4 他の設備・機器のエネルギー消費効率の向上に資する水回り設備等の実態調査
4.2. 水回り設備の省エネポテンシャル
4.2.1. ポンプ直送方式における給水負荷と電力消費量の実態
広島市の市街地に所在する賃貸ビル(Fビル)を対象に実施した実測結果を基に、給水負荷 とポンプ動力の電力消費量の実態を示す。
Fビルは下記の概要を示すように、延べ床面積:18,256㎡、地上14階・地下1階、実測時の 登録人員:881 人(男性;690人、女性;191人)であり、トイレの大小便器設置個数は、男子大 便器:38個、小便器:38個、女子便器:38個、障害者用便器:1個となっている。
図表 4.2.6 調査対象ビルの概要
給水系統は、市の水道水を一旦受水槽で受け、そこから飲用系統(以降、上水系統:トイレ の洗面器・掃除用流し、湯沸し室流し・給湯器)とトイレ系統(以降、中水系統:大・小便器)
Fビル 広島県広島市 事務所ビル 2036.79㎡
1423.11㎡
18256.39㎡
S造・CFT造
地下1階・地上14階・塔屋1階 平成12年7月~14年1月
881人 (男性:女性=78.3:21.7)
ポンプ直送給水方式 男子トイレ
大便器38 小便器38 洗面器38 掃除用流し13 女子トイレ
便器38 洗面器38 湯沸し室
熱湯栓付13
シングルレバー混合栓13 器具数
工期 登録者数 給水方式 建築面積 延床面積 構造 規模 建物名称
所在地 建物用途 敷地面積
中水系統 上水系統
地下
WC(男子) 湯沸室 WC(女子)
WC(男子) 湯沸室 WC(女子)
WC(男子) 湯沸室 WC(女子)
WC(男子) 湯沸室 WC(女子)
WC(男子) 湯沸室 WC(女子)
WC(男子) 湯沸室 WC(女子)
14F
5F 4F 屋上
上水系統加圧ポンプ
中水系統加圧ポンプ
・
・
・
1F
・
・
・
上水 受水槽 量水器
中水 受水槽
にポンプ直送方式によって給水している。以下に給水設備の概要を示す。直送ポンプは、並列 交互運転で末端圧力一定によるインバータ制御によっている。
図表 4.2.7 給水設備の概要
実測結果の一例として、以下に上水系統と中水系統における1時間あたり給水量とポンプの 電力消費量の変動を1週間について示す。
図表 4.2.8 給水量と電力消費量の変動(時間平均値)
給水量は上水系統に比べ中水系統がかなり多量に消費されているが、ポンプの電力消費量は ほぼ同程度の近似したパターンを示していることが分かる。最上階の配管末端にある器具まで 必要圧力で給水するポンプの動力は、揚程の影響が大きく、途中での圧力損失はそれほど影響 していないことがわかる。このことは、瞬時最大給水量を精度よく予測して、給水量に応じた 適正なポンプ容量の選定と台数制御による並列運転によって、大きな省エネルギー効果を引き 出せることを示している。この点については、さらに後述する。
給水量の多い中水系統の1日を例に、1分間あたり瞬時給水量の変動を以下に示す。
上水 中水
構造 FRP単板 コンクリート
容量 31m
3
71m
3
台数 3台 4台
制御方式 運転方式
水量 300L/min 780L/min モータ容量 7.5kW×2台 7.5kW×3台
揚程 900KPa 800KPa
受水槽
ポンプ
推定末端圧力一定(インバータ制御)
並列交互
図表 4.2.9 中水系統における瞬時給水量の変動(
瞬時負荷は時間帯によって大きく変動している。この中水系統における瞬時給水量の出現頻 度分布を10 L/min 刻みで以下に示す。
図表 4.2.10 給水系統における瞬時給
0.1~10 L/min未満 が約50 少水量であることが分かる。なお、
以下に給水量と電力消費量の関係を示す。
中水系統における瞬時給水量の変動(2005/11/08
瞬時負荷は時間帯によって大きく変動している。この中水系統における瞬時給水量の出現頻 刻みで以下に示す。
給水系統における瞬時給水量の出現頻度分布(2005/
50%あり、50 L/min 未満が90%を占め、給水需要の多くは比較的 少水量であることが分かる。なお、0 L/min の出現頻度は除いている。
以下に給水量と電力消費量の関係を示す。
08)
瞬時負荷は時間帯によって大きく変動している。この中水系統における瞬時給水量の出現頻
/11/08)
を占め、給水需要の多くは比較的
図表 4.2.11
10 L/min 未満程度の場合は、ポンプ運転時間が
換算では電力消費量が小さく現れる。
していることが分かる。
次に、このような中水系統の給水量の変動についてポンプの特性から運転実態を検証する。
