4. 照明器具
4.1 特定エネルギー消費機器の最新状況の整理
4.1.3 区分案の検討
表 4-2 区分の指標(例)
区分の指標(例) 各指標における具体的な項目
主用途
住宅用
非住宅屋内用
非住宅屋外用 器具の分類
(住宅用であれば)
シーリング
ペンダント
ダウンライト 等 光束値 小光束
大光束 形状・配光
(住宅用シーリングであれば)
乳白グローブタイプ
和風シーリング 等
光源色 白色系(昼光色、昼白色、白色)
電球色系(温白色、電球色)
演色性 Ra90以上
Ra90未満
表 4-3 具体的な区分案の数のイメージ
光源色 演色性 A
白色系
Ra90未満
B Ra90以上
C
電球色系
Ra90未満
D Ra90以上
⇒32区分×4区分=128区分
×
主な用途 器具の分類 形状・配光 光束値 1
住宅用
シーリングライト
乳白グローブタイプ 小光束
2 大光束
3 和風シーリングなど 小光束
4 大光束
5
ペンダント
反射笠タイプ 小光束
6 大光束
7 乳白グローブタイプ 小光束
8 大光束
9
ダウンライト
下面開放タイプ 小光束
10 大光束
11 下面パネルタイプ 小光束
12 大光束
13
非住宅屋内用
ベースライト
下面開放タイプ 小光束
14 大光束
15 下面ルーバ、パネルタイプ 小光束
16 大光束
17
ダウンライト
遮光角15度以下 小光束
18 大光束
19 遮光角15度超30度以下 小光束
20 大光束
21 遮光角30度超 小光束
22 大光束
23 スポットライト ー 小光束
24 大光束
25 高天井照明 狭角配光(90度以下) 大光束
26 中角配光超(90度超)
27
非住宅屋外用 投光器
狭角配光 小光束
28 大光束
29 中角配光 小光束
30 大光束
31 広角配光 小光束
32 大光束
表 4-4 蛍光灯器具の現行基準における区分
出所)総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会 照明器具等判断基準小委員会 最終取りまとめ
(2) ヒアリング調査
想定される区分の指標(例)について、実際にこれらの指標で区分を行うことの妥当性を トップランナー制度の原則に従って確認するため、照明器具メーカーに対するヒアリング 調査を実施した。
具体的には、各指標がエネルギー消費効率にどのように影響を与えるのかについて、技術 的な説明を加えるとともに、市場における消費者のニーズ(消費者が照明器具を選択する際 に考慮する要素(部屋をどのように明るくしたいか(全体照明、間接照明等)、どのような 雰囲気を演出したいか(光源色、演色性等)など)についても調査を行った。
その際、具体的な区分設定の妥当性(例えば器具の分類として「シーリング」、「ペンダ ント」、「ダウンライト」で分けることが妥当であるかなど)についても同様の視点からヒ アリングを実施した。
このヒアリング調査によって得られた意見を、区分の指標(例)ごとにどの固有エネ ルギー消費効率の構成要素が影響するのか、どのような市場ニーズが存在するのか、ど のような検討課題が存在するのかについて整理した結果は以下のとおりである(文中の 丸数字は図 4-4における数字を示す)。また、その結果の概要を表 4-5及び表 4-6に示 す。
1) 主用途
電圧が住宅用では100V、非住宅用(施設用)では200Vが一般的であることが挙げられる。
この電源電圧が異なると、一定の光束を得る(一定の消費電力となる)ために流れる電流値 に違いが生じ、電圧が2倍であれば電流は半分となる。ここで、電力損失は電流値の2乗に 比例するため、電流値が小さいほど損失も小さくなり効率が高くなる。このように、電源電 圧の違いが①電源効率に影響を与えることから、照明器具全体の固有エネルギー消費効率 が住宅用よりも非住宅用の方が高くなる傾向の一因となる。
消費者ニーズとしては、住宅においてサイズの大きな非住宅用の照明器具を設置するこ とは、スペース的にもデザイン的にもニーズがなく、仮に非住宅用の照明器具の方が効率が 高いとしても住宅において設置することは現実的ではない。
今後の検討課題は特に挙げられていない。
2) 器具の分類
照明器具の分類による区分としては、住宅用では「シーリング」、「ペンダント」、「ダ ウンライト」といった区分が想定され、同様に非住宅屋内用、非住宅屋外用においても器具 の種類によって分類することが想定される。これらの区分による技術的な違いとしては、器 具の分類によってそのサイズに違いがあり、器具内に組み込む基板のサイズや数が異なる。
