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      教師が作成したカード

  (日本や世界の社会的事象に関するもの)

調画数

子どもが作成したカード

(身近な地域の社会的事象 に関するもの)

図2.2−7 本単元における資料の世界

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(5)3つの世界と授業改善

 本研究では,図2.2−8のように,子どもが3つの世界を結びつける 活動や思考ができたとき,理解したと考える。

 図2.2−8において,まず,子どもは現実的世界の身近な地域の森林 破壊の現象や森林保護の活動を問題意識を持って調べ,調べたことをハ イパーメディア教材を使って資料にまとめる。この資料づくりの活動を 通して,子どもはそれまで見過ごしていたゴルフ場や道路の建設,ある いは廃品回収や牛乳パックの回収などが,実は森林破壊の原因になって いたり森林保護に役立っているということに気づき,概念的世界の形成 を図ることができる。ここでは,子どもが地域に出かけて社会的事象を 観察し,取材したことを資料にまとめるという体験的な活動によって,

自らの生活を振り返ることが期待できる。すなわち,概念的世界から現 実的世界を見ることが可能になる。また,こうした経験をもとにして,

子どもは現実的世界の抽象的な社会的事象をとらえることが可能になる と考える。

 次に,子どもは現実的世界の抽象的な社会的事象を,教師が用意した

・情報の収集

・情報の読みとり

・情報の関係づけ

現実的世界の何 を表しているか をとらえる

資料づくり

日常生活の申で 自分は何をすべ きかを考える

図2.2−8 社会科における「理解」

ハイパーメディア教材の資料(カード)を通して追求していく。ハイパ ーメディア教材の1枚のカードが1つの社会的事象を表す。子どもはグ ループで設定した学習課題を追求するために,ハイパーメディア教材の 機能を利用して必要な情報を収集し,読みとり,個々の社会的事象が森 林破壊や森林の保護にどのように関係しているかを考え,それらの社会 的事象の関係を明らかにすることによって問題を解決し,概念を形成す る。すでに身近な地域の取材と資料づくりを経験し,取材した事象につ いての概念が形成されていると考えられ,ここで子どもが収集する抽象 的な社会的事象の読みとりや関係づけを深めることが可能になる。ま た,多様な社会的事象を表す豊富なカードを調べることによって,資料 が現実的世界の何を表しているのかを考える力を養い,現実的世界をと

らえ,見るための基礎を作ることができる。

 本研究では図2.2−8において,現実的世界から資料の世界を結ぶ資 料づくりと,資料の世界から概念一世界を結ぶ情報収集,情報の読みと

り,情報の関係づけという学習活動にハイパーメディアを用いる。それ は,新しいオーサリング技術の開発によって,以下の3点が実現できる ことによる。第1に,資料の世界を主としてハイパーメディア教材で構 成することにより,単に教師が用意した資料を見るだけでなく,子ども が資料(カード)を作成することで資料の世界に積極的に関わることを 容易にすることである。第2に,本単元において問題解決を行う上で重 要な能力,すなわち情報を収集し,それを読みとり,関係づけるといっ た能力を育てたいという教師の意図を教材に組み込むことができること である。第3に,子どもの情報探索においては,子どもの多様な思考に 対応するナビゲーションができるような設計が可能になることである。

 資料の世界から現実的世界を結ぶ能力,すなわちある資料を見て,そ

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れが現実的世界の何を表しているかをとらえる能力は,本単元において はハイパーメディア教材に用意するカードを調べ,問題解決を進めるこ とによってその基礎を作ることができる。しかし,この能力は1つの単 元で育てられるものではなく,1年間あるいは小学校6年間といった長 い期間を通して育てるべきものである。したがってハイパーメディアだ けでなく,子どもの発達段階に応じた資料を用意し,継続的に指導して いく必要がある。

 資料の世界を通して現実的世界から概念的世界を結び付け,概念の形 成を図った後,理解するために重要なことは概念的世界から現実的世界 を見ることである。森林の資源としての重要性,森林が減少している事 実,森林資源を保護するために行われている様々な活動を調べて概念を 形成し,自分の生活を振り返って,森林資源を守るために自分は何がで きるか,周囲の世界に対してどのように働きかけたらよいかを考え,自 分なりの方法で行動しようとすることが大切である。本研究において は,子どもにこのような思考ができたとき,理解したと考える。

 従来の社会科における問題解決学習は,子どもの日常生活での経験や 既有知識とは結びつかない,教科書や資料集などにある抽象的な社会的 事象のみを扱い,しかも教師が設定した学習課題を教師が指示するごく 少ない資料で追求する授業が一般的で,教師誘導型,知識詰め込み型の 授業であるとの指摘がなされてきた。本研究では,問題解決過程に3つ の世界を結びつける学習活動を設定することにより,従来の授業の改善

をめざす。

2.3 本単元における授業設計

2.3.1 単元構想

 2.1で示した授業設計の考え方に基づき,本研究で実践する小学校5 年生の社会科授業の具体的な設計手法を明らかにする。ハイパーメディ アを重視した授業設計においては,メディアに対する教師の意識と,教 師のねらいや願いといった単元構想とが出発点となる。すなわち,この 単元でハイパーメディアを用いて子どもの活動をどのようにしたいのか

