図3.2−4 まとめ学習機能の考え方
校5年生の子どもにとっては難しい思考である。しかし,前述のしおり 機能によって問題解決に必要なカードにしおりを挟む段階でそのカード
を読みとり,要約した短い文章をメモとして入力するため,学習1青報カ ードのメモ欄に記述した要約文をそのままラベル名とすることによっ て,ボタン操作でラベル化を行うことが可能になる。第2点は,ラベル 化する情報を他の情報との関連によってとらえたり,他の情報との相互 の関係をとらえることができることである。他の情報との関係把握を子 どもがより容易にできるように,開発教材にはペイントによる線を描け る機能を用意する。子どもはよく似た関係のラベルを線で囲んでグルー プ化したり,矢印で結んで原因と結果などの関係を表し,関係図を作成 する活動を行う。それによって社会的事象間の関係を視覚的に把握する
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ことができるようにする。
関係図を作成することによって視覚化することの効果は次の3点であ る。第1点は,社会的事象問の関係を把握することが容易になることで ある。個々のカードの情報を読みとっていくだけでは,それぞれの情報 を関係づけることは難しい思考であるが,視覚化することによって中 位,下位の子どもにも関係把握が可能になる。第2点は,視覚化によっ て違う見方,新しい考え方を創出するアイデアプロセッシングを行うこ
とができることである。ラベルは自由に移動させることができ,線も自 由に描くことができるため,例えば2つのグループが同じ学習課題を追 求し,同じカードをラベル化していたとしても,関係づけの仕方によっ て異なる結論を生み出す可能性がある。それを全体の場で交流すること により,深まりのある学習が期待できる。第3点は,関係図によって学 習課題についての考えをまとめ,カードを提示しながら他者に説明する ために,提示するカードの順序を関係図をもとに決めることができるこ
とである。他者に説明することによって自分達の考えをより明確にし,
前述のように同じ学習課題でもグループによって異なる結論を交流する ことで考えを深めることもできる。説明することは子どもには難しい活 動であるが,カードの提示順序を考えることで,どのような説明をする かが明らかになる。なお,開発教材には子どもが決めた順序でカードを 提示するスライドショー機能を用意する。以上のような機能を「まとめ 学習機能」と呼ぶことにする。
(5)資料づくりのための機能
資料づくり機能は,子どもが取材して収集したデータを開発教材に入 力し,資料としてカードを作成するために必要な機能である。この機能
の本来の目的は,2.2.3の(5)で述べたように,子どもが身近な地域を 取材し,資料(カード)をつくる体験的な活動によって,身近な地域の 社会的事象をとらえ,概念の形成を図ることにある。その他に,子ども が教材づくりに参加する学習者参加機能として,次のような効果が期待 できる。まず,子どもは自分達が作成したカードが教師が予め用意した カードと同様に教材として開発教材に取り込まれ,ディスプレイに表示 されることに興味,関心を持つ。さらに,自分達が作成したカードを自 分達のグループだけでなく,他のグループが問題解決に利用したり,逆
に他のグループが作成したカードによって問題解決を行うこともでき る。それによって子どもの学習意欲を高め,身近な地域の社会的事象の 学習を深めることができる。
ハイパーメディアによって作品を製作する経験のない子どもが,短時 間に簡単にカードが作成できるようにするためには,以下のような機能 が必要となる。
○ボタン操作によって,コントロール用のボタンやカードスクリプト等 が用意されている新規カードが作成できる
○新規カードが作成されたら直ちに入力できる状態になっている
○リンク付けが簡単にできる
○入力のやり直しやカードの破棄が簡単にできる
以上のような機能を「資料づくり機能」と呼ぶことにする。資料づく り機能の考え方を図3.2−5に示す。上記のような機能を組み込むため には,カード上にボタン類が多くならないように,例えばカードの裏を 利用するといった考え方でデータの入力専用の画面(これを「情報入力 カード」と呼ぶことにする)を表示できるようにすることが必要であ る。情報入力カードでは,ボタン操作によってリンク付けが行えるよう
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にし,タイトルその他のカード情報部の入力をここで一括して行うよう にする。入力に失敗した場合のデータの削除やカードの破棄,学習情報 カードへの切り替えのボタン類は右上に配置する。学習情報カードから の入力は,テキスト情報のフィールドへの入力のみである。
