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断熱性能向上に係る技術改善要素

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2 熱の損失の防止に資する断熱材、窓製品等の実態調査

2.2. 断熱材、窓製品の断熱性能向上に伴うコスト調査

2.2.1. 断熱性能向上に係る技術改善要素

(密度:32kg/㎥、熱伝導率0.035W/(m・K))が最も熱伝導率が低く、既存の製造技術で は0.033W/(m・K))程度が限界と考えられる。

図表 2.2.2 グラスウールの特性:密度と熱伝導率の関係

出所)マグ技術資料

②細繊維化(熱伝導率の向上に寄与)

密度が同じ場合でも繊維径によって熱伝導率は異なり、繊維径が細くなるほど熱伝導率 は低くなる。下図に、グラスウールにおける繊維径と熱伝導率の関係を示す。グラスウー ルの場合、通常のグラスウール(住宅用グラスウールと呼ばれる)は繊維径が 7 ミクロン 程度であるのに対して、高性能製品(高性能グラスウールと呼ばれる)は繊維径が 4 ミク ロン程度となっている。

図表 2.2.3 グラスウールの特性:繊維径と熱伝導率の関係

出所)マグ技術資料

図表 2.2.4 グラスウールの繊維径(電子顕微鏡写真)

出所)マグウェブサイト

③厚手化(熱抵抗値の向上に寄与)

断熱材の製品としての断熱性能を表わす熱抵抗値は、厚みと熱伝導率によって規定され、

厚みが増すほど熱抵抗値は大きくなる。ただし、製造設備のスペックの都合上、厚手化製 品の製造における制限が生じる。(以下、業界団体へのインタビュー結果を示す)

グラスウール断熱材の製造において、綿をネット上に集めるために、大型のファンを使 用 し て い る 。 現 状 で は 、 通 常 品 の グ ラ ス ウ ー ル 断 熱 材 は 2,400g/㎥ 程 度 が 限 度 で あ る

(24K100mmが2,400g/㎥、16KHG100mmが1,600g/㎥程度)。 製品が厚手化するほど、

通気抵抗は大きくなり、高性能品のグラスウール断熱材は繊維が細いため、通気抵抗が大 きくなり上限が低下する。

したがって、断熱材厚さ105mmを超える高性能品のグラスウール断熱材は、投入ガラス 量を 10~20%低くして生産をしているのが現状である。そのため、綿を集めるゾーンの通 過時間を 10~20%伸ばすことで集められる綿の量を増やしており、その結果、製造コスト 増加に繋がってしまっている。

上記が主力製品になることで、供給能力が 10~20%低下し、供給不足を招くおそれが発 生する。つまり、供給能力が 20%低下した場合、供給不足に陥る可能性が発生し、次世代 基準義務化への対応が困難になると考えられる。

グラスウール断熱材の製造設備のスペックを上げることは、多大な設備投資を必要とし、

また、設備改修期間は製品製造が停止するため、欠品が長期間継続する。

(2)ロックウール断熱材

ロックウール断熱材は、細繊維化や低ショット化による熱伝導率の向上、製品二枚重ね による断熱材厚み・熱抵抗値の向上、の二点の技術改善要素が考えられるが、前者は既に 数十年前より数多くの対策が施されてきており、抜本的な性能改善が見込めないのが現状 である。

高性能グラスウール

(繊維径:45マイクロメ ー トル)

通常グラスウール

(繊維径:78マイクロメ ー トル)

①熱伝導率の性能向上

細繊維化、低ショット化等のために、以下に該当する性能改善技術が数十年前より進め られてきたが、現行密度(30~50kg/㎥)ではこれ以上の性能向上が見込みがたいのが現状 である。

A)スラグ成分の最適化(繊維化要因のスラグの溶解温度と粘性(最適粘性)) B)スピンナー回転数の高速化

C)ペンジュラム導入による配綿ばらつきの減少(断熱材繊維密度の高品質化)

D)バインダー(接着剤)投入量の最適化 E)硬化炉温度の最適化

また、住宅用ロックウール断熱材は、密度が軽く圧縮梱包が可能という特長がある。ハ ウスメーカーからのコストダウンの要望を受けて、軽量ロックウール(密度 30kg/㎥以下)

の製造に踏み切ったが、熱伝導率は低下する傾向にある。

※繊維化装置そのものがグラスウールのものとは異なり、ロックウールは高速で回転して いるスピンナーの表面に溶解した湯を落とし、遠心力で飛ばすことで繊維化している。

※繊維径の比較:ロックウール 3~6μm

グラスウール 通常品7~8μm 細繊維品4~5μm

図表 2.2.5 ロックウール(スラグウール)の概略フロー

出所)ロックウール工業会

図表 2.2.6 スピンナーによるロックウールの繊維化

出所)ロックウール工業会

②断熱材厚み・熱抵抗値の向上

密度を向上させることによる高性能化も手段としては有り得るが、重量が重くなるため、

消費者のニーズは多くないと考えられる。仮に密度60kg/㎥で熱伝導率0.036W/(m・K) の場合、熱抵抗値は0.1㎡・K/W程度の向上しか見込めない一方で、重量はほぼ倍となる。