といった教師の学習指導に対する考え方が出発点となる。

(1)ハイパーメディアの特性

 問題解決学習においては,学習課題を追求するための情報収集,読み とりといった調べ学習が重要になる。ハイパーメディアは画像情報とテ キスト情報を1枚のカード上に提示できるので,調べ学習におけるデー タベースとしての活用ができる。しかも,オーサリング法として動的リ ンク機構を導入することにより,子どもの思考にあわせ,情報空間を自 由に行き来しながら探索することが可能になる。

 また,ハイパーメディアは単なるデータベースとしての利用だけでな く,情報の読みとりや関係づけなど,問題解決における思考の支援とし ての活用が期待できる。したがって,いくつもの機能を合わせ持ったハ イパーメディアを重視し,単元の教材の核として利用することを意識し て授業設計を進める。

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(2)教師がねらう子どもの学習

  ハイパーメディアの特性を考え合わせ,本単元では次のようなねら いを定めて授業を計画する。

・問題解決の学習過程に現実的世界,概念的世界,資料の世界の3つの  世界を結びつける学習活動を設定することにより,問題解決能力を育  て,子どもが理解できる授業を実現する。

・子どもがハイパーメディア教材の作成に参加することによって,興  味,関心,意欲を高め,資料をつくる能力を育てる。また,資料を見  てそれが現実的世界の何を表しているかを見抜く力を育てる。

・ハイパーメディア教材に問題解決における子どもの思考を支援する機  能を組み込み,子どもが主体的に調べ,問題解決ができるようにする  ことにより,調べる方法を知り,さらに自ら求めて調べようとする態  度を育てる。

2.3.2 子どもの実態把握

(1)調査の目的と内容

 単元の学習内容に対する子どもの生活経験やイメージ(調査A),調 べ学習に対する態度(調査B),問題解決における思考(調査C)につ いて調査することを目的として,平成8年4月24日,授業を実施するO 小学校5年2組(37名)に対して質問紙調査を行った。質問項目を図2 3−1に示す。なお,調査B,Cについては,子どもの変容を調べるた め,授業実施後にも行う。調査Cの分析では4件法を用いる。その理由 は,5件法を用いた場合,興味,関心や意欲のない子は中央の「どちら でもない」に集中すると考えられることによる。4件法を用いた場合,

調査A 単元の学習内容に関する生活経験やイメージに関するもの(自由記述)

1あなたは,森林や木について下のような経験をしたことがありますか。また,そのと  きどんな気持ちがしましたか。書けるだけでかまいませんから,よく思い出して書い  てください。

◆森林や木の話が出てくるような本を読んだこと

◆森林や木の話が出てくるようなテレビを見たこと

◆友だちや家族とキャンプにいったり森林浴をしたりしたこと

◆木で何かを作ったこと

◆その他の経験

2あなたは,森林や木というものにどんなイメージ(感じ)や考えをもっていますか。

今あなたが思っていることを書いてください。

調査B 調べ学習に対する態度に関するもの

あなたは社会科の授業でふしぎに思ったことやわからないことが出てきたとき,ど う していますか。自分の考えにいちばん近いものを下から1つえらび,○をつけてくだ

さい。

   (ア)先生に聞く

   (イ)おとうさんやおかあさんなど,家族の人に聞く    (ウ)友だちに聞く

   (エ)自分で調べる    (オ)そのままにしておく

調査C 問題解決の際の思考に関するもの

あなたは社会科の学習で「野辺山原ではなぜ野菜作りがさかんなのだろう」とか

「沖縄ではどんなくらしをしているのだろう」といったことを考えるとき,どのように していますか。次の(ア)から(エ)までのことについて,「よくあてはまる」「少し あてはまる」 「あまりあてはまらない」 「まったくあてはまらない」の中から自分の考 え方に近いものを1つえらび,○をつけてください。

(ア)友だちの意見を聞き,「なるほど」と思ったことを自分の考えにとりいれる

(イ)たとえば「交通安全のためのはたらき」について考えるとき, 「自分だったらこ  うする」とかおまわりさんの立場や歩行者の立場,運転手さんの立場に立ってみる  というように,いろいろな立場に立って考える

(ウ)教科書にでてくるむかしのできごとや遠い地方のくらしなどについて考えると  き, 「そのむかしのできごとは,今の生活とどのようにつながっているのだろう」

 とか「その地方のくらしは,M市のくらしとくらべるとどうだろう」というよう  に,自分の身近な生活とつなげて考える

(エ)今調べていることと,今までに学習してきたことや自分が経験したこととをむす  びつけて考える

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図2.3−1 事前調査の質問項目

かし,本研究における調査では,この結果を順序尺度として用いたり統 計処理を行うことをしないため,問題はないと考える。また,4件法で 回答を.求めた場合には,中立意見やあいまいな意見を持つ子どもは「少 しあてはまる」, 「あまりあてはまらない」に回答すると考えられる。

したがって,この2件のいずれかに回答したものを中立意見とみなし,

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