り、高性能建材の普及に繋がる。一方で、住宅・建築物の省エネ設計には、施工業者(ハウス メーカー、工務店等)、所有者、代理店・販売店等の多様なステークホルダーが関与することか ら、最終製品である住宅・建築物の省エネ性能(省エネ基準)も将来的に強化することで、省 エネ性の高い住宅・建築物の一層の普及に繋がる。
2)サッシ)サッシ)サッシ)サッシ
(1)防火用サッシの扱いについて
防火用サッシは、建築基準法の規定により、断熱性能の担保とよりも「防耐火性能」の担保 が優先的に求められる。断熱性能の向上に必要な有機材は、一般的に加熱物の増加を意味する ことから、防耐火性能の担保とは相反することに繋がる。
一方で、防火用サッシは断熱性能の向上が求められることに変わりはなく、また、防火用サ ッシとして認定されているか否かが出荷時に判別できることから、通常サッシとは別区分(原 則3の適用)にすることも考えられる。
(2)開閉形式の扱いについて
多様な開閉形式の中で住宅・建築物でどのタイプの製品が採用されるのかは、隣接する建物 との位置関係、換気・採光の観点での必要な開口面積、居室の配置、消費者の嗜好等により左 右されるが、採用される開閉形式の違いにより、仮に窓寸法が同じ場合であっても、見付・框 部分の露出比率が異なり、結果的に熱損失防止性能に若干の差が生じる。これらの性能差を加 味して、別区分(原則3の適用)にすることも考えられる一方で、同一区分にすることは、制 度の簡素化や高性能製品への転換を促すことに繋がる可能性がある。
(3)原則5の適用について
原則5は、本来区分すべき「普及品(広く普及した技術を用いた製品)」「高付加価値品(高 度な技術を用いた製品)」の 2 つの区分をあえて同一区分にすることで、高性能製品の普及を 目的とした原則であることから、「アルミSG」「アルミPG」「アルミ樹脂複合」「樹脂」の区分 に対し、原則5を適用させるには検討が必要である。
(4)サッシの性能値の計算方法
サッシの熱損失防止性能を計算するためには、一般社団法人リビングアメニティ協会が公開 している窓の断熱性能プログラム(WindEye)を活用する必要があるが、当該ツールで全サッ シの性能値計算を行うことはできず、特にハウスメーカー等の特注品は秘密保持の関係上、性 能値計算に必要な情報を登録することが困難である。そのため、メーカーのカタログ等に記載 されている通常サッシの性能値からの換算、もしくは通常サッシの性能値で代替する等の方法 が考えられる。
(5)目標基準値の設定
目標年度までに達成すべき目標基準値の設定は、未検討課題として残されている。現状を踏 まえつつ、効果的にサッシの性能改善が見込める基準値を設定することが重要である。
(6)アルミ単板ガラスの扱い
アルミ単板ガラスは熱損失防止性能の観点では性能が劣るものの、省エネ基準の気候区分 8 地域、住宅の北側部分、納屋等の窓には当該製品が活用されており、将来的にも当該製品が市 場に残る可能性が考えられる。上記の状況を踏まえつつ、サッシのトップランナー制度の目標 基準値を定めることが必要になる。
(7)表示方法
サッシのトップランナー制度において、ガラスの設定値を想定する必要があり、実際の窓の 省エネ性能とは数値が異なる場合も発生することから、表示された情報の想定条件を明記する 必要がある。また、ガラスの想定だけでなく、サイズの設定値を想定するのか否かについても 議論が必要である。
表示の義務は中小規模の事業者も対象に含まれることから、中小規模の事業者でも算出可能 な簡易な計算手法(シミュレーションツール)の開発・整備が必要となる。
3)ガラス)ガラス)ガラス)ガラス
(1)単板ガラスの扱い
本調査において、複層ガラスに対して優先的に調査・検討を行ったが、住宅・建築物の省エ ネの観点では、単板ガラスから複層ガラスへの製品転換も効果的であるが、単板ガラスは、出 荷時に住宅・建築物用途としての判別が困難であるのが現状の課題である。単板ガラスから複 層ガラスへの移行が評価されない場合、以下の二点に留意する必要がある。
一点目として、仮に単板ガラスから一般複層ガラスへ市場が転換した場合、単板ガラスも含 めたガラス全体では熱損失防止性能が改善されているにも関わらず、複層ガラスの中でも性能 値が劣る一般複層ガラスの出荷シェアが増加し、複層ガラス全体の加重平均値が引き下がる可 能性も有り得る。
二点目として、複層ガラスのみが規制対象となることにより、単板ガラス業界が安価な製品 を大量生産する可能性がある点である。
(2)中小規模メーカーの扱い
複層ガラスは、単板ガラスを一次メーカーから購入し、複層化するというシンプルな製造方 法であるため、卸業者・販売店を中心とした中小規模のメーカーも多数存在する。現状では出 荷シェアがトップランナー制度の対象事業者と定められる閾値に満たず、規制対象外となる事 業者が性能の低い安価な複層ガラスを大量生産することになれば、規制対象の事業者に不利に 働くことになる。これらのメーカーは、今後、出荷シェアを伸ばし、閾値を超えることも十分
に考えられるため、出荷シェアの変化を随時確認することが必要である。
(3)未成熟製品の扱い
現状では製造方法や評価方法が未成熟である製品(真空ガラス、トリプルシルバー等)につ いて、将来的な市場での普及状況や技術改善度合等を踏まえつつ、規制対象製品に含めるのか、
どのように目標達成時に評価するか等を検討する必要がある。
(4)中空層厚み別の出荷シェアの変化
中空層厚みは熱損失防止性能に比較的大きく寄与する一方、サッシ側の制約を受けることか ら、複層ガラスメーカー側でコントロールできない要素である。そのため、中空層厚み別に基 準値を設けることは、制度のオプションの一つとして考えられる。
ただし、サッシの性能改善(サッシ幅の厚手化)に伴い、中空層厚み別の出荷シェアが変化 することが可能性として考えられる。これまでのトレンドを踏まえて、中空層厚み別に目標値 を設定した場合、例えば、これまで主流であり続けた中空層厚みの出荷シェアが減少すれば、
従来と同様の傾向で技術改善が期待できなくなる可能性も発生する。
(5)目標基準値の設定
目標年度までに達成すべき目標基準値の設定は、未検討課題として残されている。現状を踏 まえつつ、効果的にガラスの性能改善が見込める基準値を設定することが重要である。