サイズが大きい方からシーリング、ペンダント、ダウンライトの順であり、サイズが大きい ほど基板も大きくすることができることから、チップやパッケージを並べる際の自由度が 高くなる。この配置の自由度が、図 4-9 に示すように、②電気的効率や⑦熱効率に影響す る。具体的には、チップやパッケージを多く並べるほど流れる電流値が低下し、②電気的効 率を向上させることができる一方で、チップやパッケージを多く並べると、周囲の温度への 影響度が高まり、⑦熱効率が低下することになる。チップやパッケージの配置の自由度が高 い場合、これらの2つの効率に関する最適な設計が可能となるため、器具のサイズが大きい ほど効率が高くなる傾向にある。
消費者ニーズとしては、照明器具を設置する場所(リビング、寝室、トイレ等)によって 求められる光の質(全体を一様に明るくするか、特定の物のみを照らしたいか等)やデザイ ン(材質・見た目等)が異なるため、仮に効率が低いとしてもこれらの要件に合った製品へ のニーズが高くなる。
今後の検討課題としては、区分方法として表 4-3 に示したような区分で必要十分か否か について、実際の器具の分類ごとの固有エネルギー消費効率の分布を確認しつつ検討を行 う必要がある。
図 4-9 器具のサイズによる効率の違い
3) 光束値
照明器具の光束値による区分としては、一定の閾値を境として「大光束」、「小光束」に 分けることが想定される。これらの区分による技術的な違いとしては、光束値を増やすため には電流値を上げる必要があり、そのためには電圧を上げる必要がある。このとき、LED素 子の抵抗は低下する一方で、内部抵抗は一定であるため、ロスの影響が相対的に小さくなる ことから、①電源効率が向上する。一方、光束値が大きいと流れる電流も大きくなるため、
②電気的効率が低下する。これらの2つの効率が影響する結果として、固有エネルギー消費 効率が変化するが、実際の製品における光束値と固有エネルギー消費効率は図 4-10に示す ような関係にある。このグラフからは、光束値と効率に関係性があることは読み取れるもの の、同一の光束値でも効率の異なる製品が存在すること、異なる傾き・切片を持つ直線が複 数存在することといったように、光束値という一つのパラメータだけでは表現できない要 素が存在していることも見て取れる。そのため、光束値に限らず、他の区分の指標(例)そ れぞれのデータと固有エネルギー消費効率との関係を定量的に分析していくことが必要で ある。
消費者ニーズとしては、照明器具の設置場所や演出したい雰囲気によって、光束値の大き い製品を選ぶか小さい製品を選ぶかが変わってくる。なお、住宅用の照明器具では調光機能 付きの製品が普及しており、これらの製品に対してJISでは定格光束で評価することとされ ているため、トップランナー制度においてはより有利な区分に恣意的に分類することの無 いよう、告示において大光束、小光束のどちらの区分に該当するかを決めることが必要であ る。非住宅用についてはまだ調光機能付き製品の普及は進んでいないが、今後の普及が想定 される場合には、告示における同様の措置を検討する必要がある。
今後の検討課題としては、大光束と小光束を分けるための定量的な閾値について検討を 行う必要がある。なお、一部の器具分類については、図 4-11に示すような(一社)日本照
3列×5列=15個のチップまたはパッケージを配置 1個当たり12lmの光束が必要
⇒1個当たり36mAの電流が必要
3列×3列=9個のチップまたはパッケージを配置 1個当たり20lmの光束が必要
⇒1個当たり60mAの電流が必要 1lmの光束を得るために3mAの
電流が必要なチップ、パッケージを並べ 180lmの光束を得る
【電気的効率】パッケージを多く配置すると、電流が小さくなるため効率が高くなる
【熱効率】 パッケージを多く配置すると、チップ間またはパッケージ間の距離が近いため効率が下がる
⇒照明器具のサイズが大きいほどこれらのバランスをとった最適な設計が可能
体となった製品については器具効率が測定されていないものもあるため、器具効率を関数 のパラメータとする場合には留意が必要である。
図 4-10 光束と固有エネルギー消費量の関係
出所)パナソニック(株)Webサイトより、家庭用シーリングライト(昼光色6500K・Ra83/電球色 2700K・Ra83)の機種別固有エネルギー消費量、光束値をダウンロードして作成
図 4-11 LED照明器具の適用畳数
出所)(一社)日本照明工業会Webサイト、https://www.jlma.or.jp/akari/led/ceiling.html 80
90 100 110 120 130 140 150 160 170 180
3,000 3,500 4,000 4,500 5,000 5,500 6,000 6,500
固有エネルギー消費効率(lm/W)
光束(lm)
同じ光束でも効率の異なる 製品が存在
異なる傾き、切片を持つ 直線が複数存在