タイトルその他の情
報入力用フィールド コントロールボタン類 リンク付けのボタン 入力のやり直し,カード
(カード情報部) (コントロール部) の破棄などのボタン類 1枚のカード
.二三ill::襲∈ヨ iii口i環i
タイト
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eキスト情報入力 pのフィールド
. ・ ○ ,
@ ● ● . ● ● ● ○
c…・
学習情報カード 情報入力カード
図3.2−5 資料づくり機能の考え方
(6)その他の機能
子どもが問題解決を進めていくための補助的な機能として,以下のよ うな機能が必要である。
○どのようなカードを見たかを確かめ,学習を振り返ることができる履 歴機能
○しおりを挟んだカードを確認するしおり一覧機能
また,ボタンの使い方など操作の方法がわからないとき参照できるカ ードを用意しておき,いつでもそのカードへ移動できるようにしておく 必要がある。
3.2.2 教育的機能の実現
3.1.1で構想した開発教材の機能をハイパーメディアの代表的ソフ トウェアであるApple社のHyperCardを用いて実現する。
(1)学習情報カードのデザインと分類
学習情報カードの基本的なデザインを図3.2−6に示す。問題解決の 支援となるキーワード探索,まとめ学習及び資料づくりを行うときは,
メニューバーから選択するようにしている。これは,コントロール部に 操作用のボタンが集中することによって,子どもが誤った操作をするこ
とを防ぐためである。学習情報カードに共通するボタンやフィールドは すべてバックグラウンドに置く。画像1当量とテキスト情報は,著作権法 を遵守した方法で文献から引用する。
コントロール部には以下のボタンを用意する。
①カード移動用のボタン:
・サブグループ内を前後に1つずつ移動するボタン ・1つ前に見たカードへ移動するボタン
・リーゼントボタン
②追求ボタン:キーワード探索(後述)によってキーワードとなった語 句がここに表示され,クリックすることによってキーワ
ードに関連する情報を含むカード名の一覧が表示され る。情報探索の切り込み口に相当するボタンである。
③しおりボタン:しおり機能(後述)によってしおりを挟むとき,原 因,結果,その他のいずれかのボタンをクリックする
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ことによってしおりを挟むことができ,メモ欄にその マークが付けられる。しおり一覧ボタンをクリックす ることにより,しおり一覧カードへ移動する。2枚以 上のしおりを挟むと,しおりを挟んだカードのみを対 象として前後に移動できるボタンが表示される。
④カード情報ボタン:データ入力用の画面を表示する。
⑤クリアボタン:追求ボタンによって表示されるカード名を表示するフ イールドをクリアする。
⑥おわりボタン:学習履歴カードを表示し,学習を終えたり振り返った りする。
メニューバー
1軸 ファイル 編集 ゴ㌔ ,旨1レ オプシ 二外 フォント スタイル 資料カード作成 まとめ学習 追〉
カード情報部 、
コントロール部
情報提 示部
テキスト情報
図3.2−6 学習情報カードのデザイン
学習情報カードは,図3.1−1に示すグループにもとづいて分類す る。1枚のカードの情報内容は,複数のグループに共通して関連するこ とがあり得る。したがって,カードは図3.2−7に示すように,それぞ れのグループにのみ属するカードと,いくつかのグループに共通して属 するカードによって構成する。
わたした
産業 ちの生活 工夫・努力 森林の働き
aAmA−A a
u m
m a u m
m N a z
カード グループ
図3.2−7 カードの分類
(2)キーワード探索機能
この機能は,子どもがこれまで学習してきた単元の内容や生活経験,
直観などから,学習課題に関連する事象や事物を考え,それを図3.2−
8に示すキーワード探索カードにキーワードとして入力することによ り,そのキーワードに関連する情報(カード)を収集できるようにす る。これによって,中位・下位の子どもにも情報収集が可能になる。ま た,情報を収集する力や仮説を考える力を育てることができる。
キーワード探索機能では,正司と長瀬による動的リンク法[正司,長 瀬 1995]を用いる。その仕組みを図3.2−9に示す。この方法では固 定リンクは存在せず,リンク機能は動的に生成される一覧表示フィール
ドのスクリプトが持っている。このフィールドに表示される移動先の候 補カーード名の1つを子どもがクリックすると,スクリプトが起動されて クリックされたカードに移動する。
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