3. テレビジョン受信機
3.1 特定エネルギー消費機器の最新状況の整理
3.1.1 テレビジョン受信機の現状に関する検討
(1) テレビジョン受信機の種類
テレビは主にはモニター、スピーカー、受信機、電源、基盤から構成されており、モニタ ー部の映像の投影方法の違いに応じて分類することが出来る。
1) ブラウン管方式
ブラウン管テレビは、ブラウン管から電子線を放射し、画面に塗布されたRGB蛍光体に 照射することで映像を投射する。電子銃の照射に高い電圧を必要とし、電子線の走査の関係 上、画面と電子銃の間に一定の距離が必要であるため、省サイズ化が困難であるという特徴 がある。
図 3-1 ブラウン管テレビの仕組み
出所)TDKウェブサイト https://www.tdk.co.jp/techmag/device/200604u/index.htm
(2018年7月13日閲覧)
2) 液晶ディスプレイ方式
液晶テレビは、常時点灯しているバックライトの光をカラーフィルターに照射し、それぞ れの中間に配置されている液晶パネル内の液晶分子をブラインドカーテンのように利用し、
透過させる光量を調節することで映像を投射する。電子銃の照射、プラズマ発光に係るエネ
ルギー消費に比べてバックライトの照射に係るエネルギー消費は相対的に少なく、ブラウ ン管テレビやプラズマテレビと比較して消費電力が少ない。また、映り込みがない等の特徴 がある。
図 3-2 液晶テレビの仕組み
出所)経済産業省「総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会 第1回テレビジョン受信機判断基 準小委員会」資料5(2008年11月)
3) プラズマディスプレイ方式
プラズマテレビは、画面に塗布されたRGB蛍光体に紫外線を照射し、RGB蛍光体が自発 光することで映像を投射する。一つ一つの蛍光体の発光を制御するため、色の鮮やかさ等が 液晶テレビと比べて優れる反面、エネルギー消費量が多いことが特徴である。
図 3-3 プラズマテレビの仕組み
4) 有機EL
有機ELテレビは、発光層に対して電圧を印加させることで発光層が自発光し、映像を投 射する。液晶テレビのバックライトやプラズマテレビの放電スペースが不要であるため薄 型化・軽量化が可能であり、また、自発光のため応答速度や色の鮮やかさ等にも優れるとい う特徴がある。他方、現状では青色LEDの寿命やコストに課題が残るため導入が進んでお らず、白色の有機ELとカラーフィルターの組合せが主に用いられている。このため、通過 による輝度低下により消費電力が液晶テレビよりも高くなっている。
図 3-4 有機ELテレビの仕組み
出所)JEITA「FPDガイドブック」
(2) テレビジョン受信機の出荷台数の推移
テレビの出荷台数の推移、見通しを図 3-5に示す。2000年代は年間1,000 万台弱で推移 しており、2007~2010 年度にかけて地デジ放送への切り替え等の影響により販売台数が増 大している。以降は販売台数が減少し、直近5年は年間500万台前後で推移している。
種類については、2001年度以降液晶テレビが市場に投入され、2008年度にはほぼ全ての 出荷製品が液晶あるいはプラズマテレビとなった。JEITA統計において2009年度以降は液 晶・プラズマテレビは一体的に集計されているが、足元の出荷台数は全て液晶テレビである
(2017年度のプラズマテレビの出荷台数は0台)。
また、JEITAの見通しにおいて、全体の出荷台数は足元以降2020年にかけて増加傾向で 推移すると見込まれている。
図 3-5 テレビの出荷台数の推移
出所)JEITA「民生用電子機器国内出荷統計」(2017年度以前)、
JEITA「AV&IT機器世界需要動向」(2018年以降)
図 3-6 有機ELテレビの出荷台数の推移
出所)JEITA
角線の長さで表現されるが、その単位として利用されているV 型は画像の表示される部分 のみのサイズを指しており、画面の枠を含むインチとは考え方が異なる。
図 3-7 画面サイズの単位の考え方
2004年度時点では25V型以下が過半数を占めていたが、近年では画面サイズの大型化が 進展している。地デジ放送移行の影響により出荷台数が増加した2009~2011年度付近では
30~36V型の割合が増大したが、直近5年では37V型以上の割合が増大しており、特に45V
型以上の割合が増大している。画面平均サイズは、2009年度時点の32V型程度から2016年 度時点には38V型程度へと増加している。
図 3-8 出荷台数に占める画面サイズ区分の推移
出所)JEITA
(4) 4K、8Kに関する動向
2018年12月から一部衛星放送において4K放送が開始された。放送様式の変化は市場に 投入される製品の画素数にも影響を与える。また、現行基準では4K(解像度3840×2160)、
8K(解像度7680×4320)について区分を設けていないが、今後の放送様式の変化次第では
区分を設ける必要性が生じる可能性がある。そこで、各プレイヤーにおける放送様式に関す る動向を調査した。
