2 熱の損失の防止に資する断熱材、窓製品等の実態調査
2.4. 高断熱断熱材、窓製品の普及方策に関する調査・検討
2.4.2. 海外における規制動向
こ こ で は 、 欧 州 に お い て 建 材 を 対 象 に 導 入 が 検 討 さ れ て い る ErP(Energy Related
Product)指令と、米国、カナダ、英国、スウェーデン、豪州における窓の性能表示ラベリ
ング制度を対象に、これらの動向を整理する。
1)ErP指令(エコデザイン指令)
EUにおいては、建材等の製品のエネルギー性能に関する欧州指令として、主にエネルギ ー関連製品のエコデザインに関する指令(Energy Related Products (ErP) 指令、以下エコ デザイン指令)とエネルギーラベリング指令(Energy Labeling Directive、以下エネルギ ーラベリング指令)の2つが存在している。
以下、Erp指令のH24年度からH25年度にかけての動向について記載する。
①エコデザイン指令
エコデザイン指令については、EUでかつて策定されていた「エネルギー使用製品のエコ デザインに関する指令(EuP(Energy using Products)指令)」に代わり、対象製品を従 来の「エネルギー使用製品」から、「エネルギー消費に影響を及ぼす製品」にまで拡大する 形で2009年10月31日に告示され、同年の11月20日に発効された。
この規制の特徴は、製品の原料採取から廃棄に至るまでのライフサイクル全般について の環境配慮設計を義務付けた世界初の規制であることで、直接エネルギーを使用しない製 品の具体的な対象として、窓、断熱材、シャワーヘッド・節水弁等の水廻り設備が候補に 挙げられている(具体的な対象製品は順次決定する予定)。
エコデザイン指令は、最低基準(Minimum Requirement)であり、EU統一的な基準が 適用される。最低基準を満たした製品には、“CE マーク”が与えられ、欧州統一市場に上 市することが可能になる。逆に、最低基準を満たしていないと、欧州統一市場において製 品を上市することができない。
エコデザイン指令は、あくまで枠組みのみを提示しており、各製品の具体的な規定につ いては、製品分野(ロット)別に予備調査を実施し、具体的な規定事項を決定していく。
図表 2.4.1 エコデザイン指令対象製品の候補(建材関連を一部抜粋)
②エコデザイン指令の対象製品の現状
平成25年度において、温水ヒーターおよび貯湯タンク、スペースヒーターおよび組み合 わせ加熱器が新たな対象製品として追加されている。
[温水ヒーターおよび貯湯タンク]
○概要
欧州議会・理事会指令に則り、2015年9月26日以降、温水ヒーターおよび貯湯タンク の製造事業者および供給業者は、当該製品種別に対するエコデザイン要件およびエネルギ ー表示要件を遵守しなくてはならない。規定される要件は、あくまでミニマムスタンダー ドであり、トップランナー値ではない。
○適用範囲
・エコデザイン要件
定格熱出力400kW以下の温水ヒーター
貯蔵容量2,000L以下の貯湯タンク
・エネルギー表示要件
定格熱出力70kW以下の温水ヒーター
定格熱出力70kW以下の温水ヒーターパッケージ 貯蔵容量500L以下の貯湯タンク
太陽装置(太陽熱収集器、太陽熱水貯蔵タンク、収集器ループ用ポンプ等)
○評価指標
・温水ヒーター
最低エネルギー性能効率(%)、最大貯蔵容量(L)、40℃における最低混合水量(L)、 最大音響出力レベル(dB)、窒素酸化物の最大排出量(mg/kWh)
・貯湯タンク
最大定常熱損失(W) ※16.66+8.33×[貯蔵容量]0.4(W)が基準値となる
図表 2.4.2 温水ヒーターおよび貯湯タンクのエコデザイン指令概要
出所)European Commission - DG Energyに基づきNRI作成
[スペースヒーターおよび組み合わせ加熱器]
○概要
欧州議会・理事会指令に則り、2015年9月26日以降、スペースヒーターおよび組み合 わせ加熱器の製造事業者および供給業者は、当該製品種別に対するエコデザイン要件およ びエネルギー表示要件を遵守しなくてはならない。
