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7. ガス・石油温水機器

7.1 次期トップランナー基準策定に向けた支援等

7.1.2 各種分析

(1) 潜熱回収型機器の普及ポテンシャル評価

1) 需要家構成の推移

需要家セグメントを、下表のとおり地域、新築/既築、建て方、世帯人数別に設定した。

ここでは、都市ガス式の潜熱回収型機器に係る分析に活用することを念頭に、地域について は、都市ガス普及率が全国平均値以上の都道府県(都市部エリアと定義)とその他(地方部 エリアと定義)に大別し、需要家構成の推移を整理した。

表 7-3 需要家セグメントの設定

項目 内容

地域 都市部エリア(東京都、千葉県、神奈川県、新潟県、愛知県、京都府、

大阪府、兵庫県、奈良県)、地方部エリア(その他の都道府県)

※都市部エリア:都市ガス普及率が全国平均値(55.2%)以上の都道府 県(出所:ガス事業便覧、平成25年度末時点)

新築/既築 新築、既築 建て方 戸建、集合

所有形態 持家(分譲含む)、賃貸 世帯人数 単身、複身

都市部エリアにおける住宅の建て方と所有形態のフローの傾向を見るため、住宅着工統 計を用いて都市部エリアの新築における建て方別×所有形態別の需要家構成を確認した。

都市部エリアの新築では、集合・賃貸の割合が上昇しているのに対して、戸建・持家と集合・

持家の割合は減少傾向にある。

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

構成比

戸建 持家 戸建 賃貸 集合 持家 集合 賃貸

同様に、都市部エリアにおける既築住宅の建て方と所有形態のストックの傾向を見るた め、都市部エリアの既築における建て方別×所有形態別の需要家構成の推移を確認した。な お、住宅・土地統計調査における都道府県別の戸建・集合ストック数から、住宅着工統計に おける戸建・集合の新設住宅着工戸数を減算することで、新築を除いた既築のストック値を 算出した。ただし、住宅・土地統計調査は 1998-2013 の 5 年おきデータ、住宅着工統計は

2011-2016までの1年おきデータであるため、住宅・土地統計調査の2011-2012、2014-2016

年のデータは線形補完している。新築と比較すると、需要家構成比の経年変化に大きな増減 はないものの、集合・持ち家の割合が緩やかに増加し、それ以外の割合は減少している。集 合・持家の割合が増加している理由としては、新築において集合・持家の割合は減少してい るが、滅失住宅の多くが他セグメントであるため、結果として増加していることが可能性と して考えられる。

図 7-2 都市部エリアの既築における建て方別×所有別の需要家構成の推移

出所)住宅・土地統計調査および住宅着工統計に基づき作成 0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

構成比

戸建 持家 戸建 賃貸 集合 持家 集合 賃貸

地方部エリアについても、同様の整理を行った。新築のフローにおいては、集合・賃貸の 割合が上昇し、戸建・持家と集合・持家の割合が減少している。他方で、新築を除く既築の ストックにおいては大きな増減はなく、いずれのセグメントについてもほぼ横ばいで推移 している。

図 7-3 地方部エリアの新築における建て方別×所有別の需要家構成の推移

出所)住宅着工統計に基づき作成

図 7-4 地方部エリアの既築における建て方別×所有別の需要家構成の推移

出所)住宅・土地統計調査および住宅着工統計に基づき作成 0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

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2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

構成比

戸建 持家 戸建 賃貸 集合 持家 集合 賃貸

0%

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30%

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50%

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70%

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

構成比

戸建 持家 戸建 賃貸 集合 持家 集合 賃貸

世帯人数別の需要家構成については、都市部(左図)、地方(右図)ともに単身比率が上 昇しており、2015年以降も増加率は低減するものの単身比率は増加する見通しである。

(a)都市部 (b)地方

図 7-5 世帯人数別の需要家構成の推移

出所)国立社会保障・人口問題研究所に基づき作成

所有形態別の需要家構成の将来見通しについては、みずほフィナンシャルグループの不 動産専門のシンクタンクである株式会社都市未来総合研究所の推計によれば、持家世帯数 は高齢層の増加に伴い2025年まで単調増加し、以降は鈍化、借家世帯数は若年層の減少に 伴い単調減少すると推計されている。同推計では、年齢階層別の持家世帯比率が1998年、

2003年、2008年の平均値に基づき設定され、将来も変化しないと想定されている。他方で、

近年では賃貸物件が中間層・高齢者層でも増加傾向にあり、このようなトレンドを踏まえる 必要があることに留意が必要である。

図 7-6 所有形態別の世帯数の将来予測

出所)都市未来総合研究所「不動産レポート2013 特集編」2012年、

http://www.tmri.co.jp/report_2/pdf/2013special02.pdf

建て方別の需要家構成の将来見通しについては、一般財団法人電力中央研究所のレポー ト(2014)において世帯主率法に基づく都道府県別の世帯数予測が示されている。高齢者等 で共同住宅への住み替えが進むこと等を考慮し、同じ世帯形態の中でより共同住宅の需要 が高まるケースを「共同住宅高位」、反対に一戸建て需要が高まるケースを「共同住宅低位」