中水系統のポンプは、以下の特性曲線(複数台)に示すようにポンプ により、必要水量・必要水圧を供給する設計になっている。給水量が ポンプは1台運転となる。
図表
以下にポンプ1台の性能曲線を示す。給水量(吐出量)と電力消費量の関係は、インバータ 制御による末端圧力一定制御のため、関係式は以下のようになる。
y = 22.18 x2 + 7.67 x + x : 給水量(m3/min y : 電力消費量(kWh
なお、給水量 x = 0 のときはポンプが停止するため、電力消費量 11 給水量と電力消費量の関係(2005/11/08)
未満程度の場合は、ポンプ運転時間が1分未満であることが多く、
換算では電力消費量が小さく現れる。20~60 L/min では電力消費量が30~45
次に、このような中水系統の給水量の変動についてポンプの特性から運転実態を検証する。
中水系統のポンプは、以下の特性曲線(複数台)に示すようにポンプ3台が並列運転すること により、必要水量・必要水圧を供給する設計になっている。給水量が400 L/min
図表 4.2.12 ポンプ性能曲線(複数台)
台の性能曲線を示す。給水量(吐出量)と電力消費量の関係は、インバータ 制御による末端圧力一定制御のため、関係式は以下のようになる。
x + 2.12 (式1)
/min) ただし、x > 0 kWh)
のときはポンプが停止するため、電力消費量y = 0
分未満であることが多く、1分間値での 45Wh程度で推移
次に、このような中水系統の給水量の変動についてポンプの特性から運転実態を検証する。
台が並列運転すること L/min 未満の場合は、
台の性能曲線を示す。給水量(吐出量)と電力消費量の関係は、インバータ
とする。
図表
給水負荷(吐出量)が小さく、ポンプ定格水量よりごく少水量で運転される場合は、給水量 の大小によるポンプ電力消費量の変化は小さく、実揚程を確保するためのポンプ動力が必要と なるため、少水量でも電力消費量はある一定以上になる。本実測で出現頻度が
0.1 L/min~50 L/min をこのポンプ性能曲線状にプロットすると、電力消費量は kWh(1分間値に換算すると
電力消費量の実測値と、1
実測値が29.04 kWh/d に対し、算定値は る。
このように、ポンプ直送方式では、
よって、ある一定期間の電力消費量の累積値を算定することが可能となる。したがって、従来 の算定法によった瞬時最大給水量やピーク時給水量では時系列的な負荷変動が発生する給水シ ステムにおいては、運転時間を通し
の通りシミュレーション手法を適用した新たな動的給水給湯負荷算定法の導入が必要となる。
図表 4.2.13 ポンプ性能曲線(1台)
給水負荷(吐出量)が小さく、ポンプ定格水量よりごく少水量で運転される場合は、給水量 の大小によるポンプ電力消費量の変化は小さく、実揚程を確保するためのポンプ動力が必要と なるため、少水量でも電力消費量はある一定以上になる。本実測で出現頻度が
をこのポンプ性能曲線状にプロットすると、電力消費量は 分間値に換算すると35Wh~42Wh)となり、実測値によく一致する。
1 分間あたり給水量を(式 1)に適用して求めた算定値によれば、
に対し、算定値は29.64 kWh/d を示し、よく近似していることが分か
このように、ポンプ直送方式では、1分間当たり瞬時給水量の時系列変動を把握することに よって、ある一定期間の電力消費量の累積値を算定することが可能となる。したがって、従来 の算定法によった瞬時最大給水量やピーク時給水量では時系列的な負荷変動が発生する給水シ ステムにおいては、運転時間を通したポンプ等のエネルギー消費量の評価は困難であり、前述 の通りシミュレーション手法を適用した新たな動的給水給湯負荷算定法の導入が必要となる。
給水負荷(吐出量)が小さく、ポンプ定格水量よりごく少水量で運転される場合は、給水量 の大小によるポンプ電力消費量の変化は小さく、実揚程を確保するためのポンプ動力が必要と なるため、少水量でも電力消費量はある一定以上になる。本実測で出現頻度が90%と高かった をこのポンプ性能曲線状にプロットすると、電力消費量は2.1 kWh~2.5
)となり、実測値によく一致する。
)に適用して求めた算定値によれば、
を示し、よく近似していることが分か
分間当たり瞬時給水量の時系列変動を把握することに よって、ある一定期間の電力消費量の累積値を算定することが可能となる。したがって、従来 の算定法によった瞬時最大給水量やピーク時給水量では時系列的な負荷変動が発生する給水シ たポンプ等のエネルギー消費量の評価は困難であり、前述 の通りシミュレーション手法を適用した新たな動的給水給湯負荷算定法の導入が必要となる。