーチャルツアー~」

http://www.tepco.co.jp/insidefukushimadaiichi/index-j.html

56 復興庁 風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略 ポータルサイト (http://www.fukko-pr.reconstruction.go.jp/2017/senryaku/ )参照。

57 東京電力, 風評被害に対する行動計画の策定について, 2018131. http://www.tepco.co.jp/press/release/2018/1475368_8707.html

略語・用語集

略 語 正 式 名 称

CEA Commissariat à l'énergie atomique et aux énergies alternatives:フラ

ンス原子力・代替エネルギー庁

D/W Dry Well:ドライウェル

DOE United States Department of Energy:米国エネルギー省

FP Fission Products:核分裂生成物

IAEA International Atomic Energy Agency:国際原子力機関

ICRP International Commission on Radiological Protection:国際放射線防護

委員会

IRID International Research Institute for Nuclear Decommissioning:

国際廃炉研究開発機構

JAEA Japan Atomic Energy Agency:日本原子力研究開発機構

JAEA/CLADS JAEA Collaborative Laboratories for Advanced Decommissioning

Science:日本原子力研究開発機構 廃炉国際共同研究センター

MCCI Molten Core Concrete Interaction:溶融炉心-コンクリート反応

NDA Nuclear Decommissioning Authority:英国原子力廃止措置機関

NDF Nuclear Damage Compensation and Decommissioning Facilitation

Corporation:原子力損害賠償・廃炉等支援機構

NRC Nuclear Regulatory Commission:米国原子力規制委員会

OECD/NEA OECD Nuclear Energy Agency:経済協力開発機構/原子力機関

PCV Primary Containment Vessel:原子炉格納容器

RPV Reactor Pressure Vessel:原子炉圧力容器

S/C Suppression Chamber:サプレッションチェンバ

SED Safety and Environmental Detriment:英国原子力廃止措置機関が開発

したリスクレベルを表現する手法

TMI-2 Three Mile Island Nuclear Power Plant Unit 2:米国スリーマイルアイ

ランド原子力発電所2号機

VR Virtual Reality:バーチャルリアリティ

X-6ペネ PCV貫通部X-6ペネトレーション

英知事業 英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業 オペフロ オペレーティングフロア

水中ROV 水中遊泳式遠隔調査装置(Remotely Operated Vehicle)

戦略プラン 東京電力ホールディングス㈱福島第一原子力発電所の廃炉のための 技術戦略プラン

措置を講ずべき事項 特定原子力施設への指定に際し東京電力株式会社福島第一原子力発 電所に対して求める措置を講ずべき事項

中長期ロードマップ 東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等 に向けた中長期ロードマップ

東京電力 東京電力ホールディングス㈱

取戻し計画 廃炉等積立金の取戻しに関する計画

取戻し計画作成方針 廃炉等積立金の取戻しに関する計画の作成方針 福島第一原子力発電所 東京電力ホールディングス㈱福島第一原子力発電所

用 語 説 明

CRDハウジング 制御棒の駆動装置である制御棒駆動機構を収納するための管

MCCI生成物 高温の炉心溶融物とコンクリートとの反応(MCCI)により生じる生成物

T.P. 標高の基準となる東京湾平均海面からの高さ。なお、O.P.は同様に小名浜

港工事基準面(小名浜港における最低水面)からの高さ

ウェルプラグ 原子炉格納容器の上部にある遮へい用のコンクリート製上蓋(運転中は 原子炉建屋最上階の床面となっている。)

基準地震動

原子力施設に大きな影響を及ぼすおそれがある地震に伴って生じる揺れ の大きさのこと。最新の科学的・技術的知見を踏まえ、敷地周辺の地質構 造や地盤構造等に基づいて策定されるもの

冠水工法 原子炉格納容器の上部まで水を張って、全ての燃料デブリを水没させて、

燃料デブリを取り出す工法

気中工法 水を張らずに、一部の燃料デブリが気中に露出した状態で、燃料デブリ を取り出す工法

グレーチング 側溝の蓋や作業用足場に使用されている鉄製の格子状足場 スラッジ 泥状物質、汚泥

スラリー 液体中に鉱物や汚泥等が混ざった液状の懸濁物

燃料デブリ 原子炉冷却材の喪失等により核燃料が炉内構造物の一部と溶融した後に 再度固化した状態

プラットフォーム ペデスタル内側でRPVの下に設置された作業用の足場 ペデスタル 原子炉本体を支える基礎

ミュオン測定(ミュ オンによる燃料デブ リ検知技術)

宇宙や大気から降り注ぐミュー粒子(ミュオン)が物質を通り抜ける際 に、密度の違いにより粒子の数や軌跡が変化する特性を利用して燃料の 位置や形状を把握する技術

模擬デブリ 燃料デブリの化学組成や化学形態をスリーマイルアイランド原子力発電 所2号炉の事故事例などから推定し、人為的に作製したもの

モックアップ 実物とほぼ同様に似せて作られた模型 予備エンジニアリン

通常工事実施の最初に行われる基本設計に先立って予備的に工事実現性 の見極めをつけるためのエンジニアリング作業

(IRID提供)

