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断熱性能向上に伴うコストと課題

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2 熱の損失の防止に資する断熱材、窓製品等の実態調査

2.2. 断熱材、窓製品の断熱性能向上に伴うコスト調査

2.2.2. 断熱性能向上に伴うコストと課題

1)製造事業者

断熱材や窓製品を扱う製造事業者の視点から、断熱性能向上に伴うコストと課題を以下 に整理する。

(1)断熱材

素材としての断熱性能の向上ついては、それぞれに技術的課題があり、各製造事業者や 研究機関等において研究開発・技術開発が進められている。物流コストの観点からは、熱 伝導率の低い製品ほど、断熱性能あたりの容積が削減されることから、コスト削減に寄与 する。

また、製品としての断熱性能向上のための厚手化については、繊維系断熱材、発泡プラ スチック系断熱材ともに既存設備の制約から製造できる厚みに限界がある。

グラスウールの場合、理論上は200mm以上の厚みの断熱材も製造可能であるが、既存設 備における吸引性や熱硬化性の観点から、現状においては住宅用グラスウール16K(密度:

16kg/㎥)において厚み155mmの製品を製造することが限界と考えられる。これ以上の厚

みの製品を製造する場合には、より高性能な製造設備の開発および導入が必要となり、少 なくとも数億~数十億円規模の追加投資が必要と考えられる。

ロックウールの場合には、既存設備においては厚み105mmの製品の製造が現状では限界 であり、これ以上の厚みの断熱材を生産するためには、新たな製造設備の開発や製造ライ ンの新設・改造等に、数億~数十億円規模の追加投資を要すると推定される。

押出法ポリスチレンフォームの場合、製造設備の押出圧力と面積の都合上、既存設備に おいては厚み100mmの製品を製造することが限界と考えられる。それ以上の厚みの製品を 製造するには製造設備の開発・新設や既存設備の改造等が必要であり、数億~数十億円の 追加投資が想定される。

(2)サッシ

単板ガラス用アルミサッシ、複層ガラス用アルミサッシ、アルミ樹脂複合サッシ、樹脂 サッシ等のサッシの種類により製造ラインが分かれていることから、これらの出荷量や出 荷比率が変わると、製造ラインの改良や新増設が必要となる。製造ラインの改良や新増設 には、数億~数十億円規模の投資が必要と想定される。

また、樹脂サッシにおいてはアルミサッシに比べ、押出成型に時間を要するため、量産 化が難しい。そのほかにも、アルミサッシ(アルミ樹脂複合サッシも含む)はねじで組み 立てを行うことが出来るため現場で最終組み立てをすることができるが、樹脂サッシは素 材が柔らかいためねじで組み立てを行えないことから、工場にて熱で圧着しなくてはなら ない。そのため、樹脂サッシは最終製品として出荷しなくてはならず、アルミサッシに比 べ輸送コストを要する。

(3)ガラス

単板ガラス、一般複層ガラス、Low-E 複層ガラス等のガラスの種類により製造ラインが 分かれていることから、これらの出荷量や出荷比率が変わると、製造ラインの改良や新増 設が必要となる。

また、複層ガラスの中空層にガスを封入することにより、断熱性能の改善が見込めるが、

現状では手作業でガスを封入しており、ガス入りの複層ガラスを効率的に生産するには、

ガスの封入を自動化できる設備が必要となる。

2)ハウスメーカー等のビルダー

断熱材や窓製品を使用するビルダーの視点から、断熱性能向上に伴うコストと課題を以 下に整理する。

(1)断熱材

繊維系断熱材の場合には、断熱材のコスト(販売価格)は重量に比例する傾向が強い。

したがって、密度が2倍になる、または厚みが2倍になれば、コストも2倍になり、その 分のコストは、ビルダー側が材料費として吸収し、住宅の建設コストに上乗せすることに なる。

また、発泡プラスチック系断熱材の場合には、断熱材のコスト(販売価格)は熱抵抗値 に比例する傾向が強いことから、高性能な製品を採用したり、厚みを厚くすると、その分、

断熱材のコストは増大することとなる。

真空断熱材の場合には、釘等を打ってしまうと真空状態が解けてしまい断熱性能が著し く劣化することから、ビルダーにとっては施工コストの増大につながる可能性がある。

断熱材の高性能化や厚手化によるコスト増分は、基本的には施工コストや販売価格に転 嫁することが理想的であるが、住まい手にとって実際の効果が見えにくいことから、ビル ダーの立場からはそのまま転嫁するのは難しい状況にある。大手住宅メーカーでは、営業 担当が顧客に対して断熱性能向上によるメリットを十分に説明することが難しいために、

断熱仕様は住まい手に選択させるのではなく、ある程度高性能な仕様を標準仕様として採 用している。

ビルダーの視点からの課題として、設計や工法との兼ね合いにより、採用できる断熱材 の厚みに限界がある。充填断熱工法の場合、天井については200mm以上でも施工可能であ るが、外壁については在来木造では柱寸法により105mm、ツーバイフォーでは89mm、鉄 骨プレハブでは 120mm が限界となる。また、床については、ネダがある場合には 45mm という制約が生じる。外張り断熱工法の場合には、外装材としてタイル等の重量のある建 材を採用する場合には、施工上の問題で50mm程度が限界と考えられ、それ以上の断熱材 を施工する場合には、基礎工事が必要となる。

図表 2.2.13 住宅工法別の断熱材厚みの限界値の目安

出所)業界・メーカーヒアリングに基づき作成

(2)窓製品(サッシ、ガラス)

窓製品については、サッシとガラスの組合せによりコストが異なる。アルミサッシ+単 板ガラスの組合せの価格を100とした場合、アルミサッシ+複層ガラスの場合に約1.7倍、

アルミ樹脂複合サッシ+複層ガラスの場合に約2.5倍、樹脂サッシ+複層ガラスの場合に約 3.5倍となる。これらのコスト増分については、基本的には施工コストや販売価格に転嫁す ることが理想的であるが、住まい手にとって実際の効果が見えにくいことから、ビルダー の立場からはそのまま転嫁するのは難しい状況にある。

図表 2.2.14 サッシとガラスの組合せによるエネルギー消費指数と価格指数の比較

出所)業界提供データに基づき作成

出所)JSBC

充填断熱工法

天井:200300mm

外壁:在来木造105mm、 2×489mm、 鉄骨プレハブ120mm 床:ネ ダあり45mm、ネ ダなし90mm(105mm)

外張り断熱工法

外壁:50mm(外装材にタイル等を用いる 場合)

※50mm以上は基礎工事が必要になる 可能性

サッシ ガラス

エ ネルギー消費指数

(※熱貫流率)

価格指数

ア ルミ

単板 100 100

複層 75 170

ア ルミ樹脂 複層 約55 約250

樹脂 複層 45 350

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