1) 行政の動向
総務省は4K/8Kの推進に関するロードマップを2013年に策定・公表した。また2014年
6月~2015年12月にかけて「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合」が開催 され、ロードマップ策定時期以降の状況変化を踏まえてロードマップの具体化について検 討された。4Kに関しては既にケーブルテレビや衛星放送で実用放送が開始されている。8K に関しては2018年に BSにおいて実用放送が開始されたが、他放送においては具体的な目 標やアクションプランは決まっていない。
図 3-9 4K/8Kの推進に関するロードマップ(2013年)
出所)総務省「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合」第二次中間報告 参考資料
(2015.7)
2) 業界の動向
JEITAはAV&IT機器世界需要動向において、薄型テレビの出荷台数の予測を発表している。
4Kテレビの年間出荷台数は2017年の約150万台から2020年で約440万台に増加するが、
以降は出荷台数の減少が見込まれている。他方で、8Kテレビについては2022年にかけて増 加傾向で普及すると見込まれている。
図 3-10 薄型テレビの国内出荷台数の推移、予測
出所)JEITA提供資料より作成
~2017年:JEITA「民生用電子機器国内出荷統計」(8K、有機ELテレビは除く)
2018年~:JEITA「AV&IT機器世界需要動向(2018年)」
3) 個社の動向
8Kに関する個社の動向を表 3-1のとおり整理した。現状、シャープのみが8Kテレビを 市場に投入しており、他社が追随するという状況である。
表 3-1 個社の8Kテレビに関する最近の動向
個社 時期 内容
シャープ 2017.9 2017年度の8K国内出荷台数の目標を1,000台。
2018.5 2018年内の60型8Kテレビの目標価格を約50万円。
2018.5 2017年度の8K国内出荷台数目標を達成できず。
ソニー 2018.1 家電見本市「CES 2018」において8K ディスプレイを参考展示。
8Kテレビの市場投入に関しては、「今回はあくまでもプロセッサ の展示。8Kテレビは適切なタイミングで投入したいが、時期は未 定」としている。
パナソニッ ク
2018.3 2018年12月に8Kテレビの市場投入を計画。液晶パネルによる商
品化の後、有機ELパネルによる商品化の予定。
三菱電機、
LG
― 情報なし
東芝 ― 2017年11月にテレビ事業を中国メーカーハイセンスに売却。
出所)日経新聞、毎日新聞等の各種報道機関
(5) 現行基準の達成状況
画面サイズ別の年間消費電力量、基準達成率の出荷台数による加重平均値の推移を示す。
基準達成率は、2010年度以降100%を上回っていて増加傾向となっている。これは2008 年頃から搭載され始めたLEDバックライトによる影響が大きいと思われる。
年間電力消費量は、いずれのサイズ区分においても2008年度以降減少傾向であるが、2014 年度以降は一転して増加傾向で推移している。32V 型以上の年間消費電力量は 19 型以上 32V 型未満の値と比べて約2倍である。図 3-8に示したとおり近年画面サイズの大型化が 進んでおり、画面サイズとエネルギー消費量には相関があることから、画面サイズの大型化 がエネルギー消費量の増大要因の一つになっていると思われる。
図 3-11 サイズ別の年間消費電力量推移
出所)JEITA
図 3-12 サイズ別基準達成率推移
出所)JEITA
(6) 仕様の違いによる影響分析
現在の市場の製品が現行基準策定当時の製品と比較してエネルギー消費効率がどのよう に変化したかを把握することを目的として、2017 年に「省エネ型製品情報サイト」に登録 された製品を対象として回帰分析を実施した。
回帰分析の条件について、画面サイズのエネルギー消費効率に関しては現行基準に準じ て19V型未満、19V型以上32V型未満、32V型以上の区分に製品を分けて回帰分析を行い、
画素数、動画表示速度、付加機能に関しては出荷台数の最も多い区分である 32V 型以上の 製品を対象として回帰分析を行った。算定式は現行基準と同様に以下を用いた。
年間消費電力量=a ×画面サイズ+b+c × FHDフラグ+d ×倍速フラグ + e ×付加機能フラグ
*a~eは変数
回帰分析の結果は表 3-2のとおり。現行基準と2017年製品を比較すると、画面サイズあ たりのエネルギー消費量、画素数、付加機能あたりのエネルギー消費量は低くなっているが、
動画表示速度についてはエネルギー消費量が大きくなっている。画面サイズに関して、画面 サイズが大きいほどバックライトがエネルギー消費量に与える影響が大きくなるが、液晶 パネル技術の向上やLED効率化により省エネが進展したことが考えられる。
他方で、各指標とエネルギー消費量の相関性を表すP値について、画素数、付加機能は相 関があるとみなすことのできる目安である0.05を超えているため、エネルギー消費効率の