規定される要件は、あくまでミニマムスタンダードであり、トップランナー値ではない。
○適用範囲
・エコデザイン要件
定格熱出力400kW以下のスペースヒーターおよび組み合わせ加熱器(温度調節器、太陽 装置のパッケージまたは組み合わせヒーターを含む)
・エネルギー表示要件
定格熱出力70kW以下のスペースヒーターおよび組み合わせ加熱器
定格熱出力70kW以下のスペースヒーター、温度制御装置、太陽装置のパッケージ 定格熱出力70kW以下の組み合わせ加熱器、温度制御装置、太陽装置のパッケージ
○評価指標
最低エネルギー性能効率(%)、最低温水加熱エネルギー性能効率(%)、最大音響出力レ ベル(dB)、窒素酸化物の最大排出量(mg/kWh)温水ヒーター
指標 適用開始時期
区分( 有効水流量、水温、ピーク水温の組み合わせ)別の基準値 3XS XXS XS S M L XL XXL 3XL 4XL
最低エネルギー性能効率( %)
2 0 1 5 年9月26 日以降 2 2 2 3 2 6 26 3 0 3 0 3 0 3 2 3 2 3 2 2 0 1 7 年9月26 日以降 3 2 3 2 3 2 32 3 6 3 7 3 7 3 7 2 8 3 8
2 0 1 8 年9月26 日以降 - - - - - - - 6 0 6 4 6 4
最大貯蔵容量( L) 2 0 1 5 年9月26 日以降 7 1 5 1 5 36 - - - - -
-4 0 ℃における最低混合水量( L) 2 0 1 5 年9月26 日以降 - - - - 6 5 1 3 0 2 1 0 3 0 0 5 2 0 1 ,0 4 0
指標 適用開始時期
区分( 定格熱出力)別の基準値 6kW以下
( 室内)
6kW以下
( 屋外)
6~
12kW
( 室内)
6~
12kW
( 屋外)
12~
30kW
( 室内)
12~
30kW
( 屋外)
30~
70kW
( 室内)
30~
70kW
( 屋外)
最大音響出力レベル(dB) 2 0 1 5 年9月26 日以降 6 0 6 5 6 5 7 0 7 0 7 8 8 0 8 8
指標 適用開始時期 基準値
窒素酸化物の最大排出量
( mg/ kWh )
気体燃料を使用する従来の温水ヒーター
2 0 1 8 年9月26 日以降
5 6
液体燃料を使用する従来の温水ヒーター 1 2 0
気体燃料を使用する外燃機関搭載ヒート ポンプ温水ヒーター 及び気体燃料を使用する太陽光温水ヒーター
7 0 液体燃料を使用する外燃機関搭載ヒート ポンプ温水ヒーター
及び液体燃料を使用する太陽光温水ヒーター
1 2 0
気体燃料を使用する内燃機関搭載ヒート ポンプ温水ヒーター 2 4 0
液体燃料を使用する内燃機関搭載ヒート ポンプ温水ヒーター 4 2 0
図表 2.4.3 スペースヒーターおよび組み合わせ加熱器のエコデザイン指令概要
出所)European Commission - DG Energyに基づきNRI作成
なお、住宅・建築物の断熱性能に係る断熱材および窓、他の設備・機器のエネルギー消 費効率の向上に資する水廻り設備は、エコデザイン指令の第 2 次計画において優先度の高 い製品として位置づけられ、予備調査が行われる予定であったとのことであるが、現時点 においては取組が進んでいないようである。下図に、第 2 次計画における予備調査の対象 製品群を示す。
図表 2.4.4 第2次作業計画における予備調査の対象製品候補
出所) 欧州委員会
指標
適用開始 時期
区分( 製品種) 別の基準値 スペースヒー ター(~7 0 kW)、
組み 合わせ加熱器(~70 kW)
た だ し、B1型ボ イラー(~
1 0 kW )、B1型組み合わせボ
イラ ー(~3 0 kW )を除く
B1型ボ イラー
(~1 0 kW )、B1 型組み合わせ ボ イラ ー(~
3 0 kW )
スペー スヒーター
(7 0 kW ~4 0 0 kW )、 組み 合わせ加熱
器(7 0 kW ~ 4 0 0 kW )