として推定が行われている。これによると、戸建て(中位)は2020年頃を境に単調減少、

集合(中位)は2030年頃まで緩やかに増加後、減少する見通しとされている。子供のいる 核家族世帯が減少し、単独世帯は増加するため、戸建の減少スピードは集合の減少スピード と比べて早くなっているものと考えられる。

図 7-7 建て方別住宅戸数の将来予測

出所)土木学会論文集G(環境)Vol.70 No.4「世帯形態の変化を考慮した居住世帯のある住宅戸数の建て 方別予測手法」、電力中央研究所、2014年、https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejer/70/4/70_68/_pdf

2) 従来型ガス給湯器に対する都市ガス式潜熱回収型給湯器の投資回収年数

都市ガス式潜熱回収型給湯器(エコジョーズ)の普及に向けた課題の一つとして、経済性 に係る指摘がされている。そこで本調査では、従来型ガス給湯器からエコジョーズへの更新 に係る投資回収年数を試算し、エコジョーズの経済合理性が成立する市場を評価した。

a. 基本的考え方

次式に基づき、従来型ガス給湯器に対するエコジョーズの投資回収年数を算定した。

投資回収年数= 初期費用の差額

ランニングコストの差額

初期費用の差額

年間給湯負荷×( 1

従来型機器の効率 1

潜熱回収型機器の効率燃料単価

世帯セグメントとしては、建て方別(2通り:戸建/集合)、世帯人員(6通り:1人/2 人/3人/4人/5人/6人以上)、地域(10通り:北海道/東北/関東/北陸/東海/近 畿/中国/四国/九州/沖縄)の計120通りを設定した。

分析対象とする機器の種類は、先止め式、ふろがま式とした。給湯出力は 16号、20号、

24 号が市場における主流であるが、世帯人数との間に相関を持つと考えられるため、世帯 人数が1人の場合は16号、2~3人の場合は20号、4人以上の場合は24号の機器を設置す るものと仮定した。

b. 初期費用に係る設定

機器コストは、インターネット価格サイトの価格ドットコムにおける各機器の最低価格 に基づき、機器の種類別、出湯出力別に設定した。また、設置工事費は、機器種類別、潜熱 回収型・従来型別の工事費の記載があった価格比較サイトの平均値に基づき、機器の種類別 に設定した。

なお、設置工事費には不確定な部分も大きいため、従来型給湯器とエコジョーズとの設置 工事費の差額が投資回収年数に与える影響に係る感度分析も別途行った。

表 7-4 ガス給湯器の機器コストの設定

表 7-5 ガス給湯器の設置工事費の設定[円]

出所)ウェブ情報のある4社の単純平均値(PCボンバー、タンタン、住の森、PREMOA(A-price))

c. 機器効率に係る設定

エネルギー消費効率は、省エネ性能カタログ(2017冬)掲載製品の単純平均値に基づき、

機器の種類別、出湯出力別に設定した。なお、本値はモード熱効率ではなく定格熱効率であ る。

表 7-6 ガス給湯器のエネルギー消費効率の設定

出所)省エネカタログ2017冬より作成

d. 給湯需要量に係る設定

年間給湯需要量は、「家庭からの二酸化炭素排出量の推計に係る実態調査 全国試験調査」

(家庭CO2統計)に基づくケースと、JIS S 2075に基づくケースを設定した。

エコジョーズ 従来型 工事費差額

先止め式 40,350 30,905 9,445

ふろがま式 44,950 36,500 8,450

家庭CO2統計に基づく年間給湯需要量の推計結果を表 7-7に示す。北海道、東北等の寒 冷地、大人数世帯ほど給湯需要量は大きくなる傾向にある。また、戸建/集合別で見ると、

集合住宅よりも戸建の方が給湯需要が大きい傾向にある。

表 7-7 給湯需要量の推計結果(統計ベース)

出所)※環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査(家庭CO2統計)」より、地域別・世帯人数別の給 湯エネルギー消費量、給湯設備の世帯数分布(%)を元に、ヒートポンプ給湯機の効率を3.25*1、そ の他給湯器の効率を0.857*2と仮定して以下式で給湯エネルギー需要量を算出し集計した。

給湯エネルギー需要量=(エコキュート比率×3.25+その他比率×0.857)×給湯エネルギー消費量 に換算。

*1 2017年度の報告徴収データにおけるヒートポンプ給湯機の全区分の出荷台数加重平均効率

*2 2016年度の省エネ課アンケートにおけるガス・石油温水機器の全区分の出荷台数加重平均効率

JIS S 2075 に基づく年間給湯需要量の推計結果を表 7-8に示す。家庭CO2統計に基づく

世帯セグメント別の給湯需要量に対して、全国平均値がJIS S 2075における先止め式、ふろ がま式の給湯需要量に一致するように補正することで推計した。先止め式、ふろがま式の年 間給湯需要量に係る補正係数はそれぞれ1.33、1.43である。

なお、家庭CO2統計に基づく分析と比較すると、投資回収年数は約0.7~0.8倍となる見 込みである。