第五章 中国証券化市場の課題
第一節 法規と会計基準の不備
1. 法規
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または財産の登記などの面において不確実性を残す。
日 本 中 国
法 律 公 布 年 月 日
法 律 公 布 年 月 日
公 布 機 構
「 抵 当 証 券 法 」
1931 年年 3 月 30 日
「 証 券 会 社 に お け る 顧 客 の 資 産 管 理 業 務 の 試 行 弁 法 」
2003 年 12 月 18 日
証 券 業 監 督 管 理委員会
「 抵 当 証 券 業 の 規 制 等 に 関 す る 法」
1987 年年 12 月 15 日
「 信用貸付資産証券化の 試験的な管理弁法」
2005 年 4 月 20 日
中 国 人 民 銀 行,中国銀行業 監 督 管 理 委 員 会
「 特 定 債 権 等 に 係 る 事 業 の 規 制 に 関 す る 法 律 」
1992 年 6 月 1 日
「 信用貸付資産証券化の 試験的な会計処理規定」
2005 年 5 月 16 日
中 華 人 民 共 和 国財政部
「 資 産 の 流 動 化 に 関 す る 法 律 」
1998 年 6 月 15
「 個 人 住 宅 ロ ー ン の 証 券 化 に つ い て の 担 保 権 の 変 更 登 記 な ど の 関 連 問 題 に 関 す る 試 行 通 知 」
2005 年 5 月 16 日
中 華 人 民 共 和 国建設部
「 債 権 譲 渡 の 対 抗 要 件 に 関 す る 民 法 の 特 例 等 に 関 す る 法 律 」
1998 年 6 月
「 証 券 情 報 の 開 示 を 裏 付 け る 規 則 」
2005 年 6 月 13 日
中国人民銀行
「 債 権 管 理 回 収 業 に 関 す る 特 別 措 置 法 」
1998 年 10 月 1 日
「 銀 行 間 の 債 券 市 場 で 登 記 , 信 託 統 治 , 取 引 お よ び 決 算 事 項 に 関 す る 公 告 」
2005 年 6 月 15 日
中国人民銀行
「 金 融 業 者 の 貸 付 業 務 の た め の 社 債 の 発 行 等 に 関 す る 法 律 」
1999 年 5 月 1 日
「 金 融 機 関 の 貸付資産 証券化の試験的な監督管 理弁法」
2005 年 11 月 7 日
中 国 銀 行 業 監 督管理委員会
「金融システム 2010 年 6 「 貸付資産証券化の税収 2006 年 中国財政部,中
128 改革のための関
係法律の整備等 に関する法律」
月 5 日 政策に関する問題の通知」 2 月 20 日
国 国 家 税 務 総 局
「 投 資 信 託 お よ び 投 資 法 人 に 関 す る 法 律 」
1951 年 6 月 4 日
「 証 券 投 資 フ ァ ン ド に よ る 投 資 資 産 は 証 券 を 裏 付 け る 関 連 事 項 に 関 す る 通 知 」
2006 年 5 月 14 日
証 券 業 監 督 管 理委員会
「 信 託 業 法 」 2004 年 12 月 1 日
「 証 券 会 社 に 企 業 の 資 産 証 券 化 業 務 に つ い て の 試 験 的 状 況 を 通 報 す る 文 書 」
2009 年 5 月 20 日
証 券 業 監 督 管 理委員会
「 証 券 会 社 に お け る 企 業 の 資 産 証 券 化 の 業 務 に つ い て の 試 験 的 な 手 引 き (試 行 )」
2009 年 5 月 20 日
証 券 業 監 督 管 理委員会
「 中 国 人 民 銀 行 [2007 ] 第 16 号 情 報 開 示 に 関 す る 公 告 」
2007 年 8 月 21 日
中国人民銀行
「 中 国 人 民 銀 行 [2007 ] 第 21 号 資 産 が 証 券 を 裏 付 け る 抵 当 融 資 に 関 す る 公 告 」
2007 年 9 月 30 日
中国人民銀行
「 中 国 銀 行 業 監 督 管 理 委 員 会 弁 合 庁 が 貸付資 産証券化の管理工作をも っと強化する通知」
2008 年 2 月 4 日
中 国 銀 行 業 監 督管理委員会
「 商 業 銀 行 資 産 証 券 化 のリスク暴露に関する監 督管理と資本測定の手引 き」
2009 年 12 月 23 日
中 国 銀 行 業 監 督管理委員会
表 23 日本,中国資産証券化に関する法律・法規 (出所)筆者により作成
次に,証券化に関する規定が法律として下位法に属することも問題である。表 23 は日 本および中国の証券化に関する法律・規定についてまとめたものである。日本では 1998
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年に SPC 法(「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律」)が制定され,2000 年にはこれを改正した「資産の流動化に関する法律」が制定されている。さらに債権の譲 渡に関する法律である「特定債券法」や不動産に関する「特定債券法」など証券化のそれぞ れの用件に対して細かく立法を行っている。これに対して中国では証券化に関して立法し ておらず,すべて規則や公告などより法的拘束力の弱い下位法となっている。
日本と同じ大陸法系に属する中国では,法体系として上位法と下位法の概念がある。上 位法優位の原則により下位法と上位法に矛盾・抵触が発生した場合,上位法が優先され,
下位の法律は無効となる。例を挙げるとオリジネーターの銀行もしくは企業が経営破綻し た際に,資産譲渡の際に真正売買を裏付ける法律が「 信用貸付資産証券化の試験的な管 理弁法」 で あ る の に対して,「倒産法」が上位法に属するため証券化の裏付資産は「倒 産法」に従って倒産資産として処理される可能性が否定できない。
このように,関係法律の不備から,証券化に関する取引だけでなく,会計や税などにお いても不確実性が残る結果となっている。これは証券化の参加者にとってリスク上の負担 だけでなく,財務上の負担も増加させる。今後の市場拡大の際に投資化の意欲や取引の安 定に悪影響を及ぼす可能性がある。