また、厚みに関しては、一般建築物やプラント・設備向けのロックウール(密度 40kg/

㎥以上)を含めた場合でも、現行の製品ラインナップでは、住宅用途105mm 製品が 1 枚 ものの最大厚みである。したがって、現状では、熱抵抗値ならびに厚み向上の手段として は、断熱材の二枚重ねが一般的である。二枚重ねは幅方向に半分ずらして重ねることで、

継ぎ目部の断熱補強も行うことができるため、施工信頼性の観点からも有効であり、充填 断熱の柱や熱橋部の補強等も同様に行うことが可能である。

(3)押出発泡ポリスチレンフォーム保温材

押出発泡ポリスチレンフォーム保温材は、独立した小さな気泡の中にガスを閉じ込めて 断熱性能を発揮する。製造工程は、①原料投入(ポリエチレン、難燃剤、造核剤等)、②圧 入・混合、③冷却、④発泡・成形、⑤養生・トリミング、の 5 つの工程に分けられる。発 泡プラスチック系断熱材の断熱性能向上に係る主な技術改善要素として、素材の断熱性能 を高める低熱伝導率発泡ガスおよび樹脂の使用や微細発泡化と、製品としての断熱性能を 高める厚手化が挙げられる。

図表 2.2.7 押出発泡ポリスチレンフォーム保温材の製造工程別の技術改善要素

出所)押出発泡ポリスチレン工業会へのヒアリング結果に基づきNRI作成

①低熱伝導率発泡ガスおよび樹脂の使用

押出発泡ポリスチレンフォーム保温材に用いる発泡ガスや樹脂そのものを、熱伝導率の 低いガスや素材に転換することにより、熱伝導率を低くすることが可能となる。

微細発泡化

①原料投入

( ポリエチレン、難燃剤、

造核剤等)

②圧入・混合 ③冷却 ④発泡・成形 ⑤養生・トリミング

①原料投入

②圧入・混合

③冷却 ④発泡・成形 ⑤養生・トリミング

輻射抑制剤の添加 例)グラファイト

熱伝導率の低い発泡剤 への転換

例)炭化水素系⇒HFO

密度アップによるセル 形状変更時の耐圧低 下防止

微細発泡化

セ ル形状扁平化

②微細発泡化

押出発泡ポリスチレンフォーム保温材中の気泡を微細化することにより、熱伝導率を低 くすることが可能となる。

図表 2.2.8 発泡プラスチック系断熱材の気泡(電子顕微鏡写真)

出所)京都大学大学院工学研究科ウェブサイト

例えば、押出法ポリスチレンフォーム保温材においては、従来、3 種製品の熱伝導率は 0.028W/(m・K)であったが、樹脂の素材改良や気泡形状の工夫等により、熱伝導率0.024W/

(m・K)の製品を開発した。しかしながら、素材が同じであれば、今後さらなる技術改善 がなされるとしても、熱伝導率0.020W/(m・K)程度が限界と考えられる。

③厚手化

繊維系断熱材と同様に、厚みが増すほど熱抵抗値は大きくなる。

(4)その他

上記以外に、高性能断熱材として、真空断熱材とエアロゲルが挙げられる。

①真空断熱材(VIP: Vacumed Insulated Panel)

多孔質の芯材をフィルムで包み、内部を1~200Paまで減圧したもの(1気圧:101,325Pa)。 熱伝導率は他の断熱材よりも優れており、熱伝導率は0.002~0.01W/(m・K)程度である。

ただし、減圧するためのコストが大きく、非常に高価であることが課題となっている。さ らに、熱橋や施工性、性能劣化等の課題がある。現状においては、住宅用としてはほとん ど普及しておらず、冷蔵庫、電気保温ポット、自動販売機等で採用されている。

図表 2.2.9 真空断熱材の主な用途例

出所)旭ファイバーグラスウェブサイト

真空断熱材に関して、米国のNAHB(National Associations of Home Builders =全米 住宅建設業者協会)リサーチセンター等を中心に研究が行われている。真空断熱材のイニ シャルコストは、1スクエアフィート当たり$3~$5 程度。使用量や用途によっては価格が 下がるものもある。 R値(熱抵抗値)は、厚さ1インチあたり30程度となる。真空断熱 材の問題点としては、表面が傷つきやすいことが挙げられる。このため、輸送や施工の際 には破裂を防ぐために保護する必要がある。

②エアロゲル

エアロゲルは、ナノメートルオーダーの空孔を有する脆弱な多孔質体で構成される。熱 伝導率は発泡プラスチック系断熱材よりも優れる。ただし、原材料・製造装置が高価であ ることから価格が非常に高い。国内では、研究開発段階にあり、住宅用にはほとんど普及 していない。

下図に、各断熱材の熱伝導率と単位面積あたり価格の関係を示す。真空断熱材やエアロ ゲルは、繊維系断熱材や発泡プラスチック系断熱材に比べて熱伝導率は極めて低いが、価 格が高く、コスト以外にも技術開発課題は残されているものの、コストが普及の大きな阻

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