4 他の設備・機器のエネルギー消費効率の向上に資する水回り設備等の実態調査
4.3. 海外における水廻り設備の規制・基準の動向
節水機器の普及は、水資源保全および温室効果ガス削減(省エネルギー)のコベネフィット を有し、持続可能な社会形成推進に寄与するが、節水を推し進める上で課題となるのは、節水 政策と機器性能(シャワー・便器等)の両立である。例えば、シャワーに求められる性能とは、
体の汚れを洗い流し快適に浴びられることであり、便器に求められる性能とは、便器から汚物 を排出し、排水配管内を適切に搬送させること(=排水搬送性)である。これらの性能は、使 用水量が多いほど発揮されるため、節水と機器性能は、基本的に相反するファクターとなる。
適正な性能を担保していない機器の普及は、使用者の不満や配管詰まり(便器)等のトラブル を引き起こす可能性がある。そこで、節水規準(シャワー水量:○L/min以下、便器洗浄水量:
○L/回以下等)を設定する際は、機器が担保すべき性能規定とセットで検討する必要がある。
本調査では、節水先進国である米国、オーストラリア、欧州等のシャワー・便器の節水規格を 調査し、各規定物理量の必然性を再考察し、現状で最適と考えられる物理量の組み合わせを、
規準案(ガイドライン)として提供すること目指した。
4.3.1. シャワーの節水基準
節水先進国における節水シャワーヘッド評価規準の測定項目について、まず、各国の評価規 準の関係を調査した。すべての規格のベースとなっているのがAustralia・New Zealandの WELSという団体から2005年に公開されたAS/NZS3662であると考えられる。シャワーは水の 節水率によってstarでランク付けされる。測定項目にはSpray Angle, Temperature Dropがあ る。これとほぼ同じ内容の規準がHong Kong, Singaporeでも公開されている。
Chinaで2009年に公開されているGB/T23447-1009は、規準内にてAS/NZS3662を基にして いることが明記されている。水の節水率は、既定の圧力条件下で一定流量以下であることと設 定されている。測定項目にはAS/NZS3662と同じSpray Angle, Temperature Dropに加え、
Spray Coverageがある。
また、2005年にUnited Statesで公開されたASME112.18.1はAS/NZS3662を参考に規準が設 定されており、これを基に2010年にはWater Senseプログラムが公開されている。この規準で は水の節水率は、既定の圧力条件下で一定流量以下であることと設定されている。測定項目に はSpray ForceとSpray Coverageがある。
以上の背景により、測定項目はS/NZS3662のSpray AngleとTemperature Drop ,Water SenseのSpray Force,Spray Coverageですべてが網羅される。以下に各国の規準と各規準で 採用している測定項目を示す。
図表 4.3.1 各国におけるシャワーの節水基準
Hon gK on g Sh in gapore S tandard Name A S M E 1 1 2 .1 8 . 1 W a t e rS e n s e G B/ T 2 3 44 7 A S / N ZS 3 6 6 2
-5 -5 0 [ k P a ] 9 . 5 [ L / m i n ]
1 4 0[ k Pa ] 7. 6 [ l/ m in ] 3 1 0[ k Pa ] 7. 6 [ l/ m in ] 5 5 0[ k Pa ] 7. 6 [ l/ m in ]
0.1[Mpa] 9[L/min]
0.3[MPa]12[L/min]
under 16[l/min]:1sta r under 12[l/min]:2sta r under 9[l/min]:3sta r under 7.5[lmin]:4sta r under 6[l/min]:5sta r
under 16[l/min]:1st ar under 12[l/min]:2st ar under 9[l/min]:3sta r under 7.5[lmin]:4st ar under 6[l/min]:5sta r
Spray Forc e
Same as WaterSense (High efficiency shower)
- -
-S pray Cove rage
Same as WaterSense (High efficiency shower)
-
-On ly in Hon gKon g
On ly in Hon gKon g Te mpratu re
Drop
-
-V a r y b y S t a t e
W ater-Efficie n c y
Crite ria
Spray An gle Mandatory/ Vol
u n tary Stan dard
M an d a t or y Volun tary Volu n tary
-
-Volu n tary Cou n try Name Un ited State s Un ite d State s Ch in a Au stralia
4.3.2. 便器の節水基準
日本では、便器に求める性能として、日本工業規格のJIS A 5207(衛生器具―便器・洗面器 類)にて、洗浄性能・排出性能・水封(シール)性能・耐漏水性能および各試験方法が規定さ れている。便器の洗浄水は、汚物を便器から排出し、便器に接続された排水配管内を適正に搬 送するために使われる。JISで規定されている性能の中で、節水化によって影響が出る項目は、
洗浄性能、排出性能となるため、これらに関する試験方法と判定基準を整理した。米国、豪州、
欧州、中国、シンガポールの便器規格についても同様に整理し以下に示す。
図表 4.3.2 各国の便器の洗浄・排出性基準整理