電気ボ イラ ー スペースヒー ター、電気ボ イラ ー組み 合 わせ加熱器
コジェネ 型スペー
スヒー ター
ヒートポ ンプスペー ス ヒー ター 、ヒー トポ ンプ 組み合わせ加熱器
( た だ し、低温ヒートポ ンプを除く)
低温 ヒートポ
ンプ
最低エネルギー 性能効率( % )
2 0 1 5 年 9 月2 6 日以降
8 6 % 7 5 % 8 6 % または94 % 3 0 % 8 6 % 1 0 0 % 1 1 5 % 2 0 1 7 年
9 月2 6 日以降
- - - 3 6 % 1 0 0 % 1 1 0 % 1 2 5 %
指標 適用開始時期
適用範囲区分( 製品種) 別の基準値
3XS XXS XS S M L XL XXL 3XL 4XL
最低温水加熱エネルギー性能効率( %)
2 0 1 5 年 9 月2 6 日以降
2 2 2 3 2 6 2 6 3 0 3 0 3 0 3 2 3 2 3 2 2 0 1 7 年
9 月2 6 日以降
3 2 3 2 3 2 3 2 3 6 3 7 3 8 6 0 6 4 6 4
指標 適用開始時期
区分( 定格熱出力)別の基準値 6kW以下
( 室内)
6kW以下
( 屋外)
6~12kW
( 室内)
6~12kW
( 屋外)
12~30kW
( 室内)
12~30kW
( 屋外)
30~70kW
( 室内)
30~70kW
( 屋外)
最大音響出力レベル(dB)
2 0 1 5 年 9 月2 6 日以降
6 0 6 5 6 5 7 0 7 0 7 8 8 0 8 8
指標 適用開始時期 基準値
窒素酸化物の最大排出量
( mg/ kWh )
気体燃料を使用する燃料ボイラース ペース ヒーター 及び燃料ボイラー組み合わせ加熱器
2 0 1 8 年9月26 日以降
5 6 液体燃料を使用する燃料ボイラース ペース ヒーター
及び燃料ボイラー組み合わせ加熱器
1 2 0
気体燃料を使用する外燃機関搭載コジェネレーションスペースヒーター 7 0
液体燃料を使用する外燃機関搭載コジェネレーションスペースヒーター 1 2 0
気体燃料を使用する内燃機関搭載コジェネレーションスペースヒーター 2 4 0
液体燃料を使用する内燃機関搭載コジェネレーションスペースヒーター 4 2 0
気体燃料を使用する外燃機関搭載ヒートポンプス ペースヒーター 及びヒートポンプ組み合わせ加熱器
7 0 液体燃料を使用する外燃機関搭載ヒートポンプス ペースヒーター
及びヒートポンプ組み合わせ加熱器
1 2 0 気体燃料を使用する内燃機関搭載ヒートポンプス ペースヒーター
及びヒートポンプ組み合わせ加熱器
2 4 0 液体燃料を使用する内燃機関搭載ヒートポンプス ペースヒーター
及びヒートポンプ組み合わせ加熱器
4 2 0
2)窓の性能表示制度
ここでは、米国、カナダ、英国、豪州における窓の性能表示制度について、以下に整理 する。H24 年度調査の結果に加え、窓の性能表示制度と各国の住宅・建築物の省エネ規制 や省エネインセンティブとの関係性や、シミュレーションツールならびに、市場に流通し ている製品を検索するためのソフトウェアについて記載する。
(1)米国
米 国 は 、 環 境 保 護 庁 (Environmental Protection Agency: EPA) と エ ネ ル ギ ー 省
(Department of Energy: DOE)の共同により、エネルギー・スター制度と呼ばれる、エ
ネルギー性能ラベリング制度を運用している。これは、一定の省エネ基準を満たした製品 に対して、エネルギー・スターのロゴ使用を認めることで、消費者の選択を促し、省エネ 製品の普及を目的とした制度である。
1992年の制度導入当初は、パソコンやプリンタ、複写機等のオフィス機器に限定されて いたが、現在ではテレビ、エアコン、照明器具等の一般の電気製品や住宅、ビルも対象と なっており、窓も対象製品として位置づけられている。以下に、窓のエネルギー・スター のラベル(例)を示す。
図表 2.4.5 窓のエネルギー・スターのラベル(例)
出所)エネルギー・スター制度ウェブサイト