図29 原子炉建屋内構造図

IRID提供)

図30 原子炉圧力容器(PCV)内構造図

添付資料一覧

添付資料1 中長期ロードマップの改訂とこれまで公表した戦略プランについて ... 107

添付資料2 これまでに実施した主なリスク低減対策と今後の計画 ... 108

添付資料3 SED指標の概要 ... 113

添付資料4 リスクの時間変化 ... 119

添付資料5 燃料デブリ取り出しの対象となる燃料デブリについて ... 120

添付資料6 液相部と汚染水低減について(原子炉建屋周りの水バランス) ... 122

添付資料7 燃料デブリ取り出し時のPCV底部の水位レベルの考察 ... 123

添付資料8 放射性廃棄物管理に関する用語 ... 126

添付資料9 福島第一原子力発電所の固体廃棄物の保管管理計画の全体イメージ ... 127

添付資料10 廃炉研究開発人材育成のための技術マップ試案 ... 129

添付資料11 廃炉・汚染水対策事業における研究開発のこれまでの取組 ... 130

添付資料12 6つの重要研究開発課題の今後の基本的方向性について ... 160

添付資料13 主な海外機関との連携活動の実績 ... 165

添付資料1 中長期ロードマップの改訂とこれまで公表した戦略プランについて

【中長期ロードマップ 初版(2011年1221日)】

 事故発生後に政府及び東京電力でとりまとめた「東京電力福島第一原子力発電所・事故の収束 に向けた道筋 当面のロードマップ」におけるステップ2が完了したことに伴い、確実に安定 状態を維持するための取組、使用済燃料プールからの燃料取り出しや燃料デブリの取り出し等 の中長期に亘って進めるべき必要な措置を、東京電力、資源エネルギー庁、原子力安全・保安 院の3者にてとりまとめ、政府・東京電力中長期対策会議で決定

 中長期の取組の実施に向けた基本原則の提示や、廃止措置終了までの期間を使用済燃料取り出 し開始までの期間(第1期)、第1期終了後から燃料デブリ取り出し開始までの期間(第2 期)、第2期終了後から廃止措置終了までの期間(第3期)に区分した上で時期的目標を設定

【中長期ロードマップ 改訂第1版(2012年730日)】

 ステップ2以降に東京電力が策定した「中期的な信頼性向上のために優先的に取り組むべき事 項についての具体的な計画」の反映や、作業の進捗状況に応じた目標の明確化

【中長期ロードマップ 改訂第2版(2013627日)】

 使用済燃料プールからの燃料取り出し、燃料デブリ取り出しについて号機毎の状況を踏まえた スケジュールの検討(複数プランの提示)及びこれを踏まえた研究開発計画の見直し

【戦略プラン2015(2015430日)】

 福島第一原子力発電所の廃炉を適正かつ着実に実施する観点から、中長期ロードマップにしっ かりとした技術的根拠を与えるために初版となる戦略プランを公表

(NDFは2014年8月18日に既存の原子力損害賠償支援機構を改組する形で発足)

 福島第一原子力発電所の廃炉を「過酷事故により顕在化した放射性物質によるリスクから人と 環境を守るための継続的なリスク低減活動」と位置付け、リスク低減のための5つの基本的考 え方(安全、確実、合理的、迅速、現場指向)を提示

 燃料デブリ取り出し分野について、冠水-上アクセス工法・気中-上アクセス工法・気中-横 アクセス工法を重点的に検討する工法と位置付け、実現可能性のあるシナリオを検討

 廃棄物対策分野について、処分の安全確保や処理のあり方の基本的考え方を踏まえ、中長期的 観点から保管・管理等の方針を検討

【中長期ロードマップ 改訂第3版(2015年612日)】

 リスク低減を重視し、長期的にリスクが確実に下がるように取組の優先順位付けを実施

 燃料デブリ取り出し方針の決定(2年後を目処)、建屋内滞留水中の放射性物質の量を半減

(2018年度)など、数年間の目標の具体化

【戦略プラン20162016713日)】

 戦略プラン2015公表からの廃炉の進捗状況を踏まえつつ、中長期ロードマップで規定された 2017年夏頃の「号機ごとの燃料デブリ取り出し方針の決定」、2017年度の「放射性廃棄物の 処理・処分に関する基本的な考え方のとりまとめ」等の目標工程に向けて、戦略プラン2015 の考え方や取組の方向性に従って具体的な考え方や方法を展開

【戦略プラン2017(2017831日)】

 燃料デブリ取り出しの重点3工法について実現性評価等を行い、燃料デブリ取り出し方針の決 定に向けた提言と予備エンジニアリングなど方針決定以降の取組を戦略的提案として提言

 固体廃棄物の処理・処分に関する基本的考え方の取りまとめに向けた提言

【中長期ロードマップ 改訂第4版(2017年926日)】

 NDFの技術提言を踏まえ、燃料デブリ取り出し方針と当面の取り組みを決定

 固体廃棄物の処理・処分に関する基本的考え方の取りまとめ

 個別作業を具体化するにあたり、「廃炉作業全体の最適化」の視点